【石井杏奈さんインタビュー】映画『砕け散るところを見せてあげる』

2021年MORE4月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。
いしい・あんな●1998年7月11日生まれ、東京都出身。主な出演作にブルーリボン賞新人賞を受賞した、映画『ソロモンの偽証』と『ガールズ・ステップ』、コンフィデンスアワード・ドラマ賞新人賞を受賞した『仰げば尊し』など。本作と同時期に、映画『ホムンクルス』も公開(中川)大志くんが命を吹き込んだ清澄に、全力で向きあいたい
竹宮ゆゆこのベストセラー小説を実写化した『砕け散るところを見せてあげる』は、正義感が強い高校生の濱田清澄(中川大志)が、いじめにあう蔵本玻璃(石井杏奈)を救うところから始まる。ふたりの青春ラブストーリーかと思いきや、中盤で衝撃的展開を見せる、壮大な愛の物語だ。今回で3度目の共演となるふたりが、ダブル主演を務めた。

「私が演じた玻璃は、どんな時もけなげでまっすぐで、思わず応援したくなるような人間的な魅力にあふれた女の子です。大志くん演じる清澄に出会い、閉ざしていた心を徐々に開いていく姿は自分と似ているなと思いました。私も本当に仲のいい人にしか、なかなか心の内を語れないタイプなので。役づくりでは、髪の質感にもこだわりました。外見だけでどのような生活を送っているか想像をめぐらせてもらえるように、髪を石けんで洗ったり、シーミストをかけたりして、ぱさついた髪の質感づくりを意識しました」

では、監督や共演者とはどんな対話を重ねて、役柄をつくり上げたのか。

「実は、SABU監督とも、大志くんとも『ここはこう演じよう』など、役柄について話し合うことはまったくありませんでした。その分自分が思い描く玻璃を自由に演じさせていただきました。今作は、撮影に入る前の本読みがなく、初日に読み合わせをしたのですが、ファーストテイクはトイレの個室にとじ込められた玻璃が、清澄に助けられるシーン。そこで大志くんが命を吹き込んだ清澄にはじめて対峙した瞬間、彼に全力で向きあいたいという玻璃としての強い想いが芽ばえ、自然に役を“生き始めること”ができました」
今作の中で、玻璃は清澄に孤独から救われる。石井さんにも、彼のようなヒーローはいる?

「EXILEのHIROさんが、私のヒーローです。いつも的確なアドバイスをくださるので、行き詰まった時は相談をしています。昔、E‐girlsとお芝居の仕事を両立していた時、それぞれの分野で素晴らしい人たちに囲まれ、『私、大丈夫かな?』と、焦った時期があり、相談させていただいた際『いつか両方を頑張っていることが生きる日がきっとくるから』と言っていただいて。一気に前向きになれました。常に大きな存在として側にいてくださるので、今の私があると思います。ちなみに、自分がもしヒーローになれるなら、大好きな漫画『ONE PIECE』のルフィのようなヒーローになりたいです。先陣を切って、仲間のために戦う姿に憧れます!」
映画『砕け散るところを見せてあげる』
高校生の濱田清澄(中川)は、いじめにあう蔵本玻璃(石井)を救い出そうとする。少しずつ心の距離を縮めていくふたりだが、玻璃は誰にも言えない秘密があり、そんな彼女を守り抜こうとする清澄にもある恐怖が迫る……。●4/9~新宿ピカデリー、イオンシネマほかにて全国公開
Ⓒ2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会
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撮影/渡邉健太 ヘア&メイク/八戸亜希子 スタイリスト/山王丸久美子(KiKi inc.) 取材・原文/海渡理恵 構成/渡部遥奈(MORE) ジャケット¥86900/グルッポタナカ(リビアナ コンティ) シャツ¥33000/ドール(フミエタナカ) その他/スタイリスト私物

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