「女の子らしいね」って褒め言葉…?【ぱぴこのホンネ相談室】
仕事や家事、恋愛……と毎日頑張っているからこそ悩みは尽きないもの。GATTA読者のみなさんから寄せられた“ホンネ相談”に、SNSを中心に人気を集めるコラムニストのぱぴこさんがおくるアドバイスは……?
今回のお悩み
「よく「女の子らしいね」と言われることがあります。相手は褒めているつもりだと思うのですが、私は自分の好きな格好をしているだけで、「女の子らしい」と言われるとなんだか馬鹿にされている感覚に……。このモヤモヤは何が原因でしょうか?「女の子らしい」と言われたら、なんて返すのが正解ですか?」
「女の子らしい」に含まれる「従」のニュアンス
「女の子は砂糖とスパイスと素敵なものぜんぶでできている」これはマザーグースの一節です。ちなみに男の子は何でできているかというと「カエルとカタツムリとこいぬのしっぽ」です。さすがに対比が酷すぎやしないか。
現実ではどちらも「水35ℓ、炭素20kg、アンモニア4ℓ……」な構成要素でできているわけですが、「女の子らしい」「男の子らしい」という形容詞に“ステレオタイプに期待されるジェンダーロール及びキャラクター”があるのは明らかです。
「素直・かわいらしい・柔和」という肯定的な意味を抽出することもできますが、反対に「従順・逆らわない・補助的な役回りを担う」という否定的な意味も含まれます。類語は「いいお嫁さんになりそう」とかですかね。しゃらくせぇ。
不愉快に感じるのは、まっとうな感覚である
女の子らしさが褒め言葉だと思っている人々は、返す刀で「らしくなさ」を否定します。
「女子力がないね~」「婚期遅れるよ?」「恋愛しないと枯れちゃうよ」など、言われた瞬間に盛大に吐き気を覚える、小さな罪悪感を植えつけてくる……まったく最悪のインセプションですよね。
相談者さんが馬鹿にされていると感じるのは、「女の子らしい」に含まれる“御せる・支配できる”のニュアンスのせいでしょう。“自分たちに都合のいい対象”として下に見られて、そうあるべきと言われてムカつくのも怒るのもまったく正常な感情です。
しかも「女の子らしいと言われるのが嫌だ」と漏らすと、「え、なんで?いいじゃん、うらやましい!」とか「考えすぎだよ!褒められているんだからいいじゃん」と言ってくる人がいます。いるんですよね。黙ってくれ。
リクルート式「なんでなんで質問」を取り入れよう
「は?」「ジェンダーの押付けでは?」「コンプライアンス室はあちらです」と返せればいいのですが、職場ですぐに臨戦体制に入るのは難しい。しかし、「そんなことないですよ」と笑顔で曖昧に済ませると、相手が調子にのったり、もっと厄介な人が寄ってきたりするリスクが高まります。
そのため、当人に意図・意味を語らせるのがいいと思っています。「女の子らしいよね」と言われたときに、「どういう意味ですか?」「なんでそう思ったのですか?」と、リクルート形式の質問を投げてみる。
相手の回答に対しては「〇〇さんにはそう見えるんですね」「そう思うんですね」などの一言を返しておく。レッテル張りをしてきた人に、レッテル張り返しをできる点で便利です。言葉に対する受け取り方の責任の所在を相手に打ち返せます。
「らしさ」の押付けを撲滅するために
筆者自身もジェンダー的にNGな発言に、常に即レスで「は?」と不快感を表明できるかは微妙です。なるべく、「ジェンダー的にNGです」など指摘するようにはしていますが、歳と貫禄を身に着けてもなお“適切”が難しいです。
「雑な発言でモヤりや課題を押し付けてくるな!」と叫んでぶっ飛ばしたくなりますが、傷害罪で訴えられるわけにもいかないので「なんでですか?」で防衛していきましょう。
【画像】※FastSlow / PIXTA(ピクスタ)