<7/12~7/25>哲学派占い師SUGARさんの12星座占いまとめ

<7/12~7/25>哲学派占い師SUGARさんの12星座占いまとめの2枚目の画像
[目次]

  • 【SUGARさんの12星座占い】<7/12~7/25>の12星座全体の運勢は?
  • 【SUGARさんの12星座占い】12星座別の運勢

  • 《牡羊座(おひつじ座)》
  • 《牡牛座(おうし座)》
  • 《双子座(ふたご座)》
  • 《蟹座(かに座)》
  • 《獅子座(しし座)》
  • 《乙女座(おとめ座)》
  • 《天秤座(てんびん座)》
  • 《蠍座(さそり座)》
  • 《射手座(いて座)》
  • 《山羊座(やぎ座)》
  • 《水瓶座(みずがめ座)》
  • 《魚座(うお座)》



  • 【SUGARさんの12星座占い】<7/12~7/25>の12星座全体の運勢は?
    「飛び地へとアクセスしていくこと」
    6月21日には372年ぶりの夏至の日食(新月)がありましたが、7月22日からの「大暑」に前後する7月21日にはそれに続き蟹座での2度目の新月を迎えます。

    今回の新月は「取り込まれるべき大きな物語」がテーマだった前回の新月に対するフォローアップ的な位置づけにあり、この一カ月のあいだに土星が山羊座へ戻り“試練や課題”が明確になってきた状況において、改めてこれからその中で生きていきたい世界や価値観を選びなおしていく軌道修正のタイミングなのだと言えるでしょう。

    その際、意識していきたいのが「直感に従って選ぶ」ということ。もしいまあなたの前に二つないし複数の選択肢があるなら、以前の自分であれば無意識的にこっちを選んでいたなという“自分が逃げ込みがちな”選択肢(しかし長い目で見れば破綻が明らかな)ではなく、一見奇妙に見えたり、これまでの現実の延長線上から外れたところに現れた“飛び地”的な(したがってほとんど孤立した)特異点、すなわち未知の領野へアクセスするような選択肢を選んでいきたいところです。

    《牡羊座(おひつじ座)》(3/21~4/19)
    今期のおひつじ座のキーワードは、「どんなことにも終わりは来る」。
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    こんな経験はないでしょうか。夜中にふと目覚め、自分の存在が永遠になくなる瞬間が今にも迫っているという予感がして、ベッドで身動きできなくなる。あるいは、いつこの世から消えてもおかしくない存在なんだと、不意に感じて立ち尽くしたり。

    『百年の孤独』という小説は、マコンドという蜃気楼の立ち込める村に住む開拓者一族・ブエンディア家の物語で、さまざまな出来事が永遠の輪廻のように起こり、そのどれもが実に緻密に描かれています。

    土地と人間とがほとんど不可分なほど結びついたこの村では、語るという原初的な力を持った衝動が、狂気に近い熱気をもって旺盛に紡がれていくのですが、それは100年に及ぶ物語の結末においてすべてが土埃と化し、消滅していく死が待ち受けていることを、家そのものが感知していたからかも知れません。

    そのあいだにも、この物語では死はしょっちゅう、あたりまえのように起こり、登場人物たちは自分の死を自然の摂理のごとく受け入れていくのです。それぞれの仕方で。そうした態度はいつの間にか読者にも刷り込まれ、どんなに素晴らしい物語もいつか終わりがくるものであり、それを望む自分がいることを受け入れられるようになるはず。

    そして、それは今のおひつじ座にとっても必要な態度のようです。何を終わらせ、それをどんな物語として語り継いでいくべきか。今期はひとつ「村の語り部」になったつもりで、自分のよく見知った「家」の来し方行く末を眺め渡してみるといいでしょう。

    出典:ガブリエル・ガルシア=マルケス、鼓直訳『百年の孤独』(新潮社)
    《牡牛座(おうし座)》(4/20~5/20)
    今期のおうし座のキーワードは、「世界の優しい無関心」。
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    「きょう、ママンが死んだ」という一文から始まるカミュの『異邦人』では、保険会社に勤める平凡なサラリーマンである主人公ムルソーが、母の死後に友人の女性関係のいざこざに巻き込まれ、殺意のなかった人物をたまたま殺してしまう。

