「私なら分かる」割り出した住所を訪ねてみると…【LINE怖い話 #49/絶縁の水 7】

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知らない人からLINEが来る。そんなゾッとする経験をしたことはありませんか?この連載では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?

多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。

LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。

「絶縁の水」その7


紘子さんは「絶縁の水」という除霊商品をネットで販売し、購入者には自身が運営する公式LINEアカウント「占いLINE藍羅」に案内して、有料で占いを行うというお小遣い稼ぎをしていました。

その絶縁の水は「龍玉水」という別の商品を薄めたものですが、紘子さんには霊感があるため、薄めても除霊に使えることは確信を得ていました。

しかし龍玉水は買い占められ、絶縁の水を生産することもできなくなってしまいました。

龍玉水を買い占めたのは、以前「占いLINE藍羅」に相談に来た「(O_O)」という人物です。

その人は、奈美さんと遥輝さんを別れさせようとしていました。彼らは紘子さんの大学時代の友人です。

「多分(O_O)は生き霊を飛ばせる人なんですね。奈美もだいぶ参ってるし、(O_O)本人が家まで来て嫌がらせしているっぽかったので、私は絶縁の水の購入者の中から、(O_O)が誰なのか探ることにしました。購入の時期とか住所を見て、おそらくこの人だろうという当たりはついたんですが……」

そうこうしているうちに、事件は起きました。

なんと、遥輝さんが昨日から連絡がつかず、家にも帰っていないというのです。



紘子さんはこの話を聞いたとき、遥輝さんは(O_O)に連れ去られたのではと考えました。

居場所が分かりそうだと言ったのも、本当は霊視ではなく、(O_O)の住所や名前を掴めていたからです。

「絶縁の水は除霊はできますが、生きてる人をどうにかすることはできないんだと思います。だから(O_O)も、最終的には極端な行動に出るしかなかったんでしょうね。まあ、奈美はまだ私を疑っているようでしたが」

紘子さんは、(O_O)の本名を紙に書いて、残っていた絶縁の水をスプレーし、写真を撮って奈美さんに送りました。しかしやっぱり、奈美さんはその名前に心当たりはないと言います。

紘子さんは、仕方ないなと思いました。

「名前を書いてスプレーするだけでその人が離れていくというのは、私が捏造した口コミです。でもやってみると、ちょっとこっちが優位になった気になれますね」

気が動転している奈美さんをLINEでなだめ、紘子さんは1人で(O_O)の住所に向かいました。

もしかしたら、遥輝さんもそこにいるかもしれないと思ったのです。

しかし……。

「書いてある住所、途中までは実在する町名なのに、番地が存在しなかったんです。絶縁の水は確かにこの住所に送って、届かなかったなんてことはないはずなのに……」

遥輝さんは、今も行方不明のままです。


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(園田亜真理)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

園田亜真理
1993年10月5日、東京都生まれ。元インテリアショップ店員。駆け出しフリーWEBライター・エディター。フリーモデル。この先の時代に、結婚せずに女1人で生きていく方法を模索中。オカルト、ホラー、廃墟が好き。

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