私の知らぬ間に…。慰安旅行中に起きた異常 【LINE怖い話 #71/格安の旅館で 1】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「格安の旅館で」その1



由奈さんは、東京の会社で働く24歳。

就職して早1年。仕事に少しずつ慣れてきてはいるものの、まだまだ覚えることが多く疲れが溜まっていると感じていました。

そこで、ゆっくり羽を伸ばそうと1人で慰安旅行に行くことを計画。旅行サイトを調べ、手ごろな価格で楽しめそうな場所がないか吟味します。

すると、とある旅館で朝・夜の食事つきで1泊1万円ほどの超格安旅館を発見した由奈さん。

場所も新幹線で行ける距離であり、ここだと即決した由奈さんはすぐに予約。有給休暇を使用し、3泊4日で地方の温泉宿にやってきました。

「はえ~、思ったよりしっかりしてるじゃん」

値段の安さから老朽化している宿ではないかと少し警戒していた由奈さんですが、手入れされた綺麗で大きな旅館を見て安心しました。

女将さんに部屋へ案内され、1人になった途端に畳へ寝転ぶ由奈さん。一息入れて移動での疲れをとった後、部屋の時計を確認します。

時刻は夕方の6時。観光は明日に回し、今日は旅館でゆっくりすることに決めた由奈さん。

その後、旅館にある露天風呂を堪能し、上がった頃には部屋に豪華な夕食が。

「この値段でこのサービスなら全然お得じゃん。ラッキー!」

良く染みた魚の煮つけに舌鼓を打ちながらそう思っていると、スマホに通知音が。

確認すると、学生時代からの友人である美代子さんからでした。



美代子さんに旅館の居心地の良さを報告し、幸せを噛みしめる由奈さん。

そして食後にもう一度温泉を堪能し、売店で売っていた地酒を購入して1人晩酌を楽しみました。

「はあ~……最高」

お酒も回り、ふわふわと心地よい気分になる由奈さん。

時計が0時を回った頃、明日の観光に備えて寝支度を整えて布団に潜ります。

「明日はどうなるかなぁ~」

観光地に思いをはせながら、そのままゆっくりと眠りにつきました。


深夜、午前2時。

電気が消え、完全に暗闇に包まれているはずの室内。

しかし、机の上に置かれているスマートフォンの画面が突如として明るくなり、室内を照らします。

熟睡している由奈さんは、それを知るよしもありません……。



連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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