【乙女座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<5/3〜5/16> 月のパッセージ―新月はクラい、満月はエモい―

12星座全体の運勢
「濃密なエモを嗅ぎとって堪能すればいい」
5月7日は鞍馬寺などでブッダの生涯を祝うウエサク祭が催され、蠍座で満月を迎えます。今回の蠍座の満月は「FULFILLMENT(約束の履行と実現)」がキーワード。これは言い換えれば「変容の成就」ということでもあり、古いパターンからの脱却や離脱、引きこもり期間の後に、人生のユニークでカラフルなビジョンに目覚めることがテーマとなっています。今週はできるだけ現実の豊かな匂いや味を堪能していくことで、心が昂揚する「エモッ!」を研ぎ澄ましていきたいところ。
乙女座(おとめ座)
今週のおとめ座のキーワードは、「蛙(かえる/かわず)」。
蛙は一般的には「ケロケロ」や「ゲロゲロ」と鳴くことになっていますが、長塚節の『土』には「きろきろきろきろと風船玉を擦り合わせるような蛙の声」とありますし、林芙美子は『浮雲』で食用蛙の声を「ぼろんぼろん」のイメージで聴き取り、「雨滴(あまだれ)のように何時までも二人の耳についていた」と書いたり、他の箇所では「太棹(ふとざお)の三味線でも聴いているように」と三味線の音色にも喩えており、他にも書き手によって様々なヴァリエーションが存在します。

このように蛙は短歌や文芸作品のモチーフとして特にその鳴き声が愛でられてきたのですが(10世紀の古今和歌集にも「水に住む蛙も、生きとし生けるものはすべて歌を歌わない物はない」との記述あり)、17世紀の松尾芭蕉は「古池や蛙飛び込む水の音」という句を詠むことで、伝統に反した新たな詩情を蛙のなかに発見し、他とは一線を画した訳です。

今週のおとめ座もある意味でそんな芭蕉のように、何気ない日常に潜んだ身近なモチーフを通して新しい美を見出していくことがテーマとなっていきそうです。

出典:
長塚節『土』(新潮文庫)
林芙美子『浮雲』(新潮文庫)
『古今和歌集』 (角川ソフィア文庫)
松尾芭蕉『おくのほそ道』(講談社学術文庫)<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ

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