天海祐希の“『苦労』を自分で決めない”主義|映画『老後の資金がありません!』に込めたメッセージ[インタビュー]

目次

天海祐希さんの「ヴィーナス力」

優雅に、そしてタフに生きていくために必要な力――それが「ヴィーナス力」。道に迷った時、天海祐希さんの胸にはいつも「心の女神」の声が響きます。

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生まれた時から、誰もが女神! 経験で磨いた力を、大人の今こそ発揮しよう

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懸命に過ごした日々は、必ずかけがえのない宝物になる

「女性はみんな、生まれた時からヴィーナスですよ! 女神だから!」

天海祐希さんにそう言ってもらって、奮い立たない女性がいるだろうか? なんとも心強い発声とともに向けられる笑顔は、テレビや映画、舞台でその姿を目にする時と同じように、私たちの気持ちを明るい方へ引き寄せる。
「そりゃあ、女性であるということで守るべきとされること、決められているように思えることがいくつもあって、『こうでなければならない』とつい自分を縛ってしまいがちですよね。特に大人世代の女性は、自分のことだけでなく仕事のこと、家庭のこと、家族ひとりひとりのこと、親のこと……男性とは違う意味で、いろんなことをいっぱい肩に背負っている。本当に、皆さんよくがんばっていらっしゃると思います」

コロナ禍による公開延期を経て、満を持してこの秋スクリーンにお目見えする新作主演映画『老後の資金がありません!』で天海さんが扮した主婦・篤子も、まさにそんな同世代のひとり。いわゆる“老後資金2000万円問題”にじわり危機感を抱きつつも続いていた彼女の平穏な日常は、不意に訪れた義父の死、その葬儀の費用負担に端を発して揺らぎ始める。浪費家の義母との同居、突然の娘の結婚、夫の失業、さらには自分の失業まで。家庭の危機に直面し、倹約に励みながらひとつひとつの問題に真摯に向き合い奮闘する篤子の姿は、おかしくもありつつ、どこか清々しく、愛おしい。
「一生懸命になっている時ほど、はたから見ると滑稽だったりするんですよね。でも、篤子さんが担っているのは本当に大事な役割だと思います。だって“つなぐ”ことでしょう? 家庭で夫と子どもをつなぐ、親と子ども世代をつなぐだけでなく、仕事の場では上の世代と下の世代をつないだり、または、家族と社会をつないだり……。そういうクッションのような役割は、やっぱり女性の方が細やかかつ柔軟にできることだし、特に様ざまな経験を積んだ大人の女性だからこそ発揮できる、素敵な能力。もちろん、頼られてばかりで女性の肩の荷ばかりがどんどん重くなるのは、ちょっとシャクなんですけどね。『もっと気がつきなよ、男性諸君!』って(笑)」

経験の蓄積こそが、生まれながらの女神をより神々しくさせる――けれど、その経験が決して楽しいことばかりではないことを、大人の私たちは知っている。家庭の問題、仕事の責任、人と人、社会との軋轢の中で感じる重圧。しかし、天海さんはどんな経験も「『あれは嫌なことだった』と決めつけてはいけないなぁ、とも思うんです」と前を向く。
「もちろん、立ち直ることが難しいほど苦しい経験をされる方もいらっしゃって、それは本当にお気の毒なことだと思います。でも、それ以外の多くのことは、自分ではなるべく『苦労した』という枠に入れたくなくて。苦労と自分で決めた時点で、それが苦労として定着してしまうような気がする、というか……。だって、今自分がこうしていられるのは、過去の経験があったからですよね。そのどれひとつを欠いても、たぶん同じ自分にはなれていないはずですから」

迷ったら、きつい道を選ぶ。自分の心の声に従って

すべてが必要なことで、ありがたいことだった、と天海さん。その思いは、自然と日々の行動につながっていく。
「自分の中の良心……とでも呼べるのかな? 仕事でも何でも、ラクな方ときつい方、ふたつの選択肢があるとしたら、必ずきつい方を選ぶんです。ラクな道を行くと、私の場合、なぜかあとで絶対後悔するんですよ。だから、その時は大変だなぁ、面倒だなぁと思っても、とりあえずそっちを選ぶことにしています」

選んだ道の先も、さらにストイックだ。明日の本番に備えてセリフを頭に入れるとして、だいたい入ったなと感じた時に、あえてもう1回のおさらいを自身に課す。
「もう眠いからいいんじゃない?と思っても、『いやいや、ここで寝て明日失敗したらどうするんですか』と言う自分がいるんですねぇ、困ったことに(笑)。そして、『ですよねぇ』ともう1回やる。たぶん、後悔するのが嫌なんでしょうね。やったけどダメだったというなら悔いはないけど、ラクをしてあとで『もう少しやっておけば……』と思うと、いつまでも引きずってしまうので。それに、そう思えるのはやっぱり、今の仕事が自分にとってやりたいことだから。やらなきゃいけないじゃなくて、やりたい……だから、当然なんです。こうやって作品に出させていただいて、なかなかできないことを体験させてもらっている……それは本当に、自分の唯一の財産だと思うので」

険しい道を歩んだ成果は、こうしてまたひとつ形になり、多くの人に手渡されていく。美しい循環が広がっていく。
「今回の作品で扱ったのは、これからをどう生きていくかという、誰もが直面する課題。人にはそれぞれ置かれた状況があるわけですから、ただひとつの正解ということはありえません。それでも作品を観て、笑って泣いて、時には一緒に怒っていただきながら、『こんなやり方があるんだ』『こんな可能性も、もしかしたらあるのかもしれない』と感じていただけたら……。必死だった日々もいつか笑い話になるんだよ、というメッセージも届けられたらいいなと思っています。もちろん、このコロナ禍の日々だって、必ずそうなる! 何年後かに『あんな時があったよね』って言い合いたいから、そのためにまだまだ気を緩めず、みんなで支え合って、元気でいましょうね」

PROFILE/天海祐希(あまみ・ゆうき)

1967年東京生まれ。最近の出演作はドラマ『緊急取調室』『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』など。映画『老後の資金がありません!』は10/30に全国の映画館で公開スタート。また、ドキュメンタリー映画『私は白鳥』(11/27公開)ではナレーション出演も。

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撮影=中村和孝
スタイリング=大沼こずえ〈eleven.〉
ヘア&メイク=林 智子
取材・文=大谷道子

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WEB編集=FASHION BOX

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