漠然と「幸せになりたい」ではダメ!? 幸福感が増す生き方とは

「幸せになりたい」が口癖の人、皆さんの周囲にいませんか? 「幸せ」の定義は人それぞれだとは思いますが、一般的には、恋愛成就や結婚を指して言うことが多いですよね。でも実際のところ、人は恋愛や結婚をしさえすれば、必ずしも絶対に幸せになれる……というわけではありません。限られた一生、できるだけ満足して幸せに生きるためには、どんな心持ちでいるといいのか? そのヒントを探ってみました。

目次

恋愛や結婚だけでは、長続きする“幸せ”を得られない?


「幸せ」については数々の心理学者が研究をしていますが、中でもマーティン・セリグマンという学者は、満ち足りた人たちの生き方を分析し、「幸せな人生」には以下3つの本質的な要素があると述べています。

(1)喜ばしい人生……喜びの追求、社交性豊かな生活(=一般的に人が「幸せ」と結びつけて考える生活)
(2)よい人生……「自分ができること、したいと思うこと」を実行して、人格の成長を実現していく生き方
(3)有意義な人生……自分のためでなく、他者のために、あるいはもっと大きなもののために何かを成し遂げること

私たちが「幸せになりたい」というとき、どうしても(1)ばかりを考えてしまいがちですが、それだけでは長続きする幸福につながりにくい、と氏は説いています。

「恋愛成就や結婚に恵まれた暮らしはとても大事だけど、それ“だけ”では満たされきらない」というのは、既婚者たちからもよく聞かれる意見です。それと同じくらい、(2)「自分ができること」「したいと思うこと」に取り組んだり、(3)他者や世の中のために何かを成し遂げようとしたりする姿勢も重要。「幸せになりたいなら、仕事やプライベートで携わる活動のなかでもしっかり努力しなさい」というメッセージにも受け取れますね。

カール・ロジャーズという心理療法家も、「良い人生には楽しさだけでなく、充足感が必要」「自分が何者であるかに責任を持ち、精いっぱい充実した生活を送ることによって、心身の健康は得られる」といった研究結果を述べています。今現在、「彼氏ができさえすれば、結婚しさえすれば、一生続く幸せが手に入るはず」と無意識に思っている人は、その考えをちょっぴり見直してみるといいのかも。(2)や(3)にも目を向けて、「私の場合、どんなことをすれば幸せが感じられるのだろう?」と具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

“没頭”できるものがあると、強烈な幸福感を得られる!

 
幸せには、「フローを感じられる瞬間」が重要だと説く学者もいます。フローとは、自分のことも周囲のことも意識せず、無時間的な感覚で何かに集中・没頭している瞬間のこと。ミハイ・チクセントミハイ氏は、「フローの瞬間を味わうことが、人生の大きな満足感や幸福に繋がる」という研究結果を発表しています。

「フロー」の代表例は、ミュージシャンが音楽を演奏しているときの恍惚感。私たちが楽器演奏やカラオケ、ライブやコンサートに病みつきになるのも、「フロー」の瞬間を味わっているから――と考えると、なんだか腑に落ちますよね。氏によれば、音楽やクリエイティブな活動以外の趣味分野や仕事においても、自分にできる範囲のチャレンジに没頭していれば、「フローの瞬間」を味わえるのだとか。

そのほか、仕事への姿勢や他人に親切にする頻度によっても、幸福感は増すという研究結果が出ています。

幸福感が増す生き方・まとめ


(1)自分ができること・したいと思うことや、他者や世の中のためになることにも取り組んでみる
(2)音楽や創造的活動、趣味など、時間を忘れるくらい没入できる活動をすること
(3)不愉快な仕事を避けるだけではダメ。「喜びをもたらす仕事」を積極的にすること
(4)週に一度、他人に対してたくさん親切にする日を設けること

恋愛や結婚がうまく言っていないからといって、「幸せになりたい」と不満げで物欲しげな顔をしているのは悪循環のもと。思い当たる傾向のある方は、ぜひそれ以外の分野でも、幸せを感じられる瞬間の獲得にトライしていきましょう。「私、それなりに幸せな人生を送っているな〜」と心から思えるようになると、いいオーラが漂うようになり、自然に恋愛や結婚にも好影響が出始めることが期待できると思います。
(外山ゆひら)

参考:「10代からの心理学図鑑」マーカス・ウィークス著 三省堂

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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