【射手座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<6/28~7/11> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー

12星座全体の運勢
「淀みや停滞を吹き流せ!」
いよいよ梅雨が明け、本格的な夏の到来に向け日に日に太陽がパワーを増していく二十四節気の「小暑(しょうしょ)」に入るのが7月7日。そして今回はその直前にあたる7月5日にやぎ座で満月を迎えていきます。テーマは「禊ぎと祓い」。

すなわち、すでに時代遅れで何の支えにもなっていない空っぽの言説や価値観に絡まったままもがき続けるのか、それともまやかしやごまかしを切り捨てたところに今後の活動の土台や、大切にすべき礎(いしずえ)を見出していけるか。いずれかに分かれていくことになりそうです。

かつて7月は、涼しい風が吹くのを待つことから「風待月」とも言われたそうですが、今回の満月前後にかけては、自分の内部や周囲に漂うよどみや停滞、行き詰まり感をどれだけ爽やかに吹き流していけるかが問われていくでしょう。
射手座(いて座)
今期のいて座のキーワードは、「無理のない満足」。
岡本かの子の代表作『金魚繚乱』は、崖上の広大な邸宅に住むお嬢様と崖下で金魚屋を営む家のせがれという分かりやすい階級格差を軸に、男女の一生の交錯劇を描いた小説です。

ただ、男と女は絆を感じこそすれ、結局は現実に結ばれることはありませんでしたが、男は最後に生涯かけての悲願であった至高の金魚の創造に偶然にもたどり着きます。

その現実離れした美しさについて、作家は豊麗かつ唯一無二の比喩を駆使して、これでもかこれでもかと描き出していくのですが、ここで取り上げたいのはそんな絢爛たるフィナーレではなく、次のような物語の中盤に出てくる研究所の日常での一コマです。

「水を更えてやると気持よさそうに、日を透けて着色する長い虹のような脱糞をした。」

ここには、泥をすすってでも一途に生きる人間の苦悩や格闘を描くという、この作品の根底にある真のテーマが、金魚に置き換えられ、さりげなく示されているのではないでしょうか。

見かけの華やかさや一時的な評価ではなく、疑いようのない実質としての真の満足ということがテーマとなっている今期のいて座にとって、こうした何気ない日常の中に配置された満足の無理のなさ、美しさこそ、いま改めて追求していくべきお手本のように思われます。

出典:『ちくま日本文学全集26 岡本かの子』(筑摩書房)

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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ

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