そこにいるのは何?母のお見舞いに行った友達の様子【LINE怖い話 #42/生き別れの弟 7】
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LINE怖い話
知らない人からLINEが来る。そんなゾッとする経験をしたことはありませんか?この連載では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?
多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。
LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
昔よく遊んでいたショッピングモールが半分廃墟と化していることを聞きつけ、肝試しに行ってみた和美さん、純さん、翔馬さん。
そこで、閉店した店舗の公式LINEのQRコードに偶然アクセスしました。
3人のグループLINEに招待すると、そのアカウントは「(O_O)」という名前で暗号のような言葉を送ってきました。
それを解読したのは純さんでした。彼は、6歳の時に親の離婚で生き別れた朔という弟と、この暗号を紙に書いて会話していたことがあるとのことです。
純さんには弟の記憶がしっかりとあり、この(O_O)というアカウントも朔だと言い張りますが、幼なじみの和美さんと翔馬さんの記憶を辿ると、純さんは最初からずっと1人っ子だったことが明らかになりました。
和美さんはこう言います。
「だいぶ説得したけど、純は聞く耳を持ちませんでした。それどころか、お母さんの居場所が分かったから会いに行くとまで言い出して……。結局根負けしてしまって、純がお母さんに会いに行くのを、私がこっそり付いていくことにしました」
純さんの母親は、隣の県の病院に入院しているそうです。
3人の中で唯一社会人の翔馬さんも、純さんのことを心配してはいましたが、仕事のため一緒にはいけないとのことで、純さんのことは和美さんに託されました。
「お母さんのお見舞いを終えた純をなんとか捕まえて、少し話をしました。お母さんの病状とか、いろいろ聞いたんですけど……」
和美さんはLINEを見せてくれました。純さんの様子を翔馬さんに報告した際のやりとりです。
純さんの母親の入院生活はとても長いものだったようですが、その間もずっと、弟の朔くんは母親のそばにいたと言います。
そして、朔くんは父親に会いたいと言うので、純さんはその日彼を病院から連れて帰ってきたとのことです。
純さんの母親も、行っておいでと笑顔で送り出したそうですが……。
「病院帰りの純に会った時、彼は誰かが隣にいるような感じで振る舞ってました。私には見えませんが、純には朔が見えていたのだと思います」
少し話をしようと立ち寄った喫茶店でも、彼は自分の分のアイスティーに加えて、クリームソーダを頼みました。
「そもそも私には見えませんでしたが、純は子どもに接するような……生き別れた当時の4歳の朔と話している感じでした。いや、そもそも生き別れてなんかいなくて、最初から弟は存在しないはずなんですが……」
和美さんは気味が悪くなり、帰り道では用事があるからと途中で電車を降りました。
それ以来和美さんは純さんに会っていません。LINEも止まったままとのことです。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(園田亜真理)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。
LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。
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「生き別れの弟」その7
昔よく遊んでいたショッピングモールが半分廃墟と化していることを聞きつけ、肝試しに行ってみた和美さん、純さん、翔馬さん。
そこで、閉店した店舗の公式LINEのQRコードに偶然アクセスしました。
3人のグループLINEに招待すると、そのアカウントは「(O_O)」という名前で暗号のような言葉を送ってきました。
それを解読したのは純さんでした。彼は、6歳の時に親の離婚で生き別れた朔という弟と、この暗号を紙に書いて会話していたことがあるとのことです。
純さんには弟の記憶がしっかりとあり、この(O_O)というアカウントも朔だと言い張りますが、幼なじみの和美さんと翔馬さんの記憶を辿ると、純さんは最初からずっと1人っ子だったことが明らかになりました。
和美さんはこう言います。
「だいぶ説得したけど、純は聞く耳を持ちませんでした。それどころか、お母さんの居場所が分かったから会いに行くとまで言い出して……。結局根負けしてしまって、純がお母さんに会いに行くのを、私がこっそり付いていくことにしました」
純さんの母親は、隣の県の病院に入院しているそうです。
3人の中で唯一社会人の翔馬さんも、純さんのことを心配してはいましたが、仕事のため一緒にはいけないとのことで、純さんのことは和美さんに託されました。
「お母さんのお見舞いを終えた純をなんとか捕まえて、少し話をしました。お母さんの病状とか、いろいろ聞いたんですけど……」
和美さんはLINEを見せてくれました。純さんの様子を翔馬さんに報告した際のやりとりです。
純さんの母親の入院生活はとても長いものだったようですが、その間もずっと、弟の朔くんは母親のそばにいたと言います。
そして、朔くんは父親に会いたいと言うので、純さんはその日彼を病院から連れて帰ってきたとのことです。
純さんの母親も、行っておいでと笑顔で送り出したそうですが……。
「病院帰りの純に会った時、彼は誰かが隣にいるような感じで振る舞ってました。私には見えませんが、純には朔が見えていたのだと思います」
少し話をしようと立ち寄った喫茶店でも、彼は自分の分のアイスティーに加えて、クリームソーダを頼みました。
「そもそも私には見えませんでしたが、純は子どもに接するような……生き別れた当時の4歳の朔と話している感じでした。いや、そもそも生き別れてなんかいなくて、最初から弟は存在しないはずなんですが……」
和美さんは気味が悪くなり、帰り道では用事があるからと途中で電車を降りました。
それ以来和美さんは純さんに会っていません。LINEも止まったままとのことです。
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(園田亜真理)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
園田亜真理
1993年10月5日、東京都生まれ。元インテリアショップ店員。駆け出しフリーWEBライター・エディター。フリーモデル。この先の時代に、結婚せずに女1人で生きていく方法を模索中。オカルト、ホラー、廃墟が好き。