迷惑かけたくない!突然の呼び出しに、1人で現場へ急行 【LINE怖い話 #102/肝試し準備 4】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「肝試し準備」その4



旅館でひと眠りしたことで、バス酔いから回復した茜さん。

旅館内のお土産屋コーナーでお菓子を買いつつ、友達と先生の帰りを待ちます。

スマートフォンで音楽を聴きながら、購入した“海坊主せんべい”を食べる茜さん。

(塩加減絶妙で美味しいなこれ……)

予想以上の味に驚きと感動を覚え、口に運ぶのが止まらなくなりつつあります。

(やっば、このままだと一袋食べちゃいそう)

いつの間にか残りが少なくなっていることに気づき、さすがに食べすぎだと思った茜さん。

梓さんたちのためにも残しておこう、そう思って開封口を縛って湿気ないようにしました。

しかし、そこで茜さんは気づきました。

(……先生たち、遅くない?)

壁に設置された時計に視線を移すと、時刻は6時を指しています。

外の景色も、夕焼け空が段々と黒みを帯びてきました。

もしかして何かあったのでは?
そんな考えが頭をよぎり心配し始めた時、スマートフォンにメッセージ着信音が。

迷惑かけたくない!突然の呼び出しに、1人で現場へ急行 【LINE怖い話 #102/肝試し準備 4】の2枚目の画像


LINEの相手は香苗先生からで、山道を生徒が指定通りに歩けるか試したいとのこと。

体調が回復していた茜さんは、今まで何もできなかったことへの罪悪感もあり、二つ返事で了承しました。

先生たちの身に何事もなかったことにホッとしつつ、すぐに出かける準備を始める茜さん。

自分のバッグから懐中電灯を取り出し、事前に教えられた山道に向かいます。

(あれ、でも生徒のルート確認なら、一緒にいる梓がやればいいんじゃ……?)

一瞬そのようなことを考えた茜さんでしたが、確認は何度も、色んな人が行ったほうがいいと思い、茜さんは鍵をフロントに預けて旅館の外へ。

そして、旅館の裏側に回り、山に続く草木生い茂る道へ入っていきました。

一瞬、潮風が強く吹き草木がザワザワと音を立てましたが、茜さんがそれを気にすることはありませんでした……。



連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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