    そして裁判の最後で殺人の動機を訊かれたムルソーは、「太陽が眩しかったから」という有名なセリフを吐く訳ですが、ここでは彼は徹底的に受け身の人物として描かれています。つまり、社会や世界に能動的に関わることに何の意味も見出せない、とめどない虚無感のかたまりとして。

    けれどムルソーはその後、相変わらず社会道徳に無関心なまま、かと言って神に頼る訳でもなく、自分ひとりの力で死の恐怖を克服し、「世界の優しい無関心」に心を開くことで、ついにみずからの「幸福」を確認します。

    ここにおいて、意味のない人生を意味のないまま引き受けることにした主人公の不条理は、ひとつの出発点となり、主人公の人生はどこにたどり着くかは分からないけど、とりあえず先に向かって走り出した「異邦人」のそれとなったのです。

    そして、こうしたたぐいの疾走感こそ、今のおうし座に必要なものなのではないでしょうか。つまり、ついそこに捕らえられ、取り込まれがちな自意識の外へと走りだすこと。つながっているから優しいのではなく、つながっていないからこそ優しい。そういう種類の優しさを、みずから選んでいくこと。

    出典:アルベール・カミュ、窪田啓作訳『異邦人』(新潮文庫)
    《双子座(ふたご座)》(5/21~6/21)
    今期のふたご座のキーワードは、「見え方を変える」。
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    架空の作品や百科事典を見事なまでにでっち上げることで知られているボルヘスは、20世紀の初めに”ドン・キホーテを書こうとするフランス人作家”を主人公とした『「ドン・キホーテ」の作者ピエール・メナール』という小説を書いています。

    もちろん『ドン・キホーテ』は17世紀にスペイン人のセルバンテスが母国語でのびのびと書いたものですが、この小説の語り手は20世紀のピエールが外国語の古語を無理して使って書けば、同じテキストであっても持つ意味合いは異なるだろうと言うのです。

    ここに描かれているのは、あらゆる手法やテーマがすでに使い尽くされてしまった現代において、オリジナリティを求めることの困難と無意味さです。

    彼は「文学におけるオリジナリティとは何か、そもそもオリジナリティは存在するのか」という問いを自身の作品の多くに内包させていましたが、これはボルヘス自身がスペイン語を母語とするアルゼンチン人で、彼の家庭では英語とスペイン語の2言語が同じように使われていたということも大きく関係しているでしょう。

    そして、こうしたオリジナリティや価値をめぐる問いは、まさに今のふたご座にとっても乗り越えなければならない壁として迫ってきているのかもしれません。

    ボルヘスほど見事な仕方ではなくても、まったく新たな意味や概念を作りだすのではなく、むしろ既存の文脈をずらすこと、そうしてこれまで当たり前のように受け入れていた景色の見え方を変えていくことができるかどうかが問われていくはずです。

    出典:ホルヘ・ルイス・ボルヘス、鼓直訳『伝奇集』(岩波文庫)
    《蟹座(かに座)》(6/22~7/22)
    今期のかに座のキーワードは、「思い出の真ん中に」。
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    天涯孤独の身となった主人公が、パリで淋しい生活を送りながら詩人になろうとするさまを手記の形式で描いた小説『マルテの手記』には、一貫した筋というものは特になく、パリの街を日々ほっつき歩いてはそこで見たものがしるされ、合間に生と死や愛などへの考察や、読書体験や過去の思い出がつらつらと綴られていきます。

    当時のパリは産業革命を経て、より豊かで便利な社会になるべく大都市になっていった時代でしたが、その一方で貧富の差の拡大による一般庶民の悲惨な生活があって、主人公はそういうところをこれでもかと観察しては文章化していく。もし現代に生きていたら、実況系YouTuberになっていたか、ブロガーになっていたのではと思わずにはいられません。ただ、彼がなろうとしているのはあくまで詩人です。

