恋や人生を豊かにする「笑い飛ばし力」とは

努力したからといって必ず報われるわけではない恋愛は、“不確実”の最たるもの。「恋愛したくない」という人が増えているのは、「確実なことしかしたくない」「冒険をしたくない」という人が増えていることも原因なのかもしれません。しかし、家族や社会とまったく関わらずに生きていくことはできないわけで、恋愛をせずに生きたところで、自分の”計画通り”の人生を送れるとも限りません。むしろ一見、不確かなものの先にこそ、思わぬ人生の幸福は待っているのかもしれない−−。そんなことを思わされる機会がありました。

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「幸せな老後」は、苦労と努力の先にあるもの!?


それは、NHKの番組『ドキュメント72時間』から。先日放送分では、とある墓地にお参りにきた老若男女の人生模様が取り上げられていましたが、その中でも特に、たくましく生き抜いてきた高齢女性たちに、多くのことを考えさせられました。

例えば、働きながら7人のお子さんを育てあげたという、61歳の女性。お孫さんも含め、20名近い親戚を引き連れて、大勢で夫の墓参りをしていました。その旦那さんは、仕事はしないのに借金は作るわ、よそに女は作るわ……という男性だったそうで、亡くなるまで相当に苦労された様子。それでも彼女は「本当に“ワイルド”なお父さんでね。でも、どうしても憎みきれなくて」「私には、お父さん以上に素敵だと思える人はいなかった」と深い愛情を語った上で、「お父さんじゃなかったら、こんな沢山の子供、産んでなかったと思うし(笑)」と朗らかに笑い飛ばし、嬉しそうにお墓に語りかけていたのでした。

今の時代なら、こんな苦労の多そうな結婚を選ぶ人を少ないでしょう。しかし彼女は「旦那さんが好き」という自分の気持ちを貫き、離婚もせず、たくさんの子どもを育て上げた結果、とてもにぎやかで幸せな老後を迎えている。彼女が「幸せな老後」を得られたのは、そこまでに多大な苦労や責任を乗り越えたからなのだろうな……としみじみ。「老後のために」という理由で結婚を望む人もいる現代ですが、老後は結局、今の生き方の延長線上にしかないもの。結婚していようとしていまいと、家族や周囲の人をちゃんと大切にしながら、精一杯に働く。そうした日々の先に、「幸せな老後」は自然と形作られていくものなのかもしれません。

「男運のなさ」も、運命だと笑い飛ばして進むべし!?


続いて心に残ったのは、母親の墓参りを月命日に欠かさず行っているという、高齢の3人姉妹。彼女たちは、亡き母親のことを「男運がなかったから。あっはっは」なんて明るく笑い飛ばしていました。亡くなる前に「娘たちとお茶と飲みたい」と言っていた母親のお墓で、毎月1時間以上もお茶して帰るという3人の姿からは、心の底から母親を大切に偲ぶ気持ちが伝わってきました。

恋愛は理性を超えたところにあるもので、本人でも「どうしてこうなっちゃうの?」なんて結果に終わることもありますよね。でも、彼女たちのように「男運がなかったから!」なんて“笑い飛ばす力”が皆にあったなら、どんなに楽だろうと思いました。人生は、本人の責任ばかりでなく、運命にも翻弄される。それならそうで、多少の失敗は笑い飛ばしつつ、その時その時を精一杯に生きていけばいいのではないか。亡くなったお母様も、男運には恵まれなくとも、最後は娘さんたちに囲まれて幸せだったのではないか。そんなふうに思ったのでした。

人生は、吉凶半分。「笑い飛ばす力」を身につけよう!


人生はすべからく、吉凶半分。どんな人生を選んでも、少なからず嫌なことやつらいことはあるならば、素直な気持ちに従って生きたほうが、感じられる“喜び”は多そうですよね。その上で、どんなことが起きても、「これも運命!」と明るく笑い飛ばせる力を身につけておけば、最強に“幸せ”ではないでしょうか(笑)。「今のままの生活をしていて、私は精一杯やってきた!って心の底から思えるかな?」「いつかお婆ちゃんになったとき、『色々あったけど、それなりに幸せだった』と笑い飛ばせるかな?」。皆さんも恋や人生に迷うときは、そんな未来の視点から、「今」を見つめてみるといいかもしれません。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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