【射手座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い

12星座全体の運勢
「<新しい日常>への通過儀礼」
暦の上では秋が始まる「立秋」を過ぎて最初の新月を迎えるのが8月19日。それは、暑さが落ち着く「処暑」すなわち太陽が乙女座に入る直前、体感的にも夏の終わりを感じさせてくれる蜩(ひぐらし)の鳴く獅子座終盤あたりで起きていきます。

そんな今回の新月のテーマは、「新しい日常へ」。それはどこか空々しく響いてしまう上からの号令によってみな一斉に同じところから始まるものではなく、あくまでここしばらくの悪戦苦闘や悶え苦しむ期間をやっとの思いで抜け出した結果、流れ着いた先で自分がもうすでに新しい日常に立っていることを後から実感していくはず。夢から醒めた後の起き抜けの朝のひとときのようにおごそかに、しかし、確かにこれまでとは決定的に違う世界にいるという確信を胸に、新たな門出の仕度を整えていきましょう。

「もはや夜はなく、<救い主である神>が人間たちを照らすが故に、ランプや太陽の光は要らなくなる」(『ヨハネ黙示録』第二十二章、5節)

この場合の<神>とは、他でもない自分自身であり、あるいは古い自分を先導する新しい自分のことなのだと思います。
射手座(いて座)
今期のいて座のキーワードは、「自分自身を理解する機縁」。
【射手座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占いの2枚目の画像
情報が過剰となり、あらゆるメディア環境を通じて氾濫状態となっている現代において、時の流れはますます速まり、ほとんど波打つ龍のごとく暴走しているように感じられます。

しかし、「主体性こそが真理である」とする実存主義の源流であるキルケゴールは、そうした一般的な見方に反して、「時は過ぎ行く、人生はひとつの流れだ、などと人々は言う。私はそんなふうには見ることはできない。時は静止しており、私は共に静止している」と述べています。

これはいわゆる哲学的思索を通して永遠によって触れられた瞬間、<満ちたる時>のことでしょう。この世の時間の流れの中にあって、いわば一寸だけ精神が垂直にぬけでるのです。

キルケゴールは、過去と断ち切られたそうした瞬間においてその人は新しい生、再誕生を意識するようになると考えているのですが、ここで注目したいのはその延長線上で語られた次のような一文です。

「人と人との間で最高なのは、弟子は教師が自分自身を理解する機縁であり、教師は弟子が自分自身を理解する機縁である、ということだ」

機縁とは「きっかけ」の意味ですが、知的な刺激を最大限に受けられるような人との出会いこそ、人生の「流れ」を書き換え、人を新しい生へと生まれ変わらせる最大の「瞬間」なのだと言っているのです。

この言葉の意味を、今のいて座の人たちならば実感をもってよく理解できるのではないでしょうか。ここ最近、あなたが最も知的に刺激を受け、精神を高揚させられたのは、どんな瞬間だったか。今期はそんなことを改めて思い起こしつつ、「新たな生」がどこへ向かって走り始めているか、再確認していくといいでしょう。

出典:キルケゴール、飯島宗享訳「現代の批判」(『キルケゴール著作集11』白水社所収)

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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ

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