受験と生理についての意識調査 2024

~受験日と生理日が重なることに不安を感じた中高生は8割以上!追試制度が必要だと感じている声も多く~

 (株)エムティーアイが運営する、ライフステージや悩みにあわせて女性の一生をサポートする健康情報サービス『ルナルナ』では、定期的にサービス内でさまざまな意識調査を行い「ルナルナ通信」として発信しています。 ルナルナ通信Vol.64では「受験と生理についての意識調査 2024」をお届けします。2023年12月に、文部科学省が「公立高校入試は生理による不調で追試が可能」とする通知を全国の教育委員会などに出したことを受け、今回は、受験生が抱える生理の不安や、実際にとられた対策を調査しました。受験経験のある中高生や、受験経験のある娘を持つ母親から回答が寄せられ、受験日と生理日が重なることに不安を感じている人が多いことがわかりました。また、文部科学省からの通知の認知度は、中高生、保護者いずれも約8割が「知らない」という結果でしたが、一方で、「知らない」と回答した人も含め制度は必要だという声が多く上がりました。 本意識調査の結果が、これから受験を迎える女性が生理に伴う不調への様々な対策方法を知り、また、受験生の周囲の人が生理について理解するきっかけになることを願っています。


調査実施時期:2024年4月12日(金)~4月22日(月)  
調査方法および人数:『ルナルナ』、『ルナルナ 体温ノート』、『ルナルナ ベビー』にて調査 
有効回答数:女性 1,938名

■ 受験経験がある中高生の8割以上が受験日と生理日が重なることに不安を感じたことがある!

Q.中学生・高校生の方で、「受験経験がある」と答えた方にお聞きします。受験日と生理日が重なることに対し
て、不安を感じたことはありますか?
 初めに、受験経験のある中高生を対象に、受験日と生理日が重なることに対して不安を感じたことがあるかを聞きました。「ある」と答えた人は85.4%、「ない」と答えた人は14.6%という結果となりました。

Q.「ある」と答えた方にお聞きします。受験日と生理日が重なることで、どんな不安がありましたか?(複数選択)
 さらに、受験日と生理日が重なることに対して「不安を感じたことがある」と回答した人に、どのような不安があったかを尋ねました。「生理痛などの体調不良への不安」が81.9%で最も多く、次に「経血漏れなどの不安」66.2%、「試験に対して、自分の実力を出し切れるか不安」59.8%、「生理に伴う精神的な不安」49.5%と続きました。体調不良や経血漏れなどの身体的な不安だけでなく、精神的な不安を抱える人も多いことがわかりました。

■ 生理対策として、低用量ピルの服用や婦人科受診など医療機関にかかる人は1割未満!
Q.受験日までに検討した生理への対策を教えてください。(複数選択)

 次に、受験日までに検討した生理への対策を聞きました。「夜用など長時間生理用ナプキンを用意する」が62.2%と最も多く、次いで「カイロなどを使った防寒対策を実施する」56.0%、「生理用品などを多めに用意する」49.8%、「市販の鎮痛剤を準備する」35.9%となり、スーパーやドラッグストアなど市販で購入できるものを使って対策する人が多いことがわかりました。
 一方で、「ピル処方による生理日調整をする」5.3%、「婦人科を受診して、相談する」3.3%となり、医療機関を活用した対策を実施している人は1割未満とかなり少数でした。
 また、生理への対策を「特に何も検討しなかった」と回答した人は9.1%と少数でしたが、その理由を聞いたところ、「我慢するしかないと思ったため」、「どのような対策をすべきかわからなかったため」という回答もあり、生理痛や経血漏れなどに不安を抱えながらも対策をとっていない人がいることがわかりました。
 生理への対策を考えるうえで、例えば、日頃から自身の生理周期や症状について記録をつけることで、自分に合った対策を立てやすくなります。市販薬を上手に活用することも対策のひとつです。また、婦人科を受診し、低用量ピルの処方によって生理日移動や月経困難症などの不快症状を緩和する方法もあります。痛みがひどい、経血量が多いなど悩みがある際は、我慢せずに保護者など周りの大人への相談や、婦人科の受診を検討してほしいと思います。

■ 文科省の生理の不調による追試制度の認知度は約2割と低く・・・。

Q.公立高校入試の受験日と生理日が重なった生徒への対応について、「追試は可能」とする通知を文部科学省が全国の都道府県の各教育委員会などに出したことは知っていますか?
 2023年12月、公立高校入試の受験日と生理日が重なった生徒への対応について、「追試は可能」とする通知が文部科学省より全国の都道府県の各教育委員会などに出ました。この通知について「知っている」と回答した人は、中学生で15.2%、高校生で23.1%、「知らない」と回答した人は、中学生で84.8%、高校生で76.9%でした。また、子ども(中学生から大学生)を持つ母親に同様の質問をしたところ、「知っている」17.9%、「知らない」82.1%で、いずれも約8割が知らないという結果となり、認知度が低いようです。

■ 自身が受験の際には利用したいと思う人は6割以上!選択肢のひとつとなるように制度の認知拡大に期待。

Q.この通知について、あなたはどのように思われましたか?
 次に、追試制度の認知の有無にかかわらず、この通知についてどう思うかを聞いたところ、「必要な制度だと思った」と回答した人は、中学生で78.6%、高校生で86.6%、母親で75.9%となりました。制度を知らなかった人も含め、必要な制度だと感じた人が多いようです。また、中高生で受験経験が無い人に「自分が受験する際に、この制度を利用したいと思いますか?」と聞いたところ、「利用したいと思う」64.0%、「利用したいとは思わない」10.0%、「わからない」21.9%という結果となり、実際に自分でも制度を利用したいと考える人が6割以上いることがわかりました。



