尽くす女はダメなの? 恋愛で「重い」と言われがちな人が気をつけたいこと

「尽くす女」。この言葉、昔はいい意味で使われていましたが、今や「恋愛がうまくいかなくなりがちな人」の代名詞のようになっていますよね。自分よりも相手のことを考え、人に尽くせる資質を持っている人は、異性や恋人にも喜ばれそうなものですが、なぜこんなにも否定的に捉えられるようになったのでしょうか。
「やさしさ」の本当に意味について考えてみると、そのヒントが見えてくるかもしれません。「尽くす女」を卒業したい人は、ぜひご参考あれ!

目次

「相手のしてほしいこと」を叶えてあげる=やさしさなの?


ひと口に「やさしい人」と言っても、何をされたら「やさしい」と感じるかは人それぞれですよね。以前の記事『女子が言う「やさしい人がタイプ」に隠された本音は!? 好みの男性像を語る時のコツ(ページ下部関連リンク参照)』でも紹介したとおり、「やさしい人」として挙げられている内容はかなりバラバラです。

そこで考えたいのは、「相手のして欲しいことをしてあげる人」が「やさしい人」なのか、という点です。恋人が自分のして欲しいことをしてくれたら、それは当然うれしいですよね。でもそれこそが「恋人としてのやさしさ」なのだと思ってしまうと、究極的には「自分の言いなりになってくれる恋人が欲しい」ということになってしまうのではないでしょうか。

それに必要以上に「相手のして欲しいことをしてあげよう」としすぎたり、「自分もそうして欲しい」と内心で相手に期待したりするようになると、そのやさしさは一転して、相手にとって喜ばしいものではなくなってしまいます。期待に応えることを強いられるのは誰だって不快ですし、あまり一方的にやさしさを提供しようとすると、居心地の悪さや負担感が生まれてくるからです。

それはなぜか。人間にはギブアンドテイクの心理があり、何かをしてもらいすぎると「して返さなくては」と感じさせられて息苦しいのですね。そうなると、恋人なのに、お互いがお互いのままで自然にいるのが難しくなってしまう。居心地が悪くなると恋愛は続きません。尽くしすぎて恋をダメにしがちな人は「自分から言いなりになろうとするのは、やさしさじゃない」「与えられすぎると、人は居心地が悪くなる」といった事実を、ぜひ心に留めておきましょう。

エゴが含まれていると「やさしい」は「恐ろしい」になる!?


仏教の視点から説かれた『やさしいってどういうこと?(アルボムッレ スマナサーラ著/宝島社)』という書籍には、やさしい人とは「自我を張らず、よけいなことを考えないで、自然の流れで生きている人」だと定義されています。そして本当のやさしさは「必要以上を求めない」ものであり、行為のなかに自我(エゴ)が含まれていると「やさしい」は「恐ろしい」になってしまう――という非常に明快な指摘もされています。

恋人に必要以上に尽くしてしまう心理のなかに、「もっと愛されたい」と見返りを欲する気持ちや、「相手の役に立つことで自分の存在意義を感じたい」などの依存心があると、相手に無意識の「恐ろしさ」を感じさせてしまう。恋人に尽くして「重い」と言われがちな人は、そこに自分のエゴが潜んでいないか、一度冷静に考えてみるといいかもしれません。

人がパートナーに求めるのは「最低限の刺激」と「自然なやさしさ」


では、カップル間で求められる本当の“やさしさ”とは、どんな態度なのか。「ただいま」と言ったら、笑顔で「おかえり」と返ってくる。呼びかけたら、返事をしてくれる。眠る前に「おやすみ」と言い合える。落ち込んでいたら「どうしたの?」と尋ねあう。いいことがあったら「よかったね」と一緒に喜ぶ……などなど。必要以上に相手に何かしようとするのではなく、お互いに自然体で“最低限の刺激”を発信しあうだけでいい。そんなスタンスで関わっていければ、とても円満な関係が築いていけるのではないでしょうか。

「彼(彼女)のして欲しいことをしてあげたい」と必要以上に思ってしまうときは、ぐっとこらえ、「私たちは自然体でいて、最低限のやさしさを交わしあえれば十分なんだ」と心に言い聞かせてみましょう。相手のほうが精神的に未熟で、過剰な要求をしてくる……という場合もあるでしょうが、円満な関係でいたいならば「あえて相手の要求に応えない強さ」を発揮することも、時には必要だと思います。

「誰かの役に立ちたい」「人として認められたい」という気持ちが満たされきらないから恋人に尽くしてしまう……という人は、仕事でも趣味でもボランティアでも、恋愛以外の世界でその気持ちを満たせる場所を探してみるのもおすすめです。

「やさしさ」だと思ってしていることが、くれぐれも「恐ろしい」に変わらないよう、自然体のやさしい恋人でいたいものですよね。思い当たる節のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

関連記事