    「追憶が僕らの血となり、目となり、表情となり、名まえのわからぬものとなり、もはや僕ら自身と区別することができなくなって、初めてふとした偶然に、一編の詩の最初の言葉は、それら思い出の真ん中に思い出の陰からぽっかり生まれて来るのだ。」

    つまり、彼が書こうとしている詩とは、自分ひとりの力では決して書きえない詩であり、見聞きした都市と一体化していく中で、「思い出の陰からぽっかり生まれて来る」ものであって、彼はそのために日々せっせと仕込みをしている訳です。

    今、かに座のあなたの心の中には、どんな思い出たちがひしめき合っているでしょうか。あるいは、この一カ月のあいだ、あなたは何を見聞きし、それをどんな風に心に刻んできましたか。

    それがやがて一行の詩となり、あなたそのものを表していくでしょう。

    出典:ライナー・マリア・リルケ、大山定一訳『マルテの手記』(岩波文庫)
    《獅子座(しし座)》(7/23~8/22)
    今期のしし座のキーワードは、「魔法の秘密」。
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    言いしれぬ恐怖がひたひたと心の平衡を侵していく感覚というのは、いったん感じ始めるとなかなかそれを食い止めるのに難儀するものですが、『何かが道をやってくる』という小説の主人公で、13歳になったばかりの二人の少年ウィルとジムにとってのそれは、ある日町にやってきたサーカス一座でした。

    日本でも大正末期から昭和初期には、サーカスというと「人さらいの話」がイメージされていました(もちろん現在ではそんなことはありません)が、そんなどこか怪しげで魔術的な古き良きサーカスのイメージを引き継いだ邪悪なサーカス団「クガー・アンド・ダーク魔術団」の<刺青男>は、彼らを奇形人間に改造してサーカスの団員にしようと、容赦なく着実に近づいてくるのです。

    「どこに隠れている? BoysのBの棚かな? Adventure(冒険)のAの棚かな? Hidden(秘密)のHの棚かな?……Terrified(助けて)のTの棚かな?」

    けれど、町の図書館長を務め、二人の少年の話を唯一信じてくれたウィルの父親が物語の強烈な秘密を暴いたとき、もう少しで怪しい霧に飲みこまれそうになっていた彼らは間一髪のところで危機を逃れます。

    そうして恐怖を一掃する原動力となった魔法の秘密は、じつは誰もが簡単にできる何気ない振る舞いにあり、ただ大人になるといつの間にかその回数も減っていき、何より思いきりしなくなってしまうものでもありました。

    13歳という子どもと大人のはざまの時期にある彼らにとっては、まさにこの物語は人生の分水嶺であり、その点においては今のしし座にも同じことが言えるでしょう。

    では、それが日々から減ってぎこちなくなってしまうと恐怖が勢いを増し、こちらを取り込んでしまうところまで増幅するような“振る舞い”とは一体どんなものなのでしょうか。

    今期のしし座はひとつ最近自分の顔から減ってしまっているものはないか、真剣に考えてみるといいかも知れません。

    出典:レイ・ブラッドベリ、大久保康雄訳『何かが道をやってくる』(創元SF文庫)
    《乙女座(おとめ座)》(8/23~9/22)
    今期のおとめ座のキーワードは、「世界全体に否定を突きつける」。
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    歴史の急変に翻弄されて悲劇的な死を遂げていく人もいれば、驚くべきたくましさで生き残り以前よりも強く豊かな生を手に入れていく人もいる。

    歴史的な動乱期というのは、どうしても人生の光と闇のコントラストが激しくなってくるものですが、戦争孤児の双子について<ぼくら>の日記形式で描いた『悪童日記』という小説は、いかにもお涙頂戴的なストーリーにも、重苦しいだけの歴史の講釈にもなっていない、国や時代の違いをこえた普遍的な強度を備えています。

    例えば、強制収容所にひかれていく人たちを見た後、司祭から一緒に祈るかと聞かれた二人は次のように答えています。

    「ぼくたちが絶対にお祈りをしないことは、ご存知のはずです。そうじゃなくて、ぼくたちは理解したいんです」

    二人のこうした態度は一見すると傲岸なのですが、世界の不条理みたいなものに負けないための必死の抵抗であり、そうした不条理について「ウイ(フランス語のYES)」と肯定で返していくことによって、二人は負けない経験を積み重ねていく。

