あの声はなに…!?眠れない夜は続く 【LINE怖い話 #77/格安の旅館で 7】
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
スマートフォンの謎の通話を調べるつもりが、得体の知れない恐怖体験となってしまった。由奈さん。
謎の声に怯え、思わず部屋から飛び出しました。
「な、何……!?今の何なのよ……!?」
肩で息をし、先ほどまで自分がいた部屋のドアを見つめる由奈さん。
心の整理がつかず、しばらくその場で座りこんでしまいました。しかししばらくすると……。
カツ……カツ……カツ……。
何かの足音が、ゆっくりと由奈さんに近づいてきます。
「だ、誰!?」
思わず声を上げながら振り向くと、そこには旅館の女将さんの姿が。
「おや、お客様、こんなところに座りこんで、お体の具合でも悪いのでしょうか?」
「あ……女将さん……」
心配そうに駆け寄る女将さんの姿を見て、少しホッとする由奈さん。しかし、部屋のことが気になってまだ落ち着きがないのも事実です。
「あ、あの……!へ、部屋……!」
由奈さんが部屋のドアを指さすと、女将さんは無言で部屋に入っていきました。
「え……えっと、あの……?」
女将さんがあまりにもスムーズに対応し部屋に入っていくのを見て、あっけにとられる由奈さん。
後を追うように部屋に入ると、女将さんは電気のスイッチを確認していました。
「電気のつきが悪いですね……故障かもしれません」
何度も電源スイッチをオン・オフに切り替える女将さん。するとしばらくして電気がつき、部屋に明かりが戻りました。
「驚かせて大変申し訳ございません。どうやら電気の調子が悪いみたいです」
深々と頭を下げる女将さんですが、由奈さんとしては電気が消えて驚いたというわけではありません。
「いや、えっと……」
部屋から変な声が聞こえた、そう言いたいところでしたが、正直に話したところで信じてもらえるかは微妙です。
「もし不安でしたら、空いている別のお部屋にご案内いたしますが、いかがいたしましょうか?」
由奈さんが言いよどんでいると、女将さんが顔色をうかがって提案してきました。
正直この部屋で1人になるのは怖かったので、ありがたいと思い、その提案を受けることに。
女将さんは部屋の準備をしてくると言い、部屋から出ていきます。1人残された由奈さんは再び不安になります。
その時、投げ捨てて畳の上に落ちていたスマートフォンからメッセージの着信音が。
「ひっ……!?」
謎の声のことを思い出し、不安が増大する由奈さん。
恐る恐る拾い上げ、画面を確認すると美代子さんからのLINEでした。
![](//imgc.eximg.jp/i=%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252Flaurierpress%252Flaurier_lifestyle%252F2021%252FE1634285690543_55a3_2.jpg,small=900,quality=80,type=)
最後の“おいマジかよ……”は恐怖体験に驚いているのか、変なことを言って別部屋を用意してもらっていることに呆れているのか、文面だけで判断することはできませんでした。
それでも、とにかくこの部屋から出たい。その一心で由奈さんはLINEでの会話を切り上げ、別部屋に移動するため身支度を始めました。
その後、別部屋に移動した由奈さんですが、恐怖で一睡もできないまま朝を迎えてしまいました。
ご迷惑をおかけしたとのことで朝食代もサービスしてもらいましたが、食欲も湧かずあまり食べることができなかった由奈さん。
その後、旅館を出て帰路に着き、電車内で仮眠をとりつつ帰宅。
それから数日間、夜の2時に自分のスマートフォンを確認した由奈さんでしたが、あの日以降謎の通話現象は起きなくなっていました。
「何だったのよ、いったい……!?」
今でもさかのぼれば履歴を確認できる、真夜中の通話履歴。
部屋の中で聞こえた“何で”という謎の声。
そして、やけに対応がスムーズだった女将さん。
わからないままのことが多く、帰宅した後もしばらく眠れない夜が続いた由奈さんでした……。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「格安の旅館で」その7
