何かがおかしい……友人にだけ見えている映像【LINE怖い話 #68/ホラー映画観賞会 5】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「ホラー映画観賞会」その5



LINE越しで同じ映画を鑑賞し、互いに感想を言い合っている芳子さんと響さん。

響さんが“女の幽霊が出ていた”とメッセージを送ってきますが、芳子さんはそのシーンで女性の幽霊を見ることができませんでした。

自分がよそ見をして見逃したと思い、今度はしっかりと映画を集中して観ようと思う芳子さん。

しばらく映画を鑑賞し、いよいよ物語終盤へ。

様々な家具が怪奇現象によって宙に浮かび、主人公たちに襲いかかるシーンに。

迫力のある主人公たちの逃走劇に、息をのみながら見守る芳子さん。

しかしその時、響さんからLINEメッセージが。

映画を見逃さないようテレビ画面の延長線上にスマートフォンを持ち上げながら、芳子さんはメッセージを確認します。



「はあ?」

芳子さんは思わず声を出してしまいました。

テレビの画面ブレはどうでもいいとして、問題なのは後半の文章。

響さんは和室が出てきたことを話していますが、そんなシーンに覚えはありません。

主人公たちはずっと洋館におり、和室なんて出てくるはずがないのです。

芳子さんが混乱していると、響さんからさらに追加でメッセージが。

“この変な声みたいな音やばいね。怖すぎでしょ!”

芳子さんはすぐにテレビに目を戻し、音をよく聞いてみます。

しかし、聞こえるのは主人公たちが必死になって走る足音と吐息のみ。今観ているシーンではその音しか聞こえません。

「いや、ちょっと待って……はあ?」

明らかに言っていることがおかしい響さんに、芳子さんはさらに困惑します。

もしかして、何かの間違いで別の番組を観ているのでは?

そう思った芳子さんは、急いでスマホに文字を打ちこみました。

“ちょっと待って、同じ映画見てるよね?”

メッセージを送り、真相を確かめようとする芳子さん。

そして、返ってきた響さんのメッセージは……。



連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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