何それ…。謎を解いた友人が最後に見たもの【LINE怖い話 #63/突然の謎解き企画 7】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると人ならざるものの仕業かもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「突然の謎解き企画」その7



謎のアカウントからの暗号を次々と解読し、目的地まであと一歩のところまで来た麻耶さん。

そんな麻耶さんの状況をLINEのメッセージ越しに知りながら、不安を募らせていく絵里奈さん。

見ず知らずの相手の指示通りに行動し、指定された場所まで行くのは危険すぎます。

それにおそらく、麻耶さんは1人で行動し、目的地に向かっているところでしょう。

さらに現在は夜の10時過ぎ。かなり最悪の条件がそろってしまっています。

動画配信者のイタズラならまだいいですが、犯罪に巻きこまれてしまう危険性はかなり高い状況であると言えるでしょう。

絵里奈さんは何度も麻耶さんに止めるようメッセージを送りましたが、返信もなく既読もつきません。

どうなるのかと不安になり、自室でソワソワと落ち着かない状態の絵里奈さん。

しかし0時を回ろうかという時間に、麻耶さんからメッセージが返ってきました。

通知音が鳴ると同時に、絵里奈さんはすぐにLINEを確認します。



そこには、最後の暗号を解読した麻耶さんからのメッセージが。

“悪魔が笑う”は、笑う悪魔が描かれたバーの看板のことだったようです。

しかし問題なのは、麻耶さんがそこに入ろうとしているということ。

絵里奈さんが繰り返し送った注意のメッセージも読まず、目的地へ行こうとしているようです。

焦った絵里奈さんは麻耶さんがバーに入る前に止めようと、短い文章ですぐにメッセージを送りました。

「入るのはやめようよ!」

とっさの判断が功を成したのか、今度はすぐに麻耶さんから返信が来ました。

しかし、メッセージの内容を見て絵里奈さんは青ざめます。

“大丈夫、私もう20歳になってるから入っても問題ないって”

もう未成年ではないから、バーには合法的に入れるという麻耶さんの言い分。

「ああ、もうっ!」

そういうことじゃない、と絵里奈さんは頭を抱え、すぐに通話をすることにしました。

なんとか中に入るのだけは止めなければ、その一心でLINE通話をかける絵里奈さん。

「お願い!出て!出て……!」

呼び出しコールを聞きながら、麻耶さんが出てくれるのを必死に祈る絵里奈さん。

しかしその夜、そして翌日でさえ、何度呼び出しても通話は繋がらず、麻耶さんから連絡が来ることもありませんでした。

休み明けの月曜日、麻耶さんは大学に現れませんでした。

嫌な予感がした絵里奈さんは、他の友人に麻耶さんのことを尋ねます。

しかし、返ってきた答えは残酷なものでした。

「日曜に麻耶のお母さんから電話が来たんだけど、家に帰ってこないんだって」

絵里奈さんはそれを聞き、その場に力なく座りこんでしまいました。

ああ、最初からもっと強く止めていればよかった。そもそも、謎解き企画の話をするんじゃなかった。

麻耶さんを巻きこんだことを後悔し、自分自身を責める絵里奈さん。

心配する友人の前で、言葉にならないを声を上げて泣きじゃくりました。



その後、絵里奈さんは今回のことを麻耶さんのお母さんと警察に話し、本格的に捜索してもらうことになりました。

手がかりとなるのは、謎のアカウントからのメッセージと、麻耶さんが最後に残した“笑う悪魔の看板を掲げたバー”の2つ。

しかし、どれだけ警察が捜査しても悪魔の看板を掲げたバーは見つかりませんでした。

そして、謎のアカウントはいつの間にか消えており、会話記録も何も残っていない状態となっていました。

警察が詳しく調査をしましたが、データを調べても“最初からそんなアカウントは存在していないはず”という報告を受けたとのことです。

会話記録を削除しても、大元のサーバーにはやり取りの記録やアカウント情報が残るようにできています。

しかしそれすら存在しておらず、警察も困惑しているようです。

それすらも思い通りにできるようなハッカーが、今回の事件を引き起こしたのでしょうか。

それとも、もっと知らない何かが……?



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(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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