スマートフォンの謎の通話を調べるつもりが、得体の知れない恐怖体験となってしまった。由奈さん。
謎の声に怯え、思わず部屋から飛び出しました。
「な、何……!?今の何なのよ……!?」
肩で息をし、先ほどまで自分がいた部屋のドアを見つめる由奈さん。
心の整理がつかず、しばらくその場で座りこんでしまいました。しかししばらくすると……。
カツ……カツ……カツ……。
何かの足音が、ゆっくりと由奈さんに近づいてきます。
「だ、誰!?」
思わず声を上げながら振り向くと、そこには旅館の女将さんの姿が。
「おや、お客様、こんなところに座りこんで、お体の具合でも悪いのでしょうか?」
「あ……女将さん……」
心配そうに駆け寄る女将さんの姿を見て、少しホッとする由奈さん。しかし、部屋のことが気になってまだ落ち着きがないのも事実です。
「あ、あの……!へ、部屋……!」
由奈さんが部屋のドアを指さすと、女将さんは無言で部屋に入っていきました。
「え……えっと、あの……?」
女将さんがあまりにもスムーズに対応し部屋に入っていくのを見て、あっけにとられる由奈さん。
後を追うように部屋に入ると、女将さんは電気のスイッチを確認していました。
「電気のつきが悪いですね……故障かもしれません」
何度も電源スイッチをオン・オフに切り替える女将さん。するとしばらくして電気がつき、部屋に明かりが戻りました。
「驚かせて大変申し訳ございません。どうやら電気の調子が悪いみたいです」
深々と頭を下げる女将さんですが、由奈さんとしては電気が消えて驚いたというわけではありません。
「いや、えっと……」
部屋から変な声が聞こえた、そう言いたいところでしたが、正直に話したところで信じてもらえるかは微妙です。
「もし不安でしたら、空いている別のお部屋にご案内いたしますが、いかがいたしましょうか?」
由奈さんが言いよどんでいると、女将さんが顔色をうかがって提案してきました。
正直この部屋で1人になるのは怖かったので、ありがたいと思い、その提案を受けることに。
女将さんは部屋の準備をしてくると言い、部屋から出ていきます。1人残された由奈さんは再び不安になります。
その時、投げ捨てて畳の上に落ちていたスマートフォンからメッセージの着信音が。
「ひっ……!?」
謎の声のことを思い出し、不安が増大する由奈さん。
恐る恐る拾い上げ、画面を確認すると美代子さんからのLINEでした。
![](http://imgc.eximg.jp/i=%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252Flaurierpress%252Flaurier_lifestyle%252F2021%252FE1634285690543_55a3_2.jpg,small=900,quality=80,type=)
最後の“おいマジかよ……”は恐怖体験に驚いているのか、変なことを言って別部屋を用意してもらっていることに呆れているのか、文面だけで判断することはできませんでした。
それでも、とにかくこの部屋から出たい。その一心で由奈さんはLINEでの会話を切り上げ、別部屋に移動するため身支度を始めました。
その後、別部屋に移動した由奈さんですが、恐怖で一睡もできないまま朝を迎えてしまいました。
ご迷惑をおかけしたとのことで朝食代もサービスしてもらいましたが、食欲も湧かずあまり食べることができなかった由奈さん。
その後、旅館を出て帰路に着き、電車内で仮眠をとりつつ帰宅。
それから数日間、夜の2時に自分のスマートフォンを確認した由奈さんでしたが、あの日以降謎の通話現象は起きなくなっていました。
「何だったのよ、いったい……!?」
今でもさかのぼれば履歴を確認できる、真夜中の通話履歴。
部屋の中で聞こえた“何で”という謎の声。
そして、やけに対応がスムーズだった女将さん。
わからないままのことが多く、帰宅した後もしばらく眠れない夜が続いた由奈さんでした……。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。