「天罰ってあるんじゃない?」明かされる過去【LINE怖い話 #55/さりげない助言 6】
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LINE怖い話
知らない人からLINEが来る。そんなゾッとする経験をしたことはありませんか?この連載では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?
多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。
LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
とあるバーで篠原さんという男性と知り合い、その後LINEでやりとりをしていた紗知さん。
篠原さんは、まるで紗知さんの行動を予知しているかのように助言することがあり、紗知さんはだんだん恐怖を覚えるようになりました。
しかし、篠原さんをよく知るバーテンダーに確認したところ、なんとLINEの相手は篠原さんではなかったことが判明しました。
紗知さんはバーで飲んだ日の終盤の記憶はありませんし、バーテンダー曰く篠原さんとはLINEを交換してはいなかったとのことです。
では、篠原さんだと思いこんでやりとりをしていた「(O_O)」という人物は、いったい何者なのでしょうか?
バーテンダーの取次で、本物の篠原さんの連絡先を入手した紗知さん。
ことの経緯を彼に話してみることにしました。
「本物の篠原さんも、元彼が事故に遭ったって話をしたら『こう言っちゃ不謹慎だけど、天罰ってあるんじゃない?』って言ってました。でもやっぱり、篠原さんのフリをしていた『(O_O)』って人とは、なんとなく口調が違いますね」
一通り話し終えた後、篠原さんはこう言いました。
紗知さんはふと気になって、自分と元彼についてどこまで知っているか、篠原さんに尋ねてみました。
紗知さんはバーで話したことはあまり覚えていませんでしたが、篠原さんには心を開いていた記憶はあります。
篠原さんは全部知っていました。
「仲のいい人にしか話したことがないのですが、3年ほど前に元彼との子を身ごもったことがあるんです。当時は未婚でお金もありませんでしたが、私は意を決して彼と結婚し、子どもを産もうと思いました。でも……」
彼は紗知さんの元から姿を消してしまいました。ごく少数の友人に「東京を出て遠くに行く」とだけ残して。
紗知さんはかなりショックを受けましたが、それでも母親になる覚悟を決めて、1人で子どもを育てることにしました。
しかし……。
「結局その子の顔を見ることはできませんでした。性別も分かる前に、流れてしまったんです……」
一度夢見た家族の風景は叶うことなく、紗知さんは1人残されました。
出産までに至らなかったのは私のせいなのでは、と自分を責めたこともありました。
しかし今は、生活習慣や自分の意思ではどうすることもできなかったのだと、受け入れることができていると言います。
「今はそれよりも、逃げ出した元彼に対して責めたい気持ちが大きいです。大人は、向き合うことも逃げることも自分の意思でできるものです。それから、あんなことをしておいてまた東京に戻ってくる神経が信じられません」
篠原さんは「元彼さんは憎まれて当然のことをしたと思うよ」と言いました。
でも自分のその気持ちが、元彼の事故に繋がっているのだとしたら……。
紗知さんはもう一度、(O_O)にLINEを送ってみることにしました。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(園田亜真理)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。
LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。
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「さりげない助言」その6
とあるバーで篠原さんという男性と知り合い、その後LINEでやりとりをしていた紗知さん。
篠原さんは、まるで紗知さんの行動を予知しているかのように助言することがあり、紗知さんはだんだん恐怖を覚えるようになりました。
しかし、篠原さんをよく知るバーテンダーに確認したところ、なんとLINEの相手は篠原さんではなかったことが判明しました。
紗知さんはバーで飲んだ日の終盤の記憶はありませんし、バーテンダー曰く篠原さんとはLINEを交換してはいなかったとのことです。
では、篠原さんだと思いこんでやりとりをしていた「(O_O)」という人物は、いったい何者なのでしょうか?
バーテンダーの取次で、本物の篠原さんの連絡先を入手した紗知さん。
ことの経緯を彼に話してみることにしました。
「本物の篠原さんも、元彼が事故に遭ったって話をしたら『こう言っちゃ不謹慎だけど、天罰ってあるんじゃない?』って言ってました。でもやっぱり、篠原さんのフリをしていた『(O_O)』って人とは、なんとなく口調が違いますね」
一通り話し終えた後、篠原さんはこう言いました。
紗知さんはふと気になって、自分と元彼についてどこまで知っているか、篠原さんに尋ねてみました。
紗知さんはバーで話したことはあまり覚えていませんでしたが、篠原さんには心を開いていた記憶はあります。
篠原さんは全部知っていました。
「仲のいい人にしか話したことがないのですが、3年ほど前に元彼との子を身ごもったことがあるんです。当時は未婚でお金もありませんでしたが、私は意を決して彼と結婚し、子どもを産もうと思いました。でも……」
彼は紗知さんの元から姿を消してしまいました。ごく少数の友人に「東京を出て遠くに行く」とだけ残して。
紗知さんはかなりショックを受けましたが、それでも母親になる覚悟を決めて、1人で子どもを育てることにしました。
しかし……。
「結局その子の顔を見ることはできませんでした。性別も分かる前に、流れてしまったんです……」
一度夢見た家族の風景は叶うことなく、紗知さんは1人残されました。
出産までに至らなかったのは私のせいなのでは、と自分を責めたこともありました。
しかし今は、生活習慣や自分の意思ではどうすることもできなかったのだと、受け入れることができていると言います。
「今はそれよりも、逃げ出した元彼に対して責めたい気持ちが大きいです。大人は、向き合うことも逃げることも自分の意思でできるものです。それから、あんなことをしておいてまた東京に戻ってくる神経が信じられません」
篠原さんは「元彼さんは憎まれて当然のことをしたと思うよ」と言いました。
でも自分のその気持ちが、元彼の事故に繋がっているのだとしたら……。
紗知さんはもう一度、(O_O)にLINEを送ってみることにしました。
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(園田亜真理)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
園田亜真理
1993年10月5日、東京都生まれ。元インテリアショップ店員。駆け出しフリーWEBライター・エディター。フリーモデル。この先の時代に、結婚せずに女1人で生きていく方法を模索中。オカルト、ホラー、廃墟が好き。