これはあの時の…。つながる放課後の記憶と決意【LINE事件簿 #116/先生の放課後7】

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LINE事件簿
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恋愛・職場・家族間トラブルまで、日常で起きる事件の発端になりうる“LINE”。そんなLINE事件簿のエピソードを、LINE探偵が紹介します。
どうも、LINE探偵です。

僕の元には日々「LINE事件簿」が寄せられています。

LINEはいつだって事件の発端になりうるもの。大喧嘩につながるハプニングから、つい笑ってしまうプチアクシデントまで……。あなたも身に覚えがあるのではないでしょうか?

そんなLINE事件簿の中から、特に印象的だった事件「先生の放課後」をみなさんにご紹介します。

「先生の放課後」その7


教育実習生の工藤律也くん(仮名・22歳)と、指導教員の島田裕香さん(仮名・30歳)。じつは2人、裕香さんが新任で学校へきた年に、図書室で偶然の出会いをしていました。

「あの時、島田先生(裕香さん)に『君、絵が上手いね!将来は画家かな?今度、私も描いてもらおうかな?』って言われて、あ、自分を認めてくれる人がいるんだ!って。嬉しかったです」

「だから、もうちょっと学校にも来てみようって……、思えたんです」

中学生時代の律也くんを救ったのは、裕香さんのひと言だったのですね。

「でも、教育実習の事前打ち合わせで、指導教員が島田先生だと知った時は、マジでビックリしましたよ、こんな偶然があるんだって!」

これも何かの縁なのでしょうね。その後、無事に教育実習を終え、律也くんは大学へ戻ることに。その教育実習最終日、学校を出た律也くんからLINEが届きました。



LINEを終え、職員室の机の下を覗くと、1枚の紙を挟んだ1冊の古いスケッチブックがあったそうです。

「スケッチブックを順番にめくっていくと、そこには中学時代の律也くんが描いたと思われる静物画や、当時の学校の風景がありました。中学生と思えないくらい上手でしたよ」と裕香さん。

「ページをめくっていき、挟んであった紙には、現在の私の似顔絵が描かれていました」と嬉しそうな裕香さん。そして……

「挟んであった紙の下のページには、当時の私が描かれていました。自分でも忘れていた笑顔でした」そういって微笑み、すぐに表情を引き締め、こう言いました。

「今回、最初は律也くんの言葉にときめいたりしましたが、今は自分の仕事を見つめ直すいい機会になったと思います」ここで、少し背筋を伸ばした裕香さん。

「自分の何気ないひと言が生徒に大きな影響を与えるんだな、と。だから、誰にいつどこで会っても恥ずかしくない人間でいようと思います」裕香さんは少し誇らし気に決意を語ってくれました。

確かにそうですね。生徒さんたちは学校を卒業していきますが、その後、人生という名の放課後を歩んでいくのですから、きっとまた、会う機会もあるでしょう。

次回のLINE事件簿もお楽しみに。

(LINE探偵)

※LINE事件ご提供者本人の許可を得て掲載しています
※個人が特定されないよう、名前や内容は一部変えています

この記事を書いたライター

LINE探偵
30代既婚者。これまでに100人以上のLINEに関する相談を受けたことがある。その内容は、恋愛/家族/セクハラ/浮気などさまざま。 今日も次々と僕の元へ寄せられるLINEのトーク履歴をみんなでチェックして行こう!

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