なぜセックスレスになるの? 「彼女に触れない」男性の本音

前回のコラムでは「セックスレスになった時に女性が取りがちな行動」についてお伝えした。その結果、レス状態から脱出するための対策や努力よりも、最も多いのは「ラクだからレス状態のままでいる」という回答だった。

特に不満がないのであればずっと性行為ナシでいる……というのももちろんアリだろうが、その「不満のない」状態が女性側だけの場合、カップルのあいだに深刻な亀裂が入ることもあり得る。
今回の記事では「レス状態に陥った男性側の心理についてリサーチしてみたので、「あなたなりの結論」を探る助けにしてみてほしい。

目次

それどころじゃない


・「使えない老害上司と、新人部下に挟まれてストレスがハンパじゃない。休みの日なんてグッタリで正直彼女に触れるどこじゃない。コッチが何もしなくて済むならいいけど、そうもいかないし……。休日までサービスしたくないのが偽らざる本音」(30代・建設・建築)

――いつの間にかレスになった男性の言い分ナンバー1がこちら。「休日は別でしょう?」「だったら余計にリフレッシュしたほうが……」というのは女性側の理屈である。男性は意外と気分の切り替えがヘタで、一度イヤなことがあると解決するまでその問題に固執しがち。そして彼らは女性よりも「会社や職場から逃げられない」ことが多い。
結果、平日どころか週末も年がら年中“仕事モード”で、セックスどころではない……となってしまうのだ。

めんどくさい


・「セックスまでの下準備が面倒くさい。デートや美味しいものを食べに誘って彼女の機嫌取って顔色を伺って……。それだけ努力してもフタをあけたら大して良くなかったりする。正直、抜くだけだったらひとりでいくらでもできるし、その方がむしろ自分の好みのものを見付けられたりもする。男だったら“彼女とするよりも一人でする方が楽”って気持ち、分かると思う」(30代・宿泊関連)

――女性からすれば残念だが、男性の心からの本音がこれ。上の彼の語る言葉に共感はもてなくても、「そうだよね、めんどくさい部分もあるよね……」と“理解”はできるのではないだろうか。綿密な下準備やシチュエーションがないと互いの快楽に結びつかないセックスという行為は、ある意味とても高度なコミュニケーションだとも言えるだろう。

傷つきたくない


・「以前彼女から、『ごめん、それあんまりよくないかも……』って言われて以来抱けなくなった。『また良くないって言われたらどうしよう』と思うと、手を出せないというか億劫というか……。彼女も気にしてるみたいだけど、こっちだってプライドがあるし。映画やドラマで男女が絡むシーンが出ると気まずくなる。こんなんなら一人でいたほうがいいのかも」(20代・会社員)

――男性は女性が思うよりもずっとデリケートだ。そこには「男としての体裁」や「プライド」がかかっていて、女からすれば「別に気にしなくてもいいのに」と思うようなことあっても、男性は深く傷つくこともある。トラウマからの警戒心が、彼女の体へとのびる男の手を止めるのである。

セックスレスは放置しておいてもいいもの?


前回の女性編、今回の男性編の回答者たちに共通しているのは、「セックスは面倒くさい」ということである。
確かにそういう側面があるのも事実。そこに至るまでのプロセスがあるからだ。
相手の機嫌を取り、様子を伺いながらその気にさせ、互いを快楽へと導く共同作業には、気遣いとコミュニケーション力が必要。
そんな複雑な手順を必要とするくせに、付き合いが長くなればなるほどマンネリ化して新鮮な楽しみは薄れ、煩わしさやめんどくささだけが増してゆく……となれば、「そんな疲れることしたくない」という感情が沸き起こるのは、男性も女性も同じなのではないだろうか。

男性側はそれでも定期的に欲望を排出しなければならないかもしれないが、イマドキは面倒な手間をかけず、純粋に快楽だけを得る方法などいくらでもある。だから、わざわざ「面倒くさいこと」に寄り付かず、一人の快楽を選ぶ男性が少なくなるのも察しがつくだろう。

だからといって本当にレスのままで良いのだろうか? ここにひとりの既婚女性の話があるので聞いてみよう。

「独身の頃には想像がつかなかったけど、いざ子供が欲しいと子作りしようとすると、レス状態からいきなりできるもんじゃない。ただでさえ子作りのためのセックスって、“今日排卵日だから早く帰ってきて”みたいな、事務的でそっけないものになりがちなのに、レス期間が長すぎると旦那が萎えてデキなくなる! 幸い私はなんとか妊娠できたのだけど、友達夫婦はレス状態からの子作りのプレッシャーで旦那さんがEDになっちゃって……いま離婚協議中。“将来子供が欲しい”と思うなら、パートナーとの交流は最低限続けておくべきだと思う」(30代・教育出版系)
……そう、人は「普段やっていないこと」をイキナリできないものなのである。それはあなたも彼も同じ。たとえ結婚して子供を作るという場面ではなかったとしても、「もう一度愛し合いたい」「激しく求めあいたい」「恋人気分に戻りたい」と願った時、“レス期間”が長くなればなるほどハードルは高くなる。

たとえ体が繋がっていなくても互いに言いたいことをいい合い、心の交流ができてさえいれば問題などないだろうが、「言いたい事を飲み込むクセがつき」「胸の内を隠す習慣ができてしまいがち」なことこそが、“セックスレス”の一番の問題点なのではないだろうか。

「どうせ言ったって分かってもらえない」
「こんなこと言ってもダメだろうな」
という“諦め”は、男女の間に深い壁を作る。そして無難な会話の影に互いの悲しい本音が隠されたカップルは、体からも精神的にも満足感を得ることはないのだ。

あなたが彼との「レス状態」に対してなにか心に引っかかるものがあるならば、まずはその問題について話し合うことから始めよう。たとえどんな結末が待っていたとしても、心も体も冷えた仮面状態よりは何倍もマシなはずだ。
(神崎桃子)

この記事を書いたライター

神崎桃子
体験型恋愛コラムニストとして活動し、ヒット記事の数々生み出す。大手ポータルサイトにてコラムを連載中。男女のズレや生態、恋愛市場の時事問題を得意とし、文章セミナー、婚活セミナー講師も手がける。

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