嫌われない「好きな異性のタイプは?」の答え方

以前、とある飲み会にて、私の友人の男が向かいに座った女性に対して“あの恐ろしい質問”を投げかけたことがあります。

「好きな異性のタイプは? やっぱりイケメン? それとも性格の良い人?」

と。その瞬間、一体なんてことを聞くんだこいつは、と横で聞いていた私は心の中で頭を抱えてしまいました。何故なら、この質問は男性にとっても女性にとっても、どう答えたとしてもはっきり言って地雷だからです。

顔が大事、といえば面食い! と言われ、性格が大事、と言えばじゃあルックスは気にしないの?と責められ、どちらも大事、と言えばわがままで欲張りだと言われる、まさに八方塞がり。これは答えにくいぞ、やめておけばいいのに……とハラハラしながら返答を待っていると、なんと質問をされた彼女は少しもたじろぐことなく予想外の答えを告げました。

「同性から好かれていて、同性の友達が多い人!」、と。

その瞬間、私は内心、「上手い!」と拍手していました。

同性から好かれる人とは、男性であれば、「男の中の男」とでも言うべき人で、皆から尊敬されるリーダーシップのある人であったり、気さくでいつもみんなを笑わせている人気者だったりするでしょう。

同じように、女性であれば、ぶりっ子のように異性に媚びて同性に疎まれる人ではなく、誰もが恋を応援するようなチャーミングで明るい女性であったり、自立したカッコいい女性であったりすることが多いです。

こうした同性から好かれる人が好き、という回答は、「○○みたいなイケメンが好きです」、「可愛い系が好きです」などと容姿でその好みを答えたり、「グイグイ引っ張ってくれる人がタイプです」、「家庭的な人が良いです」といったよくわからない基準を示したりするよりは、気が利いています。

「これって自分のことかな?」と勘違いできるうえに、「この人は大事なことがわかっている」という好印象も。そのくせ、具体的な好みはぼかすことができるし、同性からも嫌われない。ウルトラCの回答と言えます。

実際、この返答を聞いたあとその場は男女ともに「確かに!」「分かる」と共感の嵐になり、最後まで良い雰囲気のまま話が進んでいきました。

「好きな異性のタイプ」が地雷であることには変わりはありません。この答えにしても、はぐらかされたと感じる人もいるでしょう。それでも「究極の恐怖質問」に対する、正解に近い答えを聞いたような、思い出深い夜でした。

あなたはふだん、どう答えてますか? と、その前に、ついうっかりと不用意に、この質問を投げかけたりしていませんか?
(五百田達成)

この記事を書いたライター

五百田達成
作家・心理カウンセラー。「男女コミュニケーション」「きょうだい型性格分析」「ことばと伝え方とSNS」をテーマに執筆・講演。35万部を超える「察しない男 説明しない女」シリーズほか著書多数。

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