急にどうした!?突然の不満と行動 【LINE怖い話 #125/モデルのような高身長に 6】
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE…。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
旅行に行っている友人の咲夜さんから、不可解なLINEメッセージを送られた音々さん。
“全員、子供みたいでかわいい”という文章が理解できず、詳しく聞こうとしても咲夜さんからの返信は来ず、そのまま1日が終わってしまいました。
そして、さらにその翌日。
(…今日は、なんにもメッセージ来ないな)
音々さんは自室の椅子に座り、スマートフォンを眺めていました。画面には時刻10時30分の表示が。
最初は携帯ゲームで遊んで時間を潰そうかと考えていましたが、咲夜さんのことを考えるとどうしても集中できず、椅子に座ってボーっとしている状態が続いています。
(結局、昨日のあれはなんだったんだろ?)
よくわからない文章を送るだけ送ってきて、詳細を聞こうにも返事がない咲夜さんのことを心配する音々さん。
もう1度メッセージを送ってみたほうがいいかな、と考え始めていたその時、
ピロリンッ♪
LINEに、メッセージ着信がありました。
「きたっ!」
音々さんは直感で咲夜さんからだと思い、すぐに内容を確認します。
咲夜さんから送られてきたのは、旅館が狭いから宿泊先を変えるという旨の端的な文章。
しかしその文を見て、音々さんは首を傾げます。
(いや。狭いって…)
音々さんはすぐに画面をスクロールし、咲夜さんが旅行初日の夜に送ってきた旅館の写真を確認しました。
そこに写っているのは、和室で1間タイプのスタンダートな客室。8畳の広さがあるため、1人で宿泊するには十分の広さに見えます。わざわざ宿泊先を変更する理由が音々さんにはわかりませんでした。
“待って、急にどうしたの?何かあった?”
明らかにおかしいと思った音々さんは、咲夜さんの身を案じてメッセージを送りました。しかし、
(…なんで、なんで返信してくれないの!?)
それ以降、どれだけ待っても咲夜さんから新しいメッセージが来ることはありませんでした…。
それから、4日後。
咲夜さんからメッセージが返ってこなくなり完全に音信不通となった今、
「…」
音々さんは咲夜さんのことを気にするのはやめ、自室でゲームをして遊んでいました。
最初の2日ほどは咲夜さんのことを心配し、返信が来るのを今か今かと待っていた音々さんでしたが、それ以降は半ば諦め状態となり、あまり気にしないようにすることにしました。
(まあ、旅行から帰ってきたら詳しく聞けばいいし)
前のように地雷を踏んでショックを受けられても困るし、そう自分に言い聞かせ、趣味であるパズルゲームに没頭する音々さん。
しかしその途中で、家の電話にコールが鳴りました。
「おっと?」
すぐにゲームを中断し、自室を出て電話のもとへ向かう音々さん。
夏休み中かつ平日のため両親は家におらず、音々さんが電話を取るしかありません。
「はい、もしもし?」
受話器を取って耳に当て、相手の確認を行う音々さん。すると、
「もしもし、二階堂様のお宅でしょうか?私、八神咲夜の母の八神菜月と申します」
電話の相手は、咲夜さんの母親である菜月さんでした。
「はい、二階堂です。こんにちは。私、音々です」
「ああ、音々ちゃん、丁度よかった!実は咲夜のことなんだけど…」
「え、咲夜がどうかしました?」
「実は、あの子1人で旅行に行ったんだけど、全然帰ってこないの。本当は昨日帰ってくる予定だったのに…」
「えっ!?」
予想外の話に、音々さんは思わず大きな声で反応してしまいました。
まだ温泉旅行を続けていると思っていた音々さんですが、本来ならもう旅行を終えて帰ってきているはずだったのです。
「なんの連絡もしてこないし、電話も繋がらないから、お友達なら何か事情を知ってると思って…」
どうやら音信不通で行方が分からなくなっている状態のようで、咲夜さんの友人や知り合い、大学などに電話をかけて手がかりを探しているようです。
これはもう、行方不明事件だ。音々さんはそれを聞いて察しました。
「咲夜なんですけど、4日前くらいまでLINEしてて…」
少しでも情報を共有したほうがいい、そう思った音々さんは、今までの咲夜さんとのLINEでのやり取りの内容をすべて菜月さんに報告しました。
しかし結局、旅館を変えてからの行方はわからないままです。
「そう…とにかく、教えてくれてありがとう。場合によっては警察にもこのこと伝えるわね」
「はい、もちろんどうぞ。こちらも咲夜から連絡があったらすぐに報告します」
「よろしくね。それじゃあ…」
受話器先で菜月さんが通話を切ったのを音で確認した後、
「…」
音々さんも、無言で受話器を置いて通話を切りました。
咲夜さんが行方不明。そのことが半ば受け入れられず、その場でしばらく立ちすくむ音々さん。
咲夜さんは無事なのか、温泉地に探しに行くべきか、LINEでもっと詳しく話を聞くべきだったのでは。
色んな感情が混ざり合い、音々さんは思わず声を荒げて叫びました。
「どうなってんのよ、もうっ!」
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「モデルのような高身長に」その6
旅行に行っている友人の咲夜さんから、不可解なLINEメッセージを送られた音々さん。
“全員、子供みたいでかわいい”という文章が理解できず、詳しく聞こうとしても咲夜さんからの返信は来ず、そのまま1日が終わってしまいました。
そして、さらにその翌日。
(…今日は、なんにもメッセージ来ないな)
音々さんは自室の椅子に座り、スマートフォンを眺めていました。画面には時刻10時30分の表示が。
最初は携帯ゲームで遊んで時間を潰そうかと考えていましたが、咲夜さんのことを考えるとどうしても集中できず、椅子に座ってボーっとしている状態が続いています。
(結局、昨日のあれはなんだったんだろ?)
