まさかね……?イメージと重なる、私の見た黒い影 【LINE怖い話 #101/肝試し準備 3】
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LINE怖い話
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
旅館で休んでいる途中、女将さんから海坊主の言い伝えを教えてもらった茜さん。
合宿時の肝試しのネタに使えるかと考え、友達や顧問の先生に報告。しかし、肝試しの舞台が山道のため、海坊主の設定の仕様は保留となりました。
どうしたものかと布団の上で考えていると、いつの間にか眠ってしまった茜さん。
次に目を覚ました時には、夕日が窓から差し込み部屋の中をオレンジ色に照らしていました。
「ふわぁ~……」
あくびをしながら体を起こし、大きく伸びをする茜さん。ひと眠りしたことで体調もしっかり回復したようでした。
気を取り直して辺りを見渡しますが、梓さんたちは見当たりません。
まだ帰ってきていないのかと思いスマートフォンを確認すると、梓さんたちからメッセージが送られていました。
寝る前に話していた肝試しのことですが、これから使用する山道のルートを下見に行くとの報告がされていました。
メッセージ着信時間を見てみると、送られてきた時間帯は今から10分ほど前。
“了解。暗くなると危ないから気を付けて。体調は回復したから何かあったら呼んで”
茜さんはそう返信し、再び布団の上に寝転がりました。
「……暇だ」
体調が回復して安静にしている必要がなくなったため、途端に時間を持て余すようになった茜さん。
暇つぶしに、部屋から出て旅館内を探検することにしました。
1階のロビーまで足を運び、何か面白いものが無いか探す茜さん。すると、お土産屋コーナーがあることに気づきました。
お菓子でも買って、食べながら時間をつぶそうと考えた茜さんは早速中へ。ご当地ものの食べ物がないかと探していると、
「……う、海坊主せんべい?」
そこでは、海坊主をモチーフとしたせんべいが売られていました。説明書きによると、この地域の海で作った塩を使ったせんべいであるとのこと。
(ご当地ものとしては良いんだけど、恐怖感なくなるなぁ……)
パッケージに描かれた、海から顔を出す色黒の子供のような容姿の海坊主を見て苦笑いをする茜さん。
本当にこんな見た目ならいっそ見てみたい、とイラストを見て思います。
「……ん?色黒?」
そこでふと、茜さんはひっかかるものを感じました。
昼間、窓から海を眺めていた時、水平線の向こうで見た黒い影。
遠くて形はよくわからなかったですが、とにかく“黒い”ということは覚えていました。
あの時見たのは、もしかして海坊主だったのでは……?
「ははは、まさかね」
茜さんは肩をすくめて笑うと、海坊主せんべいを手に取って会計レジまで持っていきました。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「肝試し準備」その3
旅館で休んでいる途中、女将さんから海坊主の言い伝えを教えてもらった茜さん。
合宿時の肝試しのネタに使えるかと考え、友達や顧問の先生に報告。しかし、肝試しの舞台が山道のため、海坊主の設定の仕様は保留となりました。
どうしたものかと布団の上で考えていると、いつの間にか眠ってしまった茜さん。
次に目を覚ました時には、夕日が窓から差し込み部屋の中をオレンジ色に照らしていました。
「ふわぁ~……」
あくびをしながら体を起こし、大きく伸びをする茜さん。ひと眠りしたことで体調もしっかり回復したようでした。
気を取り直して辺りを見渡しますが、梓さんたちは見当たりません。
まだ帰ってきていないのかと思いスマートフォンを確認すると、梓さんたちからメッセージが送られていました。
寝る前に話していた肝試しのことですが、これから使用する山道のルートを下見に行くとの報告がされていました。
メッセージ着信時間を見てみると、送られてきた時間帯は今から10分ほど前。
“了解。暗くなると危ないから気を付けて。体調は回復したから何かあったら呼んで”
茜さんはそう返信し、再び布団の上に寝転がりました。
「……暇だ」
体調が回復して安静にしている必要がなくなったため、途端に時間を持て余すようになった茜さん。
暇つぶしに、部屋から出て旅館内を探検することにしました。
1階のロビーまで足を運び、何か面白いものが無いか探す茜さん。すると、お土産屋コーナーがあることに気づきました。
お菓子でも買って、食べながら時間をつぶそうと考えた茜さんは早速中へ。ご当地ものの食べ物がないかと探していると、
「……う、海坊主せんべい?」
そこでは、海坊主をモチーフとしたせんべいが売られていました。説明書きによると、この地域の海で作った塩を使ったせんべいであるとのこと。
(ご当地ものとしては良いんだけど、恐怖感なくなるなぁ……)
パッケージに描かれた、海から顔を出す色黒の子供のような容姿の海坊主を見て苦笑いをする茜さん。
本当にこんな見た目ならいっそ見てみたい、とイラストを見て思います。
「……ん?色黒?」
そこでふと、茜さんはひっかかるものを感じました。
昼間、窓から海を眺めていた時、水平線の向こうで見た黒い影。
遠くて形はよくわからなかったですが、とにかく“黒い”ということは覚えていました。
あの時見たのは、もしかして海坊主だったのでは……?
「ははは、まさかね」
茜さんは肩をすくめて笑うと、海坊主せんべいを手に取って会計レジまで持っていきました。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。