【獅子座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<1/23~2/5> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー

12星座全体の運勢
「先見の営み」 
暦の上では春となり、旧暦では一年の始まりとされた「立春」直前の2月1日には、新たなスタートを先がけるようにみずがめ座12度(数えで13度)で新月を迎えていきます。

秩序と権威を司る土星と重なり、変革と逸脱を司る天王星と鋭い角度でぶつかりあう今回の新月のテーマは、「先見」。すなわち、近い将来へのプランニングです。

動物は秋口になると、冬の厳しさに応じて毛皮が厚くなるものですが、そうした近い将来へ向けた準備と計画が可能なのは、未来の可能性がすでに現在において作動しているからに他なりません。それと同様、今回の新月においてもいかに時代の流れがどこへ向かって変化しつつあるのか、そして、今の自分は新しい流れと古い流れのどちらに属しているのかといったことをきちんと見極め、ごまかさずに認識していけるかどうかが問われていくはず。

例えば、この時期の季語に「明告鳥(あけつげどり)」というものがあり、これは早朝に夜明けを知らせるように大きな声で鳴くニワトリの異名ですが、これは毎日必ず東から朝日が昇るという周期的プロセスを認識すること、誰よりも早く夜明けの兆しに気付くこと、それから気付いたことを周囲に分かるように伝える手段を持っていることという、三つの条件がそろって初めて成立している先見の営みの好例と言えます。

今期の私たちもまた、夜明けの到来だけでなく、どんなにかすかでも未来へ通じる兆しをいち早く感じ取り、その見通しを知らせるニワトリとなって、希望を広げる一助となっていきたいところ。

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獅子座(しし座)
今期のしし座のキーワードは、「強い受動性」。
「自分の運命は自分で切り開くもの」であり、展開の「主導権を握る」ことや、「先のことまで見通せている」ことができていればいるほど、それは事の次第がうまくいっていることの証しである、と。私たちはこれまでどこかでそう信じて疑っていなかったところがありますが、2年間にわたるコロナ禍を経て、また、激動の時代の最中にあって、どうもそうではないのかも知れないと、なんとなく感じている人も決して少なくないのではないでしょうか。

ここで思い出されるのが、小島信夫の「馬」という小説です。この作品はとてもトンチキな小説なのですが、それは主人公の「僕」がある日家に帰ると、庭に見慣れない材木が積まれていた、というところから始まります。

「僕は脛をさすりさすりトキ子に詰問した。
「誰におかせてやったの」
「さあ、何といっていいかしら、誰にもおかせてやらないわ」
「すると、これはどういうことになるの」
「私が置かせたのよ」
「そう、誰が建てるの」
「そりゃ、あなたよ」
僕は今までトキ子には驚かされつづけであるが、自分の建てる家のことを自分で知らないということには、まったく闇夜に鼻の先きをつままれたような、一方的なかんじを受けざるを得ない。/それでは僕が建てるというのは、世の中にはふしぎなことがあるのだから分るとして、さて、誰が住むのだ、たぶん名義だけにして何かトキ子が企んでいるのかと思って、つきつめると、「住むのはあなたよ」と答え、そのさまが無邪気でさえある。」

応答がめちゃくちゃですが、トキ子は大工の棟梁との会話のなかで、新しい家を馬小屋にすることを受け容れてしまうというその後の流れもめちゃくちゃです。

ただ、この冒頭からして既にそうなのですが、この主人公ないし語り手には強い受動性があって、それが逆に小説の推進力の強さにすり替わっている。あるいは、どこか神話や夢の中のように、どんどん予期せぬ流れが作られていったり、脇へとそれていくけもの道が垣間見えてきて、あえて全力で乗っかっていく受け身感に満ち満ちていることで、何か大きな力が宿ったり、決して自分ひとりでは生みだせないものを生みだすことができているように感じるのです。

今期のしし座もまた、そうした強い受動性を発揮し、たとえ不条理だろうと悪夢的であろうと、目の前で何が起こっても全力で受け止めて対応しようとすることを大事にしていきたいところです。

参考:小島信夫『アメリカン・スクール』(新潮文庫)

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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ

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