「これ効くよ」力を活かしたお小遣い稼ぎ【LINE怖い話 #43/絶縁の水 1】
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LINE怖い話
知らない人からLINEが来る。そんなゾッとする経験をしたことはありませんか?この連載では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?
多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。
LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
紘子さんは25歳のOL。昔から霊感が強く、勘も鋭かったと言います。
ある日、大学時代からの友人の奈美さんが、LINEで相談を持ちかけてきました。
最近アパートで妙な音がしたり、金縛りに遭うようになったとのことです。
「部屋の中を映した動画が送られてきました。奈美には見えないようですが、私には3体ほどいるのが分かりましたね。ひとまず鏡の位置を変えることと、ちゃんと換気するよう伝えました」
紘子さん曰く、その程度の対策でも霊は居心地が悪くなるらしいのですが、見えない存在に怯える奈美さんはそれでも不安な様子でした。
しばらくして、また奈美さんからLINEが来ました。
「龍玉水」というのは、最近ネットで少し話題になっているお清めスプレーのことです。
元々は除霊用のようですが「夫のスーツにかけたら不倫をやめてくれた」とか「嫌いな人の席にかけたらその人が退職することになった」などの噂が立ち、有名になったとのこと。
紘子さんが奈美さんに勧めたのは、効果の似ている「絶縁の水」という商品でした。
「奈美には言ってないんですけど、実はこれ私が作ってるんですよ。龍玉水より安くて匂いが薄いのが売りです。しかも効果はこっちの方が若干上かな」
紘子さんの作る絶縁の水は、龍玉水を家の近くの川の水で薄めたものです。
他の顧客と同じように龍玉水をネットで購入し、絶縁の水の注文があったら薄めて他のボトルに詰め替え、ラベルを貼って手作業で発送しているとのこと。
「発送の手間はあるものの、原価を考えたらちょっとした小遣い稼ぎにはなります。転売とは別ですが、まあグレーと言ったところですかね。除霊の効果があるのは間違いないですし」
紘子さんは、霊感はあっても除霊ができないことが長年の悩みでした。
アパート近くの川の水にある程度の除霊力があることが分かり、それに頼っていた紘子さんでしたが、龍玉水の発売を知り、金儲けを思いついたとのことです。
「霊が見えるってだけで今まで不便な生活をしていましたからね、元をとってやろうという気持ちでいました」
これがこの後、思わぬ展開に進んでいきます。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(園田亜真理)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。
LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「絶縁の水」その1
紘子さんは25歳のOL。昔から霊感が強く、勘も鋭かったと言います。
ある日、大学時代からの友人の奈美さんが、LINEで相談を持ちかけてきました。
最近アパートで妙な音がしたり、金縛りに遭うようになったとのことです。
「部屋の中を映した動画が送られてきました。奈美には見えないようですが、私には3体ほどいるのが分かりましたね。ひとまず鏡の位置を変えることと、ちゃんと換気するよう伝えました」
紘子さん曰く、その程度の対策でも霊は居心地が悪くなるらしいのですが、見えない存在に怯える奈美さんはそれでも不安な様子でした。
しばらくして、また奈美さんからLINEが来ました。
「龍玉水」というのは、最近ネットで少し話題になっているお清めスプレーのことです。
元々は除霊用のようですが「夫のスーツにかけたら不倫をやめてくれた」とか「嫌いな人の席にかけたらその人が退職することになった」などの噂が立ち、有名になったとのこと。
紘子さんが奈美さんに勧めたのは、効果の似ている「絶縁の水」という商品でした。
「奈美には言ってないんですけど、実はこれ私が作ってるんですよ。龍玉水より安くて匂いが薄いのが売りです。しかも効果はこっちの方が若干上かな」
紘子さんの作る絶縁の水は、龍玉水を家の近くの川の水で薄めたものです。
他の顧客と同じように龍玉水をネットで購入し、絶縁の水の注文があったら薄めて他のボトルに詰め替え、ラベルを貼って手作業で発送しているとのこと。
「発送の手間はあるものの、原価を考えたらちょっとした小遣い稼ぎにはなります。転売とは別ですが、まあグレーと言ったところですかね。除霊の効果があるのは間違いないですし」
紘子さんは、霊感はあっても除霊ができないことが長年の悩みでした。
アパート近くの川の水にある程度の除霊力があることが分かり、それに頼っていた紘子さんでしたが、龍玉水の発売を知り、金儲けを思いついたとのことです。
「霊が見えるってだけで今まで不便な生活をしていましたからね、元をとってやろうという気持ちでいました」
これがこの後、思わぬ展開に進んでいきます。
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(園田亜真理)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
園田亜真理
1993年10月5日、東京都生まれ。元インテリアショップ店員。駆け出しフリーWEBライター・エディター。フリーモデル。この先の時代に、結婚せずに女1人で生きていく方法を模索中。オカルト、ホラー、廃墟が好き。