「ザイガニック効果」という相手を惹きつける魔法が、世の中にはあって

この記事のタイトルのように、「世の中にはあって」と途中で文章が途切れていると、ついつい続きが気になってクリックしてしまいませんか? 今回はこの「続きが気になる……!」の心理がテーマです。

この手法、マーケティングの分野では広く活用されてきました。「このサプリを飲んだ人は……」「実はこのミステリーの犯人は……」など、“言い切らない”広告文句は、誰しも目にしたことがあると思います。

テレビCMの世界でも同様です。少し前にはやった「続きはWebで!」なんてCMが、まさにそうですし、最近だとソフトバンクの白戸家やTOYOTAのトヨタウンなど、連続ドラマ仕立てのCMも増えてきました。これらは、毎回新しいキャラクターが登場し、次々と新展開を迎え、謎を残したまま終わります。なかなか完結しないので、つい続きが気になってしまいますよね。

実はこれ、心理学の分野ではザイガニック効果(あるいはツァイガルニク効果)と呼ばれている現象で、つまり、人は完成されたものより、未完のものの方が印象に残りやすく、興味を引かれてしまう傾向があるのです。

旧ソ連の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクは、実験によってこの効果を実証しました。実験グループを二つに分け、簡単な課題をいくつか解かせます。ここで片方のグループは普通に最後まで課題を解かせるのですが、もう一方のグループの方は、課題を解ききる前に強制終了させ、次の課題に移らせます。

全ての課題が終わった後に、どんな課題があったか尋ね、その記憶度合いを比べるという実験です。勘のいい方はもうおわかりでしょうが、後者のグループの方が、明らかに多くの課題を記憶していたのです。自分で解きあげて答えを導き出したものよりも、途中で回答を打ち切られてしまったものの方が記憶に残りやすいということ。学生時代、試験が終わったあと、解けなかった問題ばかり思い返されて悔しい思いをしたことがありますよね? これも全く同じ効果から来るものです。

そもそも人は、未完成のものを見ると完成させたくなるという自然な欲求を持ちます。途切れた文章を見れば後に言葉を続けたくなるし、ストーリーが中途半端なところで終わってしまえば結末を補完しようとします。だからこそ、完成していないものを見ると関心を引かれるのです。

人間関係においても、似たような現象が見られます。恋人にするなら完璧な人じゃなくてどこかに欠点があった方がいい、という話はよく聞きますし、「出来の悪い子ほどかわいい」なんてことも言われます。完璧すぎない相手だからこそ、ついつい興味を持って近づいてしまうのです。

この効果を、実際のコミュニケーションの場で意識して使うことも有効でしょう。

例えば大事なプレゼンを行う場面。結論を先に言い切ってしまうのではなく、遊びの部分・引きの要素を作ってみる。「この製品の画期的なポイント、それは……」なんて間を置かれたら言われたら、誰だって続きが気になって聞いてしまいますよね。

あるいは気になる相手とメールやLINEなどでやり取りしている時。一度に全ての情報を伝えてしまっては、相手はそれ以上興味を持ってくれない可能性があります。情報を小出しにすることで関心を引いたり、盛り上がってきたところでやり取りを中断してみたりするのも、効果的です。

日常のさまざまな場面でちょっとだけ意識すれば、上手に使えそうなこの「ザイガニック効果」。どんどん実践して「なんか気になる」コミュニケーションを身につけましょう!
(五百田達成)

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