あなたはいったい誰?私を導いてくれた人【LINE怖い話 #56/さりげない助言 7】

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知らない人からLINEが来る。そんなゾッとする経験をしたことはありませんか?この連載では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?

多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。

LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。

「さりげない助言」その7


26歳のOLである紗知さん。ある朝家で目を覚ますと「(O_O)」という人から紗知さんをいたわるLINEが入っていました。

紗知さんはその内容から、前日の夜にバーで知り合った篠原さんからのLINEだと思い、しばらくやりとりをしていましたが、相手はまるで紗知さんの行動を予知しているかのように助言することがあり、だんだん恐怖を覚えるようになりました。

一番驚いたのは、3年前に紗知さんの心を傷つけて去っていった元彼と鉢合わせしないように、さりげなくアドバイスをしてくれたことと、その元彼が事故に遭ったと伝えた際に「誰かが復讐してくれたのかも」と言ってきたことです。

「本物の篠原さんは、(O_O)は紗知さんを守ろうとしているのではないか、って言ってましたけど……」

紗知さんは再び(O_O)に話しかけてみました。



なんと(O_O)の正体は、産まれることができなかった紗知さんの子どもでした。

気持ちの整理がつかない紗知さんでしたが、(O_O)の話を聞いてみることにしました。

「その子は、ずっと私のことを心配して見守っていたと言っていました。本当に、信じられないんですが……。それから、その子の父親に当たる私の元彼を事故に遭わせたのも、その子でした」

紗知さんが、親のためにそんな復讐はしなくていいんだよと言うと、(O_O)は「お母さんを傷つけた人は誰でも許せなかったから……」と返してきたといいます。

思えば、元彼が紗知さんの元を去り、手術を終えてから今日まで、日々はとても穏やかなものでした。

もしかしたらそれは(O_O)のおかげだったのかもしれない、と紗知さんは思います。

「自分の子と通じることができたのは、とても不思議な気持ちでしたが、嬉しかったです。でも、もう連絡をとるのはやめようということになりました。それは、あの子の方から言い出したことなんですが……」

(O_O)は、自分がこうしてそばにいて見守っていることを知ってもらえたなら、それでいいと言いました。

「安心して毎日を過ごしてほしいって言われました。とても優しい子でした」

(O_O)は最後に「篠原さんはとてもいい人だから、きっと幸せになれるよ」と言い残し、それから返信は途絶えました。

紗知さんはその後、篠原さんと結ばれ、今では幸せな家庭を築いているといいます。


連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(園田亜真理)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

園田亜真理
1993年10月5日、東京都生まれ。元インテリアショップ店員。駆け出しフリーWEBライター・エディター。フリーモデル。この先の時代に、結婚せずに女1人で生きていく方法を模索中。オカルト、ホラー、廃墟が好き。

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