よくわからない文章を送るだけ送ってきて、詳細を聞こうにも返事がない咲夜さんのことを心配する音々さん。
もう1度メッセージを送ってみたほうがいいかな、と考え始めていたその時、
ピロリンッ♪
LINEに、メッセージ着信がありました。
「きたっ!」
音々さんは直感で咲夜さんからだと思い、すぐに内容を確認します。
咲夜さんから送られてきたのは、旅館が狭いから宿泊先を変えるという旨の端的な文章。
しかしその文を見て、音々さんは首を傾げます。
(いや。狭いって…)
音々さんはすぐに画面をスクロールし、咲夜さんが旅行初日の夜に送ってきた旅館の写真を確認しました。
そこに写っているのは、和室で1間タイプのスタンダートな客室。8畳の広さがあるため、1人で宿泊するには十分の広さに見えます。わざわざ宿泊先を変更する理由が音々さんにはわかりませんでした。
“待って、急にどうしたの?何かあった?”
明らかにおかしいと思った音々さんは、咲夜さんの身を案じてメッセージを送りました。しかし、
(…なんで、なんで返信してくれないの!?)
それ以降、どれだけ待っても咲夜さんから新しいメッセージが来ることはありませんでした…。
それから、4日後。
咲夜さんからメッセージが返ってこなくなり完全に音信不通となった今、
「…」
音々さんは咲夜さんのことを気にするのはやめ、自室でゲームをして遊んでいました。
最初の2日ほどは咲夜さんのことを心配し、返信が来るのを今か今かと待っていた音々さんでしたが、それ以降は半ば諦め状態となり、あまり気にしないようにすることにしました。
(まあ、旅行から帰ってきたら詳しく聞けばいいし)
前のように地雷を踏んでショックを受けられても困るし、そう自分に言い聞かせ、趣味であるパズルゲームに没頭する音々さん。
しかしその途中で、家の電話にコールが鳴りました。
「おっと?」
すぐにゲームを中断し、自室を出て電話のもとへ向かう音々さん。
夏休み中かつ平日のため両親は家におらず、音々さんが電話を取るしかありません。
「はい、もしもし?」
受話器を取って耳に当て、相手の確認を行う音々さん。すると、
「もしもし、二階堂様のお宅でしょうか?私、八神咲夜の母の八神菜月と申します」
電話の相手は、咲夜さんの母親である菜月さんでした。
「はい、二階堂です。こんにちは。私、音々です」
「ああ、音々ちゃん、丁度よかった!実は咲夜のことなんだけど…」
「え、咲夜がどうかしました?」
「実は、あの子1人で旅行に行ったんだけど、全然帰ってこないの。本当は昨日帰ってくる予定だったのに…」
「えっ!?」
予想外の話に、音々さんは思わず大きな声で反応してしまいました。
まだ温泉旅行を続けていると思っていた音々さんですが、本来ならもう旅行を終えて帰ってきているはずだったのです。
「なんの連絡もしてこないし、電話も繋がらないから、お友達なら何か事情を知ってると思って…」
どうやら音信不通で行方が分からなくなっている状態のようで、咲夜さんの友人や知り合い、大学などに電話をかけて手がかりを探しているようです。
これはもう、行方不明事件だ。音々さんはそれを聞いて察しました。
「咲夜なんですけど、4日前くらいまでLINEしてて…」
少しでも情報を共有したほうがいい、そう思った音々さんは、今までの咲夜さんとのLINEでのやり取りの内容をすべて菜月さんに報告しました。
しかし結局、旅館を変えてからの行方はわからないままです。
「そう…とにかく、教えてくれてありがとう。場合によっては警察にもこのこと伝えるわね」
「はい、もちろんどうぞ。こちらも咲夜から連絡があったらすぐに報告します」
「よろしくね。それじゃあ…」
受話器先で菜月さんが通話を切ったのを音で確認した後、
「…」
音々さんも、無言で受話器を置いて通話を切りました。
咲夜さんが行方不明。そのことが半ば受け入れられず、その場でしばらく立ちすくむ音々さん。
咲夜さんは無事なのか、温泉地に探しに行くべきか、LINEでもっと詳しく話を聞くべきだったのでは。
色んな感情が混ざり合い、音々さんは思わず声を荒げて叫びました。
「どうなってんのよ、もうっ!」
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。