    そして、一つひとつは小さな経験であったものが、組み合わさって組み合わさって、やがて世界全体に対して「ノン」と否定を突きつけるにいたる訳です。

    先の、不条理な世界をありのままに分かりたいというのは、そうすることで初めてちゃんと自分たちを肯定しつつ生きていくことができるんだ、というメッセージでもあるのでしょう。

    と同時に、こうした世界との戦い方であり抜け出し方というのは、今のおとめ座にとって大いに指針となるはずです。

    「塵も積もれば山となる」ではないですが、ふたりが悪口の言い合いや殴り合い、断食の練習を積み重ねていったように、今期はいかに不条理の自覚的肯定=負けない経験を積んでいけるかが問われていくでしょう。

    出典:アゴタ・クリストフ、堀茂樹訳『悪童日記』(ハヤカワ文庫)
    《天秤座(てんびん座)》(9/23~10/23)
    今期のてんびん座のキーワードは、「待ってても来ない」。
    <7/12~7/25>哲学派占い師SUGARさんの12星座占いまとめの9枚目の画像
    夕暮れの田舎道、一本の木のそばで、「どうにもならん」とつぶやきながらゴドーさんを待ち続けるボロ着姿で縛られたままのエストラゴンとウラジミールという二人の老浮浪者。

    そこにムチを手にしたポッツォと犬のように首に綱を着けられた従者ラッキーが通りかかるが何も起きず、次に少年があらわれて「ゴドーさんが、今晩は来られないけれど、あしたは必ず行くからって」と告げるが、やはり何も起きない。

    というのが、不条理演劇の金字塔とされるサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』というお芝居の第一幕のあらすじ。ちなみに第二幕も終始そんな調子で、時間・空間も不明で記憶もあいまいなまま進み結局なにも起こらないまま終わっていきます。

    出てくる誰かに感情移入したいという心理も働いて、縛られているこの二人は、じつは本当はまっとうな奴なんじゃないか、この状況を説明してくれるんじゃないか、という期待が持ち上がるものの、「じゃあ行くか?」「ああ行こう」と言い合いながらも動かない下りでやっぱり裏切られる。

    そうして軽やかに顕在化された「人生とは、ただ待っているだけの状態に過ぎない」という救いようもないメッセージは、その圧倒的などうしようもなさと共に、今のてんびん座の人たちにはよく響くのではないでしょうか。

    すっかり価値の壊れた瓦礫の世界の中で、今日もまた無意味なことをしゃべり続けている多くの人たちがいる。それを「然り」と引き受けた上で、誰か何かに期待するだけで終わるのではなく、みずからの手で縛りつけられたこの場をいかに楽しむか、ささやかでも自らの手で価値を生み出していけるかを問うていきたいところです。

    出典:サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』(白水Uブックス)
    《蠍座(さそり座)》(10/24~11/22)
    今期のさそり座のキーワードは、「必要な狂気」。
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    身も心も倦怠感に襲われてすべてのやる気が起こらず、家の中でさえ妊娠中のカバのようにのろのろとしか歩けない…。

    もし今あなたがそんな状況にあって、この不活発な状態を反転させるエネルギーを欲しているのなら、セルバンテスの『ドン・キホーテ』のことを思い出されたい。

    主人公のドン・キホーテは寝るのも忘れて騎士物語を読みふけった結果、みずから諸国を遍歴する騎士になりきって、さっそうと冒険に出かけていく。そこでは、平凡な道端の旅籠は銀の尖塔が立ち並ぶお城へと様変わりし、巨人の群れに見立てられた風車は槍を向けられる。彼は明るく元気はつらつにあらゆることにのぞみ、従者の忠告もどこふく風。

