『呪術廻戦』の結界術「帳」は現代社会でも使用されている!?

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マンガ『呪術廻戦』が大ヒット!

『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ『呪術廻戦』の人気が高まっている。芥見下々(あくたみげげ)先生が描く本作は2018年3月に連載がスタート。2020年10月にはアニメ放送もスタートし、2021年3月にはコミックスの累計発行部数が3600万部を突破。物語の随所に張り巡らされた伏線や「呪い」をテーマにした人間ドラマ、迫力ある戦闘シーンなどが高く評価されているダークファンタジーだ。

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『呪術廻戦』で描かれる穢れを隔離する結界と「帳」

2020年からのコロナ禍において、一部の医療従事者や感染者への差別が起こってしまった。残念ながら、このようなケースは初めてではない。2011年に起きた東日本大震災の際には、目に見えない放射能への恐怖から、福島県の被災者が差別に苦しめられた。

これらのケースの根底には、日本人の「穢れ(けがれ)」の思想がある。日本古来の信仰である神道(しんとう)は、穢れを祓(はら)い、清浄であることを最重要視する。死や害悪をもたらすものに触れると、魂もまたその影響を受けるとする考え方だ。そして、穢れに触れた人に接触すると穢れがうつるとされる(触穢[そくえ]と呼ばれる)。

『呪術廻戦』の作中でも、この「穢れ」にまつわるワードが会話に登場する。それが「帳(とばり)」と呼ばれる結界を展開する際の呪文だ。「帳」は「闇より出(い)でて闇より黒く、その穢れを禊(みそ)ぎ祓え」(第6話)という言葉とともに展開され、中と外の空間を分けて、知覚や電波、特定の呪霊や人間などの出入りを制限する効果がある。

神社の行事「大祓」の護符と「帳」の共通点

ちなみに、神社で神職が神に対して読み上げる祝詞(のりと)には、この「帳」の呪文と似たものがある。最も基本的な祝詞で、祭祀の前に行なわれる修祓(しゅばつ)の儀(お祓い)で読み上げられる祓詞(はらえことば)だ。その文言には、「諸々(もろもろ)の禍事(まがごと)・罪・穢れあらむをば祓へ給(たま)ひ清め給へ」とある。

毎年6月と12月には全国の神社で大祓(おおはらえ)という行事が行なわれる。この大祓では、知らずに身についた半年間の穢れを人形(ひとがた)と呼ばれる人間の形の紙へとうつす。この人形が神職によって川などに流されることで、穢れが祓われ、無病息災で過ごせるとされる。この大祓にちなんだ護符には「蘇民将来之子孫也(そみんしょうらいのしそんなり)」と記されている。その昔、疫病を司る神・牛頭天王(ごずてんのう)が旅の途中で一夜の宿を求めたところ、巨旦(こたん)将来という名の裕福な長者は断ったが、その弟の蘇民将来は貧しいながらも手厚くもてなした。牛頭天王は一夜のお礼に茅(ち)の輪(わ)を授け、蘇民将来の子孫である証とするようにいった。以来、「蘇民将来之子孫也」と記された茅の輪の護符を門に掲げると疫病が邸内に侵入しなくなるとされる。穢れから邸内を守る呪術的な結界の役割を担うのだ。

「穢れ」は消えない!?

『呪術廻戦』の結界術「帳」は現代社会でも使用されている!?の1枚目の画像

穢れの思想が特殊なのは、穢れが消滅するのではない点だ。神社にお参りする際の手水舎の清めや葬式後に体に振る塩において、穢れは水や塩にうつされて(隔離されて)、体から離れるだけで消えたわけではない。

『呪術廻戦』第27話では、主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)が人への恐れから生まれた呪霊・真人(まひと)に対して「ブッ殺してやる」という言葉を放つ。これに真人は「“祓う”の間違いだろ 呪術師」と答える。呪い=負の感情という穢れが根源的には消滅しないことを示す端的な言葉といえるだろう。

監修:加門七海

【Profile】
(かもんななみ)
東京都墨田区生まれ。美術館学芸員を経て、1992年『人丸調伏令』で作家デビュー。オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、作品にもそれらの知識が反映されている。他の著書に『うわさの神仏 日本闇世界めぐり』『霊能動物館』『着物憑き』(以上、集英社)、『お祓い日和 その作法と実践』『お咒い日和 その解説と実際』(ともにKADOKAWA)、『加門七海の鬼神伝説』『大江戸魔法陣 徳川三百年を護った風水の謎』(朝日新聞出版)などがある。

(抜粋)

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『呪術の日本史』
監修:加門七海

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編集 青木康(杜出版株式会社)
執筆協力 青木康
編集協力 阪井日向子
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