「誰も私のこと見てない」そんな飲み会シフトミスじゃん?/長井短

今年で店じまいすることを発表した『内緒にしといて』最後の最後に初めての試みをぶちかまさせて頂きました! 読者の皆さんにいただいた相談を元にコラムを書いてみるよ~! みんな、沢山の相談をありがとう! 「何故もっと早くやらなかったんだ…」と思うほど、考えたいことばかりでした。悩みに悩んだ末、私が選んだテーマはこちら。


目次

周りが可愛い子ばかり

私の周りは可愛い子が多く、男性と飲むことになっても毎回彼女たちにばかり注目を浴びて自分は空気になります。(もちろんモテたら嬉しいですが)別に女としてモテなくても、おもしれー女と思われて注目されたり、というか普通に1人の人間として会話したいのに、結局そういう子たちに注目ばかり浴びて単に相槌を打つだけの役になるので、途中で「誰も自分のこと見ていない」と、飽きて嫌になっての繰り返しです。そういった子の中で、面白く注目を浴びるにはどうすればいいでしょうか?(ゆいぽよ/25歳/東京都/女性)


まず、声を大にして言いたいのは「お前いうてあんま悪くないよ?」ってこと。この悩みを投稿してくれた方に限らず、結構みんな「自分が悪い」とか「自分が至らないから」みたいな考えの元でメッセージをくれてるんだけど、実際ほんとにそう? これは超私見だけど、悩んでる人ってまず自分サゲから考えが始まってしまっていることが多い。まぁそりゃそうだよね。他人のことはわからないから、悩む時ってまず自分の諸々を振り返ることから始まるし、振り返ればそりゃ粗が見つかる。寝る前に飲み会のこと思い出す作業って、反省会っていうよりほぼ粗探しなので、あんまりそこに囚われないでほしいです。そんなに悪くないから。


その上で、です。「おもしれー女」と思われるコツはわからないけれど、思われやすい場みたいなものは絶対にあるはずだ。牧野つくしがおもしれー女だと思われたのは、あの富豪高校に通ったからであって、もしあれが治安の悪い都立高校だったら、別にただの女では? 「ここにいなそう」だから場モテしているのだ。この理論でいくと、逆ドレスコードをかませば即物的なおもしれー女にはすぐになれる。でも、私としてはあんまりこのやり方は好きじゃないので無し!!


その現場、向いてなくない?

そもそもなんで、自分を空気のように感じてしまうんだろう。何できちんと会話できないんだろう。それって、自分の得意分野と友人関係があんまり一致していないからでは?


私が空気にされた飲み会のことを思い返すと、単純に世界が違ったなって思うの。そもそも見た目でチヤホヤ盛り上がる人たちのことが好きじゃないからそのノリに乗れないし、仕事の自慢とかされてもスペースキャット状態になっちゃう。趣味の話も、私は漫画の話したいけどみんなはデパートの話してるから話せないな…そして口数は減り、私は肉体を超越し気体となるのであった…。
会話になかなか入れなかったとしても、もし本当に自分の興味のある話だったら、空気だなんて感じることなく、フムフム話を聞けていたはずだ。聞けなくて、喋りたくて、でも喋れなくて飽きちゃうのはさ、そもそもそこはあなたの居場所じゃないんじゃない?


空気になってしまったその飲み会で、あなたは何を話したかった? その人たちに、何を聞いてほしかった? 正直あんまりなくない? そりゃもちろん、会話にもっと加わりたかったなとか、みんなみたいに楽しみたかったって思いはあるけど、でも、そこに具体性ってある?


私の場合はなかった。空気飲み会の後、何となく傷ついた思いの中で「じゃあ何を聞いてほしかったかな?」って考えてみると、別にない。絶妙に無視されてる空気を打ち破ってでも、彼彼女らに聞いてほしいことはなかった。ただ、悲しい気持ちにはなりたくなかったなってだけ。もっと参加したかったなってだけ。それが一番難しくて、やり方がわからなくて、ただ座っているだけでも会話に入れる人が羨ましくなる。自分がつまらないからだって思うようになる。


だけどそれは違う。たまたまその場に向いてなかっただけなのだ。誰が悪いでもなく、単に向いていなかった。


したい話をしたい人としたい場所で

何故かわからないけど、向いてない場所にばっかり行っちゃう季節がある。消化不良の飲み会が続けば続くほど、次は、次こそきっと楽しいはずって出かけてしまう。うまくいかないのが寂しくて、寂しいからこそ出かけがちになって、なのに結局居心地が悪い。私も荒れに荒れました。クソみたいに飲んで、クソみたいな思いして、なのにまた傷つくってわかってる飲み会に行ってしまう。そういう時は、とにかく一回出かけるのをやめることだ。冬眠してればそのうち季節は変わるから、一度自分の中に閉じこもってみてほしい。そして考えてみてほしい。自分は何に興味があるのか。どんな人に出会いたいのか。どんな人たちに面白いと思われたいのか。自分の好きなものは? これについてならいつまでも喋れるって事柄は何?


自分がわかると、欲望がはっきりする。何を話したいかがわかると、口数は増える。結果的に存在感が増す。「おもしれー女」一丁上がりだ。


不思議だけど、そうなっちゃえば誰がチヤホヤされるとかじゃなく、普通に楽しく酒を飲める。会話も生まれる。好きなことを楽しく話していると、モテっていう棚ぼたも起きる。


んな馬鹿な~って思うかな? だけど意外とそんなもんなのだ。水が合わないと魚が死ぬのと同じように、人間も住み良い環境にいないと気体化される。環境が良くなればフクフクする。魚とうちらが違うのは、誰も水を変えてくれないってことなので、息しづらいなら水変えよ? そうして健やかなビールを飲めますように。


「長井短の内緒にしといて」が書籍化!

舞台やテレビドラマ、映画、ラジオ、雑誌、バラエティ番組など幅広く活躍する長井短さんの本連載が書籍化!


恋愛、モテ、マウンティング等のテーマについて綴ったコラムはもちろん、単行本の特別企画として完全撮り下ろし写真、ページを切り取って作る「ミニ本」、なつかしのプロフィール帳なども用意されている楽しい一冊です。


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