「ホラー映画観ない?」LINE越しに始まった観賞会【LINE怖い話 #64/ホラー映画観賞会 1】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「ホラー映画観賞会」その1



芳子さんは都内の会社に勤めるOLの25歳。

社会人となってから3年が経ち、仕事にも慣れて多くの仕事をこなすようになってきた働き盛りです。責任ある仕事も少しずつ任されるようになってきました。

しかし、仕事が忙しくなれば当然疲れが出てくるというもの。

「仕事に不満があるわけじゃないんだけど、なんか常に気を張って落ち着かないんだよね」

度重なる仕事に疲労感を覚え、お昼休みに食堂でつい愚痴をこぼしてしまいます。

「あー、わかるわかる。仕事量多くなってきたもんね」

芳子さんにそう返すのは、一緒にお昼を食べていた同僚の響さん。

会社の事業拡大に伴い、仕事量が増えているのは響さんも同じようです。

「あー、なんかこう思いっきり気分転換したい。でも旅行とか行くとお金かかるしなぁ」

芳子さんが軽く伸びをしながらそうつぶやくと、響さんから提案が。

「じゃあさ、映画でも観ない?明日テレビで気になってる映画が放送されるんだけどさ」

「あー、いいね。テレビ放送ならタダで見れるし。ちなみにどんな映画なの?」

「ホラー映画なんだけど、芳子はホラーいける?」

芳子さんの場合、ホラー系の映画はあまり観たことがありませんが、怖い話などには人並みに興味があって楽しめる、くらいの感覚となっています。

「んー、普段観ないけど、そういう普段観ないやつのほうが気分転換になるかな」

「じゃあ決まり!明日の夜、LINE越しに鑑賞会やろうよ!」

「いいね、それじゃあ明日!」

こうして、気分転換のためのホラー映画観賞会が企画されました。


翌日の夜11時前。

芳子さんはパジャマ姿で自室のテレビをつけ映画の始まりを待っていました。

片手にはスマートフォンを持ち、響さんに連絡を取っています。



事前に約束していた通り、LINE越しに会話をしながら映画観賞をする予定の芳子さんと響さん。

そのまま時計が11時を回り、テレビCMが流れ終わって一瞬の静寂が流れる室内。

“あ、始まるよ!”

響さんからLINEメッセージが来ると共に、テレビから映画のプロローグが流れ始めます。

こうして、LINE越しのホラー映画観賞会が始まりましたが……。



連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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