マツコ・デラックスが一刀両断! 女の不倫の解決策とは

"自分の欲のことしか考えてない未熟な女ね。"

"落ち込んでないで、努力しなさい!"

テレビで見るようなマツコさんの毒舌が爽快すぎる。『続あまから人生相談』(マツコ・デラックス/ぶんか社)は、2011~2015年まで、レディースコミックで連載された人生相談コーナーの記事をまとめた一冊だ。

ぜんぶで55個も収録されている女性たちの悩みの数々。中でも特にヘビー級の不倫問題について、マツコさんらしい毒舌の回答を紹介していこう。

目次

再婚を迫る不倫相手と、結婚を引き延ばす彼氏…どちらを選ぶべき?


まずは兵庫県・桃栗三年さん(29歳)の悩み。彼女にはサポートが必要な父親がおり、それが気にいらない彼から結婚を引き延ばしにされているそう。一方で、会社の上司とも不倫の交際中。性格は合わないが、父の面倒も見てやると、奥さんと別れて一緒になることを迫ってきていて――。

これに対するマツコさんの回答は、どちらを選ぶかというものではなかった。

"不倫相手にも彼氏にもいいように使われてませんか? 自分の置かれた状況をもう少し客観的にごらんなさい!"

二つの選択肢の中で揺れてしまえば、人はわりとその選択肢以外のものが見えなくなってしまうもの。今回のようにどちらにもマイナスの要素がある場合、「どちらを選ぶ方が得か」と考えるのは、単に選択肢のふたりに振り回されているだけである。

マツコさんが特に気にしたのは「サポートが必要な父親」の一文。"アナタは自分が結婚できないことをお父さまのせいにしている"とズバリ指摘する。家族の心配を持ち出しているように見えて、要は自分の代わりにサポートしてくれる男を結婚相手に迎えたいのだ。

"そのエゴイスティックな性格を治さないと何も始まらないでしょう"とマツコさんは締める。彼氏の方が結婚を引き延ばしにしているのも、そんな彼女のエゴが見えてしまっているからかもしれない。

女性としてしたたかに生きるとは、この相談者のように選択肢を複数用意することではない。己の弱さを自覚しつつ、自分にとって必要な一人のパートナーを見つけだすことである。

復讐のため、友人の夫と不倫中。彼女へのダメージを最大にしたい!


続いて熊本県・ユキホンさん(32歳)。彼女は昔、友人A子に恋人を奪われた過去を持つ。現在は別の男性と結婚しているA子に復讐するため、わざわざ彼女の夫が勤める会社に入社し、その夫と不倫の仲になったそう。あとは、この不倫をA子にどう伝えれば一番ダメージが残るかと悩む彼女だが――。

"不倫の事実を突きつけるタイミングを計ることよりも、A子さんの夫との間に子供を作り、産むことです。"

いきなりヘビーな回答を持ち出すマツコさん。だがこれは飽くまで「一番ダメージが残る方法」について答えただけ。相談者にも最大のダメージが残ってしまうこの手段を、実行せよと勧めているわけではない。

そもそも復讐心を持ち続けるということ自体が、自分自身にもダメージを与え続けることだとマツコさんは諭す。
復讐を考えている時点で、人は自分の幸せについて考えが及ばなくなってしまうもの。相手を傷つけ、自分も傷つけ、あとには何も残らない。ただむなしいだけである。

"A子さんのことが目に入らない場所で、アナタのことを信じてくれる大切な人を見つけましょう。その大切な人を探し当てることが、これからのアナタの復讐になるんです。"とマツコさんは締めくくる。
けっきょく他人は他人。いやな相手に執着していては、一生幸せにはなれない。そんな相手なんか忘れて自分自身の幸せを求めた方が、人生は輝くのだ。


マツコさんは、ただ毒舌で答えるだけではない。相談者の言葉の隅々にまで目を通し、できる限りその意志を読みとりながら、マツコさんなりの最大の答えを提示している。

そして他人の相談なのに、読んでいるうちに自分自身も諭されているような気持ちになってくるのが不思議だ。

悩める女性のみなさん。神様、仏様、マツコ様とありがたい教えを請うてみるつもりで、ぜひ本書を読み進めていただきたい。
(平原 学)

写真はアマゾンより『続あまから人生相談』(マツコ・デラックス/ぶんか社)

この記事を書いたライター

平原学
1985年佐賀県生まれ。作家・ライター・小説家。妻から「私より女子力高い」と言われているのが悩みの種。著書に『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)がある。

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