あなたはもしかして…。仕事帰りに行った神社で会った人物【LINE怖い話 #33/消えた祭り 5】

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知らない人からLINEが来る。そんなゾッとする経験をしたことはありませんか?この連載では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?

多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。

LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。

「消えた祭り」その5


地元観光事業所に勤めて3年目の琴子さん。

琴子さんの住む瀬里原市は、水が綺麗で穏やかな街です。6月になればホタルも飛び、毎年観光客で賑わっていました。

しかしコロナの影響で、ホタルまつりは2年連続で中止。8月の奉納祭も中止となりそうです。

琴子さんが情報収集のために開設したオープンチャット「雑談チャット瀬里原」は、登録者100人ほど。市内在住と思われる人たちが1日10件ほどやりとりをしています。

しかし、そのオープンチャットに予言めいた発言をする「(O_O)」という人が現れ「ホタルがたくさん飛ぶ年は、1年以内に災厄が降りかかる」と不吉なことを言いました。

「あの(O_O)という人が予言者だと思っているのは私だけのようでした。神の怒りを鎮めるための正しい奉納のやり方を(O_O)は教えてくれましたが、果たしてそれに効果はあるのか……」

ホタルまつり中止が決定した後から、会社の同期の麻美さんもオープンチャットに加わりましたが、彼女は発言せずトークルームを流し読みしているだけのようです。

数日後の夕方、会社の外で仕事をしている麻美さんから個人LINEが来ました。する予定だった残業がなくなって時間が空いたけど、お茶でもしない?とのことでした。



「(O_O)の言っていることは麻美は全く信じていませんでしたが、車に乗せていくよと言ったら神社までは付いてきてくれました。私は何かあったら嫌だなと思って、奉納をやってみることにしました」

神社の近くにもホタルの生息する川があり、境内にもホタルが飛んできていました。川の方からは見物に来ている人たちの声が聞こえます。

さすがに堂々とホタルを捕まえるのは気が引けたため、琴子さんは本殿の影に隠れ、道中のコンビニで購入した虫取り網でホタルを捕まえました。

そして(O_O)というアカウントの言った通り、ホタルブクロという花の中にホタルを入れ、花の先を糸で縛りました。

「やってみると花全体がピンク色に光って、意外と綺麗でしたよ。麻美はSNSでホタルの写真を上げてましたけど、そのうち『お参りしてくる』と言って離れていってしまいました。とりあえず20匹くらい納めればいいのかなと思って黙々と作業してたんですが、ふと顔を上げたら、同じように花にホタルを入れている人がいたんです」

それは15歳くらいの女の子でした。琴子さんは、きっとオープンチャットにいる人なのだろうと推測しましたが、こんなに若い人があのチャットにいるとは思わなかったため、驚きでした。

相手も琴子さんに気づき「瀬里原のオープンチャットにいる人ですね」と声をかけてくれました。「あ、はい、そうなんです」と琴子さんは答えましたが、お互いその後何を話すべきか迷い、たじろぎました。

その時後ろでザッと砂利を踏む音が聞こえ、驚いて振り返ると、麻美さんが戻ってくるところでした。

麻美さんは「お賽銭500円も出してきちゃった。赤ちゃんできますようにって」と言って無邪気に笑いました。

再び向き直ると、女の子はもういなくなっていました。さっきまでその子がいた所で、ホタルブクロが光っていたと言います。

あの女の子はいったい……?


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(園田亜真理)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

園田亜真理
1993年10月5日、東京都生まれ。元インテリアショップ店員。駆け出しフリーWEBライター・エディター。フリーモデル。この先の時代に、結婚せずに女1人で生きていく方法を模索中。オカルト、ホラー、廃墟が好き。

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