    「そもそも遍歴の騎士の生涯には数々の危険と不幸がついてまわるものだが、また、それゆえにこそ、遍歴の騎士は今すぐにでも国王や皇帝にでもなれる立場にあるのだ」

    そしてそんなドン・キホーテと冒険を続けるうちに、従者のサンチョ・パンサの心境にも変化がおきてきます。

    「誰もが一生の終わりに、いやでも迎えなきゃならねえ死ってやつをのぞけば、どんなことにも救いの手だてはあるもんだ」

    もちろん、ドン・キホーテの冒険はそれ自体がひとつの妄想であり、狂気にすぎません。ただ、物語の言葉はときに現実の社会とぶつかっていくための強力な武器となり、生きる糧にもなるのです。

    今期のさそり座もまた、まず妄想や想像力を手だてに自分なりの冒険を試みていくといいでしょう。

    出典:セルバンテス、牛島信明訳『ドン・キホーテ 前編』(岩波文庫)
    《射手座(いて座)》(11/23~12/21)
    今期のいて座のキーワードは、「籠城と彷徨」。
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    いよいよ世相は混沌を極めてきていますが、「病気の進行」と「戦争の勃発」と「精神の彷徨」とをひとつの作品に凝縮しえた例として、第一次世界大戦が勃発した1914年から10年の月日をかけて書かれたトーマス・マンの小説『魔の山』をいま改めて取りあげておくことは、それなりの意義があるように思います。

    主人公ハンスは3000メートル級の山々が続くスイスで療養中のいとこを見舞いに行きますが、そこで自身も結核を発症しじつに7年間ものあいだ逗留を余儀なくされます。

    富裕層が集まり一日5回の豪華な食事が出るサナトリウム(結核の療養所)で食っちゃ寝、食っちゃ寝の生活を送りつつも、彼はそこで恋をしたり、著名な知識人たちのあいだで起こる論争や決闘に立ち会ったりしつつ、小難しいことをいろいろと考えるようになるのですが、それは変えることのできない生まれた時代やみずからの血にまつわる宿命を引き受けていくための文学的な「籠城」に他なりませんでした。

    そして、マンは「読者は患者なんだ」という仕方で、その矛先をこちらに向けつつ、結核という細菌やウイルスがもたらす疾病が一個人をこえて人類にとってどんな意味を持つのかという問いを突きつけてくるのです。

    今期のいて座もまた、青年ハンスのごとくあえて行動を制限してお籠りモードにしていくことで、自身がぶつかりつつある宿命についての思索をどこまでも深めていくといいでしょう。

    出典:トーマス・マン、高橋義孝訳『魔の山(上)』(新潮文庫)
    《山羊座(やぎ座)》(12/22~1/19)
    今期のやぎ座のキーワードは、「マトモからヘンタイへ」。
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    ダイエット依存症の女の子とか、“腐”女子とか、オタクとか、そうした90年代以降の少年少女に見られる現象について論じた中島梓の『コミュニケーション不全症候群』は、次のようなことわりから始まります。

    「私が一番怖いのはマトモな人です。私が一番キライなのは偉い人です。私が何より苦手なのは立派な主婦のかたと自信たっぷりのおっさんです。そういう人、つまりは由緒正しいお父さんとお母さん軍団のために私たちはこんなに苦しまなくてはなりませんでした。」

    ここでいう「私たち」とは、“マトモ”でない人、“マトモ”ではいられなかった人のことであり、著者はそういう人たちに向けて次のようなメッセージを送っています。

    「ひとことで云えば、いまの世の中、ヘンタイにならんで生きてゆけるほうがどうかしてるんだぜ、ということです。また、ヘンタイの底に希望が見える、というようなお話でもあります」

    ここでいう“ヘンタイ”とは、他人に飼われるために、愛されるために、選ばれるために過剰適応してしまうまともな生き方とは別の、純粋に自分自身の楽しみを追求することができ、かつ自分の病いに或る程度自覚的な人たちのこと。

    そして、“マトモ”と“ヘンタイ”、そのどちらを選ぶのかという問いは、今のやぎ座の人たちにとっても切実なものであるはず。もしどちらかで悩んでいるという人は、中島梓の次のような呼びかけに一度向き合ってみるといいかも知れません。

