【蟹座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<5/31〜6/13> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー

12星座全体の運勢
「‟想定外”への一歩を踏み出す」
二十四節気で「穀物の種をまく時」という意味の「芒種」を迎えるのが6月5日。実際には麦の刈り取りの時期であり、どんよりとした天気の下で鮮やかな紫陽花やカラフルな傘たちが街をいろどる季節。そして6月6日に起きる射手座の満月は、いつも以上にエモの膨張に拍車がかかる月食でもあります。そんな今の時期のキーワードは「モヤモヤのあとのひらめき」。それは息苦しい勉強に退屈していた子供が、庭に迷い込んだ野良猫の存在に驚き、その後を追い路地を抜けた先で、今まで見たことのなかった光景を目にした時のよう。これから満月前後にかけては、現在の行き詰まりを打開するような‟想定外”体験に、存分に驚き開かれていきたいところです。
蟹座(かに座)
今週のかに座のキーワードは、「山を張れ」。
勉強のコツとは別に、試験のコツというのがあって、その極意は「山を張る」ことにあり、本番に強い人間というのは往々にして「山を張る」ことに長けているもの。

丘よりもさらに高く盛り上がって、苦しい「峠」を何度か越えると、それが「山」になっていく訳ですが、そうやって自然に到達した場所にたまたま金や銀の鉱脈が見つかるというのではなく、はじめからそれを狙って大胆な予想をし、思いきった手段に出ることを「山を張る」とか「山が当たる」といい、それを自分の習慣にしてしまえるような人のことを「山師」という訳です。

芥川龍之介は小説だけでなく俳句も嗜む人でしたが、『続芭蕉雑記』の中で史上随一の大俳人である松尾芭蕉について「日本の生んだ三百年前の大山師だつた」と述べており、彼が俳諧という前衛芸術を確立しえたのも、山を張った成果だと言うのです。曰く、

「芭蕉の住した無常観は芭蕉崇拝者の信ずるやうに弱々しい感傷主義を含んだものではない。寧ろやぶれかぶれの勇に富んだ不具退転の一本道である。芭蕉の度たび、俳諧さへ「一生の道の草」と呼んだのは必しも偶然ではなかつたであらう。」

そして月食前後にかけて、かに座のあなたもまた、自分なりの道を歩いていくためにここぞとばかりに山を張り、賭けに出ていくことがテーマとなっていくでしょう。

出典:『芥川龍之介全集 7』(ちくま文庫)

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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ

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