もっと女子力上げないと… 「足し算の女」がモテない原因とは

「好きな相手を見つけるためには、もっと自分を磨かないと」と言い、「とりあえず資格を取ろう」などとよくわからない自己鍛錬に励む女性がいる。
「資格と恋愛に何の関係が? それより、今ある自分の魅力を引き出すべきでは」と助言しても、なかなか聞き入れてはくれない。「やると決めたらやらないと!」と、すっかり頑張りモードに入ってしまう。
そのように、モテるために自分にないものを手に入れようと努力する女性のことを「足し算の女」というらしい。「足し算の女」たちが抱える根深すぎる問題を、『ゲスな女が、愛される。 あっという間に思い通りの恋愛ができる!』(心屋仁之助/廣済堂出版)から掘り下げていく。

目次

足し算の女は、引き算していくのが怖い


本書では、自分からはなにもしない「引き算の女」こそモテて、勝手に男がチヤホヤしてくれると説明している。すごく楽だし、すぐにでも実行したい話だ。けれどいくら「足し算の女」に引き算を求めても、怖がってなかなかできないのはなぜか。

"今までずっと「○○をしたら、愛される」というように、"条件つき"の人生を歩んできたから、その条件を失ってしまうのは、すごく勇気が必要"

本書からの引用だ。それまでの実績があるのだから、そこで軌道修正は難しい。
しかし「足し算の女」のモテテクには際限がない。最初の例から続けると、モテるために資格を得たとして、それでもモテなければ。「一流企業に就職し、キャリアを積んで、会社のトップに立つか、あるいは起業するか――」完全にモテの道とは逸れてしまう。オーバーに聞こえるが、実際にそれを目指してしまう女性もいるのだ。

足し算の女は、「ない」からすべてはじまっている


例えモテの道から外れても、人生成功して明るく生きられれば問題はない。が、「足し算の女」は、そうはいかない。何を得られても満足できず、どんどん自分を苦しめてしまう。自分にとって「ない」ということばかりに目が向いてしまっているからだ。

"言い換えれば、「今、その状態じゃない」自分を、ずっと責めている"

逆に「引き算の女」は、「ある」ということに目を向けられているから、常に自信に満ちあふれている。TOEICのスコアがなくたって海外で活躍したり、欧米人の彼氏を持ったりしている女性もいる。彼女たちは、必死に努力してスコアを稼いでいる「足し算の女」より何が優れているということもない。それでも人生明るく楽しめている。

小さい頃の罪悪感が今につながっている


「足し算の女」のもっと深い問題を掘り進めると、根本にはお母さんとの関わり方の問題にたどり着くと言う。

"小さい頃、お母さんに認められたかったという気持ちが、彼に尽くすという形で表れています。"

「お母さんはいつも私を構ってくれなかった」「いつも厳しくしつけられていた」と言い、嫌悪感さえ抱く女性たちがいる。
その感情は、罪悪感の裏返しでもある。「いつもお父さんにいじめられているようでかわいそうだった」「お父さんがいなかったから、一人での子育てに苦労をかけた」それらをどこか、自分の責任だと感じてしまう。
本書は、それさえ「思い込み」だと指摘する。たいていの母親は、娘が健康に育ってくれさえすれば幸せのハズ。無駄な罪悪感は捨て、「悲観的思想」から抜け出してようやく、「引き算の女」への道を歩み始めることができるのだ。

本書を執筆した心屋さん自身、足し算の女ならぬ「足し算の男」だったそう。あるときいったん、ほとんどすべての仕事をストップ。取引先の信頼を失いさえしながら、それでも結果は「大丈夫だった」。

"ダメな自分でいい、ダメな自分で価値があることに気づいたんです。"

引き算をしていくということは、「○○しなきゃ」という強迫観念を一つ一つ取り払い、自分には本来何ができたか、何をしたかったのかを見つめ直すことである。
そしてそれは、単に正しいモテテクを身につけるということにとどまらない。人生そのものを、自分の思い描いた正しい方向に導くということなのだ。
(平原 学)

この記事を書いたライター

平原学
1985年佐賀県生まれ。作家・ライター・小説家。妻から「私より女子力高い」と言われているのが悩みの種。著書に『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)がある。

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