どうして…。謎の映像を観ていた友人のその後 【LINE怖い話 #70/ホラー映画観賞会 7】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「ホラー映画観賞会」その7



テレビ放送されているホラー映画を、それぞれの自宅で同時に鑑賞していたはずの芳子さんと響さん。

しかし、女の幽霊が見える、洋館なのに和室が映っている、変な音が聞こえるなど、自分が観ている映画には描写されていないことをLINE越しに言われ、芳子さんは不安を覚えます。

本当に、響さんは自分と同じものを観ているのでしょうか?

確認のためにメッセージを送りますが、響さんから返信が返ってくることはありませんでした。


翌日、いつもどおり会社に出社した芳子さん。

芳子さん以外にもすでに出社している会社員が何人かいましたが、響さんはまだ来ていないようでした。

昨晩のことを響さんに確認しようと思い、自分のデスクに座って響さんが出社してくるのを待ちます。

しかし、始業時間になっても響さんは現れません。

朝礼時に部長が遅刻や欠勤の連絡が入っていないか周りに確認をとりますが、誰も聞いていないと言います。

芳子さんはそこで、言葉にできない嫌な感覚に襲われました。

朝礼が終わった後、芳子さんは大事にならないよう課長に個別で昨晩のことを報告しました。途中で急に連絡が途絶え、音信不通になっていると。

「わかった……ご家族にも連絡して、彼女の安否確認をお願いしてみるよ」

そうして部長は社内の連絡表を取り出し、響さんの緊急連絡先であるご家族の電話番号を調べはじめました。

音信不通は何かの間違いで、無事でいてほしい。

連絡先を調べる部長を見ながら、芳子さんは響さんの無事を必死に祈りました。


後日、部長を通して響さんの様子を知らされた芳子さん。

連絡を受けたご家族が確認しに行ったところ、響さんは自室にて昏睡状態で見つかったとのこと。

現在は入院しており、今のところ命に別状はないようです。しかし昏睡に陥った原因は不明で、医師も頭を悩ませているとのこと。

また、発見された際はテレビがついたままになっていたようです。

医師は過労やストレスが原因ではないかと仮説を立てており、部長もそれを聞いて勤務状況を見直す方向で対応をしているようです。

しかし、芳子さんは釈然とせず、原因はそれではないような気がしてなりません。



響さんが出社しなくなった今でも、時折あのときのメッセージを見返す芳子さん。

“女の幽霊が画面に近づいてくる”

あのとき、明らかに響さんは芳子さんとは違うものを見ていました。

芳子さんが最初に思った通り、別の番組を観ていたのでしょうか?

それとも、本当に……?



連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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