私にも責任ある?転売を止める依頼の代償 【LINE怖い話 #109/ストッパー 4】
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE…。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
有名女優監修の香水を買おうとするも、開店前の店に転売屋が待機しているのを発見した園子さん。
「何でも止める」と豪語する謎のLINEアカウント“ストッパー”に転売を止められるか聞くと、ストッパーは承知したとの返信を送ってきました。
そんなやりとりをし、時間は過ぎて放課後。
2日目の試験を終えた園子さんは、駆け足で化粧品店に向かっていました。
(ダメ元で頼んではみたけど、大丈夫かなぁ…?)
正直不安しかない園子さんでしたが、実際に店へ行って確認してみないことには始まりません。
急いで大通りに入り、目的の化粧品店に到着。
朝見かけた転売目的の人たちはもう見当たりませんでしたが、目当ての香水が売り切れていたら意味がありません。
園子さんは店内に入ると、すぐに店員さんに声をかけました。
「こんにちは!また来ちゃいましたぁー」
「あら有馬様、いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
行きつけの店であるため、お互いに顔見知りで仲良しな関係である園子さんと店員さん。
友達に話しかけるようなノリで、香水の在庫確認を行います。
「そちらでしたらまだ十分に在庫がございますよ。こちらになります」
店員さんはそう言うと、カウンターの奥にある部屋から目的の香水の入った箱を持ってきて園子さんに見せました。
園子さんは喜び、すぐに会計をお願いしました。店員さんもすぐに対応し、レジを打ち始めます。
「よかったぁ~。売り切れちゃってたらどうしようかと思ってましたよ」
「ふふ、在庫はまだたくさんありますのでご安心ください」
「あ、そうなんですか?朝からたくさん人が並んでたからてっきり完売したかと…」
「えっとですね、実は当店が本日開店したのは10分ほど前でして……」
店員さんの言葉を聞いて、園子さんは首を傾げました。
このお店は普段10時半開店のはずです。そして現在は午後3時。
「先ほどまで店内照明にトラブルが起きまして、それが直るまで開店できない状態だったのです。開店前に並んでいたお客様方にそのことをお知らせすると、皆様帰ってしまいまして…」
店員さんはそう説明し、本日最初のお客様は園子さんであることを話しました。
ちなみに、照明機材に不具合は見つからず“接触不良”として業者に診断されたようです。
(おいおい、マジかぁ…)
その後、無事に香水を購入し帰路に着いた園子さん。
しかし、香水よりも気になって仕方がないことが。そう、ストッパーのことです。
(照明のトラブルを起こしたのってもしかして…)
そう思った時、スマートフォンからメッセージ着信音が。
やはり、化粧品店の照明トラブルはストッパーが引き起こしたものでした。
それが確認できたとき、園子さんは香水を購入できたことに対しての喜びと同時に、少し罪悪感を覚えました。
(…お店に迷惑かけちゃったのって、私のせい?)
照明トラブルの対応を店員さんにさせてしまった原因は、自分にも少しはあるのではないか?
そして、そんなことを平然と、誰にも気づかれることなく行うストッパーとは一体何者なのか。
前回よりもストッパーに対する恐怖心が大きくなったできごととなりました…。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「ストッパー」その4
有名女優監修の香水を買おうとするも、開店前の店に転売屋が待機しているのを発見した園子さん。
「何でも止める」と豪語する謎のLINEアカウント“ストッパー”に転売を止められるか聞くと、ストッパーは承知したとの返信を送ってきました。
そんなやりとりをし、時間は過ぎて放課後。
2日目の試験を終えた園子さんは、駆け足で化粧品店に向かっていました。
(ダメ元で頼んではみたけど、大丈夫かなぁ…?)
正直不安しかない園子さんでしたが、実際に店へ行って確認してみないことには始まりません。
急いで大通りに入り、目的の化粧品店に到着。
朝見かけた転売目的の人たちはもう見当たりませんでしたが、目当ての香水が売り切れていたら意味がありません。
園子さんは店内に入ると、すぐに店員さんに声をかけました。
「こんにちは!また来ちゃいましたぁー」
「あら有馬様、いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
行きつけの店であるため、お互いに顔見知りで仲良しな関係である園子さんと店員さん。
友達に話しかけるようなノリで、香水の在庫確認を行います。
「そちらでしたらまだ十分に在庫がございますよ。こちらになります」
店員さんはそう言うと、カウンターの奥にある部屋から目的の香水の入った箱を持ってきて園子さんに見せました。
園子さんは喜び、すぐに会計をお願いしました。店員さんもすぐに対応し、レジを打ち始めます。
「よかったぁ~。売り切れちゃってたらどうしようかと思ってましたよ」
「ふふ、在庫はまだたくさんありますのでご安心ください」
「あ、そうなんですか?朝からたくさん人が並んでたからてっきり完売したかと…」
「えっとですね、実は当店が本日開店したのは10分ほど前でして……」
店員さんの言葉を聞いて、園子さんは首を傾げました。
このお店は普段10時半開店のはずです。そして現在は午後3時。
「先ほどまで店内照明にトラブルが起きまして、それが直るまで開店できない状態だったのです。開店前に並んでいたお客様方にそのことをお知らせすると、皆様帰ってしまいまして…」
店員さんはそう説明し、本日最初のお客様は園子さんであることを話しました。
ちなみに、照明機材に不具合は見つからず“接触不良”として業者に診断されたようです。
(おいおい、マジかぁ…)
その後、無事に香水を購入し帰路に着いた園子さん。
しかし、香水よりも気になって仕方がないことが。そう、ストッパーのことです。
(照明のトラブルを起こしたのってもしかして…)
そう思った時、スマートフォンからメッセージ着信音が。
やはり、化粧品店の照明トラブルはストッパーが引き起こしたものでした。
それが確認できたとき、園子さんは香水を購入できたことに対しての喜びと同時に、少し罪悪感を覚えました。
(…お店に迷惑かけちゃったのって、私のせい?)
照明トラブルの対応を店員さんにさせてしまった原因は、自分にも少しはあるのではないか?
そして、そんなことを平然と、誰にも気づかれることなく行うストッパーとは一体何者なのか。
前回よりもストッパーに対する恐怖心が大きくなったできごととなりました…。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。