Q.「必要な制度だと思った」と答えた方にお聞きします。なぜそのように思われましたか?(複数選択)
 必要な制度だと思った理由は、回答が多かった順に「生理が重く、コントロールが難しい人もいるため」は中高生91.2%、母親93.0%、「生理の影響を受けず実力を発揮できると思ったため」は中高生63.9%、母親62.4%、「体調を整えて試験を受けられる人が増えることは、公平だと感じるため」は中高生55.8%、母親54.3%となりました。「このような通知が出ることで、生理に対する理解が深まると思ったため」と回答した人は、中高生で34.6%、母親で44.1%おり、こういった制度の拡大によって、生理に対する理解度の向上を期待している人が一定数いることがわかります。また、親世代は周囲の理解を促したいと考える人が子どもの世代よりも多いようです。



Q.「特に必要な制度だと思わなかった」と答えた方にお聞きします。なぜそのように思われましたか?(複数選択)
 一方で、少数ですが「特に必要な制度だと思わなかった」と回答した人もいました。その理由として、「他の体調不良では考慮されないこともあるので、不公平に感じるため」は中高生56.3%、母親58.3%、「利用条件があり、実際に活用するのは難しいと感じるため」は中高生43.8%、母親25.0%、「生理日はある程度管理できるので、事前に対策をとるべきと感じるため」は中高生12.5%、母親33.3%という結果となりました。
 他の体調不良が考慮されない場合もあることから、6割近くの人が、制度を不公平だと感じていることがわかりました。ほとんどの女性に毎月のように当たり前に訪れる生理ですが、それに伴うカラダとココロの変化には個人差があり、またストレスや環境の変化により、時には普段と違う症状が出る場合もあります。日頃から女性自身が自分の生理と上手に付き合うことも必要ですが、受験という挑戦の場に女性たちが安心して臨むためには、周囲の理解やサポートも整うことが大切だと思います。

試験会場の設備とルールに関する声が多数。生理に対して求める配慮とは?
 最後に、受験と生理に関することで、どのような配慮があるといいと思うかを自由回答で聞いたところ、トイレに行きやすいよう配慮してほしい、生理に対する理解を深めてほしい、別室での試験を希望する、などたくさんの声が寄せられましたので、その一部を紹介します。

【中学生の声】
 ★トイレに行ける時間をこまめに作る
 ★学校のトイレに緊急時に使えるようナプキンを置いておく
 ★生理で寒かったりした時のために受験時に膝掛けを持ち込んでも良いとする配慮

【高校生の声】
 ★受験会場でのナプキンの常設
 ★室内の温度や温める道具(ブランケットなど)の持ち込みの許可
 ★別室で試験を受けられること
 ★男子がいると声をかけづらいため女子だけの部屋で受験とかいいと思います
 ★そもそもの生理への理解を深める機会を増やすことで制度への理解も推進してほしい

【保護者の声】
 ★試験会場である受験校のトイレにナプキンが設置されていると良いなと思います
 ★生理について知識無い人が多いのでもっと多くの人に生理痛のことへの理解を深めて欲しい
 ★ピルへの正しい理解を広げて欲しい
 ★試験監督者に女性を配置していただけると有り難い

 今回の調査では、受験と生理が重なることに不安を感じている人が多く、生理用品の量の調整や鎮痛剤の利用など、各々で対策を講じていることがわかりました。一方で、婦人科を受診し対策を取っている人は少ないといった現状が伺えました。低用量ピルの服用により、生理に伴う症状の緩和や、受験日と生理日が重なるのを避けることも可能ですが、前もって準備をすることが必要です。そのため、まずは婦人科を受診し相談することをおすすめします。
 「追試制度」については、必要な制度だと思ったとの声や自分が受験する際に利用したいとの声が多く上がりました。また、通常の試験会場でも生理に対し理解や一定の配慮を求める声が多いことがわかりました。
 本調査の結果が、これから受験を迎える女性の生理対策の選択肢を増やし、受験生本人や親だけではなく、周囲の人たちが生理について正しく理解するきっかけになることで、誰もが安心して受験に臨める環境づくりの一助となることを願っています。

≪成城松村クリニック 院長 松村圭子先生のコメント≫

 今回の調査結果では、中高生の約8割が受験日と生理日が重なることに不安を感じていることがわかりましたが、不安を感じていても婦人科を受診するという選択をとる人は少数でした。頭痛や腹痛、精神的な不調などの月経随伴症状(月経前から月経中の不快な症状)は人それぞれで、辛さを感じる度合いも人によって異なります。受験生にとっては「追試制度」を活用することも生理対策のひとつだと感じるかもしれませんが、それは一時的な対処方法で、根本的な辛さの解決にはなりません。受験勉強に集中し、受験本番で実力を発揮するためにも、あらかじめ生理に伴う不調を軽減できるための選択肢を持ち、行動することが大切です。辛いときはひとりで抱え込まず、まずは身近な人への相談や、気軽に婦人科の受診を検討していただきたいと思います。

 『ルナルナ』は今後も、「FEMCATION(R)(フェムケーション)※1」を通じて、年齢や性別を問わず誰もが、女性のカラダやココロについて正しく学べる機会を創出し、あらゆる女性たちが、より生きやすく、暮らしやすく、働きやすい社会の実現の一助となることを目指します。

※1:「FEMCATION(R)」は(株)エムティーアイの登録商標で、FEMALE(女性)とEDUCATION(教育)を掛け合わせた造語です。
※『ルナルナ』は(株)エムティーアイの登録商標です。


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