    「私たちは誰だって本当は父殺し、母殺しを夢見ている子供部屋の奴隷たちだったのではないでしょうか」

    優等生でなくたって、正しくなくたって、愛されてなくたって、好きに生きていいのだと改めて気づくためにも。

    出典:中島梓『コミュニケーション不全症候群』(ちくま文庫)
    《水瓶座(みずがめ座)》(1/20~2/18)
    今期のみずがめ座のキーワードは、「変化の術」。
    <7/12~7/25>哲学派占い師SUGARさんの12星座占いまとめの13枚目の画像
    世の中には、まるでこれまで一度もそこを動いたことがないかのように、いつまでも石のようにじっと現状維持に固執する人たちがいます。そうしていた方が心地が良く、安全で、アイデンティティがゆらぐ心配もないのでしょう。

    16世紀の中国・明朝の隠遁詩人、呉承恩が書いたとされる『西遊記』もまた、ひとつの石から話が始まります。有史以来一度も動いたことのない山頂の巨石から生まれてきたのが孫悟空でした。

    ただ孫悟空は常識離れした力の持ち主ではあったものの、あまりに傲岸不遜だったため、お釈迦様に500年間ものあいだ山に閉じ込められます。ただ最終的には、変わり映えのしない生活に安住するのでなく、石がぱっかり割れるかのように、通りがかりの若い巡礼者を助けるという役割を引き受けることで、新しい自分を作り出す喜びを味わうにいたったのです。

    孫悟空は山に閉じ込められる以前、不老不死の仙人に弟子入りして、さまざまな変化の術を習得していましたが、彼の最後の変化は、いかに力を振るうかではなく、いかに自分を抑えるかという節度を身に着けることでした。

    そして今のみずがめ座にもまた、そんな孫悟空のように、きっとまだまだ身に着けるべき知恵があり、果たすべき役割や、治めるべき王国があるのではないでしょうか。

    確かに変化に不安を感じるのは当然ですが、『西遊記』は人生というものは本質的に変化の連続であり、それを受け入れることは楽しいことでもあるのだということを思い出させてくれるはずです。

    出典:呉承恩、伊藤貴麿訳『西遊記(上)』(岩波少年文庫)
    《魚座(うお座)》(2/19~3/20)
    今期のうお座のキーワードは、「反転的自己表現」。
    <7/12~7/25>哲学派占い師SUGARさんの12星座占いまとめの14枚目の画像
    自己表現というと、いかに魅力的で立派に見せられるか、たくさんの注目を浴びられるか、力強く鮮烈に影響を与えられるか、といった視覚的にボリューミーな方向でつい考えがちな風潮がありますが、ミヒャエル・エンデの名作ファンタジー『モモ』の主人公で、みなしごの少女モモの場合は、「ただ話を聴く」という聴覚的でミニマムなことが才能であり、彼女なりの自己表現となっていました。

    これは優れたファンタジーの特徴である、「価値の反転」を象徴する物語の核とも言える部分でもあります。

    例えばこの物語には、資本主義社会が美質としている、忙しく働いていたり、お金持ちになったり、大きな家に住んでおいしいものを食べたりといったことに疑義が呈され、キーマンである時間の賢人のもとへ行く際には急いで行けず、ゆっくりゆっくり亀のように行くのが一番速く会いに行けるという設定があるのですが、それもモモの人の話にじっと耳を傾けるだけで人々に自信を取り戻させるという不思議な力の発揮の仕方と結びついていくことで、物語全体がまるで生きもののように躍動していくのです。

    そして、そんなモモの在り方は、やはり何らかの自己表現を通じて価値を反転させていくことがテーマとなっている今のうお座にも、深い示唆を与えてくれるはず。

    勝つこと、速いこと、人より優位に立つことを無条件に良いものとするのか、あるいは、それとはまったく異なる条件に基づいた自己表現に取り組んでいくのか。

    今期のうお座は、そんな二者択一を少なからず迫られていくでしょう。

    出典:ミヒャエル・エンデ、大島かおり訳『モモ』(岩波少年文庫)<プロフィール>
    慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。


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    文/SUGAR イラスト/チヤキ

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