何か関係が…?メッセージが来るタイミング【LINE怖い話 #80/私を呼ぶのは誰? 3】
連載
LINE怖い話
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
“なな”と名乗るアカウントからメッセージを送られ、どう対応すればいいか悩んでいた杏奈さん。
友人の真奈美さんと相談し、様子を見つつアカウント変更を視野に入れるという結果となりました。
そしてその翌日。
いつも通り部活から帰路に着いている杏奈さん。舗装されていない土の道から、河原にかかる橋の上へ。
そして、昨日、一昨日と同じようにLINEメッセージが送られてきます。内容も昨日と同じで“なな”というアカウントから“はやくきて”というメッセージ。
「はあ……」
もう呆れてため息しか出てこない杏奈さん。
「何度も同じタイミングで送ってこないでよね。時報かよ」
思わず独り言をつぶやきながら、ブロック設定に入れるための操作をしようとした杏奈さん。
その時、河からポチャン、という音が聞こえました。
「ん?」
杏奈さんは思わず河を見ますが、夕焼けを反射した水面が映るだけで特に変わった様子はありません。魚が跳ねた音か、何か小さなものが河に落ちた音でしょう。
しかし、その河を見て杏奈さんは気づきました。
「そういえば、いつもここでメッセージ来るよね……」
“なな”というアカウントから来るメッセージは、いつも河原の上の橋にいるときに送られてきます。
何の変哲もない、杏奈さんを含めた地元民から見たらただの河原ですが、その時だけは自分と何か不思議な縁を感じた杏奈さん。
「……そもそも、どんな人なんだろう」
夕焼けを反射し赤く染まる河を見ながら、そんなことを考える杏奈さん。
自分でもなぜかわかりませんが、知らない相手への恐怖心よりも好奇心のほうが膨れ上がっていく感覚がありました。
「……この河に、何か関係あるのかな」
そうぼんやりと思った杏奈さんは、好奇心に勝てず“なな”というアカウントに返信をしていました。
杏奈さんのことを待っていると言うメッセージ。
それに対して、どこに行けばいいのかを聞こうと文字を打とうとした杏奈さん。しかしその瞬間、
ピピピピピピ!
「うわっ!?」
通話の着信音が響き渡り、驚いてスマートフォンを落としそうになる杏奈さん。
落ち着いて画面を確認すると、電話をかけてきたのは母親でした。
「もしもしお母さん?どうしたの?」
「ああゴメンね。まだ家から距離ある?もし余裕あったらスーパーで醤油を買ってきてほしいんだけど。お金は帰ってから払うから、大至急お願い!」
「いいよ~。その代わりお菓子も買っていい?」
「お駄賃替わりね。1個だけならいいよ」
「おっけー」
急遽おつかいを頼まれ、その報酬としてお菓子を奢ってもらうことになった杏奈さん。
どうせなら大袋のやつを買って帰ろうと考えながら、橋を渡り急いでスーパーに向かいます。
(あ、居場所の話聞きそびれた……)
そう思い、速足で歩きながらもLINEを操作して会話を再開しようとする杏奈さん。しかし、
“トーク相手がいません”
「あれ?」
アカウントが見つからない際の表示が出て、会話が続けられない状態となっていました。
(何で……?まあ、いいか)
首を傾げつつも、メッセージが送れないなら仕方ないと思い諦める杏奈さん。先ほどまでの謎の好奇心はどこへやら、気にせずスーパーに向かいます。
その後ろで、河から再びポチャンという音がしましたが、気づく人はいませんでした。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「私を呼ぶのは誰?」その3
“なな”と名乗るアカウントからメッセージを送られ、どう対応すればいいか悩んでいた杏奈さん。
友人の真奈美さんと相談し、様子を見つつアカウント変更を視野に入れるという結果となりました。
そしてその翌日。
いつも通り部活から帰路に着いている杏奈さん。舗装されていない土の道から、河原にかかる橋の上へ。
そして、昨日、一昨日と同じようにLINEメッセージが送られてきます。内容も昨日と同じで“なな”というアカウントから“はやくきて”というメッセージ。
「はあ……」
もう呆れてため息しか出てこない杏奈さん。
「何度も同じタイミングで送ってこないでよね。時報かよ」
思わず独り言をつぶやきながら、ブロック設定に入れるための操作をしようとした杏奈さん。
その時、河からポチャン、という音が聞こえました。
「ん?」
杏奈さんは思わず河を見ますが、夕焼けを反射した水面が映るだけで特に変わった様子はありません。魚が跳ねた音か、何か小さなものが河に落ちた音でしょう。
しかし、その河を見て杏奈さんは気づきました。
「そういえば、いつもここでメッセージ来るよね……」
“なな”というアカウントから来るメッセージは、いつも河原の上の橋にいるときに送られてきます。
何の変哲もない、杏奈さんを含めた地元民から見たらただの河原ですが、その時だけは自分と何か不思議な縁を感じた杏奈さん。
「……そもそも、どんな人なんだろう」
夕焼けを反射し赤く染まる河を見ながら、そんなことを考える杏奈さん。
自分でもなぜかわかりませんが、知らない相手への恐怖心よりも好奇心のほうが膨れ上がっていく感覚がありました。
「……この河に、何か関係あるのかな」
そうぼんやりと思った杏奈さんは、好奇心に勝てず“なな”というアカウントに返信をしていました。
杏奈さんのことを待っていると言うメッセージ。
それに対して、どこに行けばいいのかを聞こうと文字を打とうとした杏奈さん。しかしその瞬間、
ピピピピピピ!
「うわっ!?」
通話の着信音が響き渡り、驚いてスマートフォンを落としそうになる杏奈さん。
落ち着いて画面を確認すると、電話をかけてきたのは母親でした。
「もしもしお母さん?どうしたの?」
「ああゴメンね。まだ家から距離ある?もし余裕あったらスーパーで醤油を買ってきてほしいんだけど。お金は帰ってから払うから、大至急お願い!」
「いいよ~。その代わりお菓子も買っていい?」
「お駄賃替わりね。1個だけならいいよ」
「おっけー」
急遽おつかいを頼まれ、その報酬としてお菓子を奢ってもらうことになった杏奈さん。
どうせなら大袋のやつを買って帰ろうと考えながら、橋を渡り急いでスーパーに向かいます。
(あ、居場所の話聞きそびれた……)
そう思い、速足で歩きながらもLINEを操作して会話を再開しようとする杏奈さん。しかし、
“トーク相手がいません”
「あれ?」
アカウントが見つからない際の表示が出て、会話が続けられない状態となっていました。
(何で……?まあ、いいか)
首を傾げつつも、メッセージが送れないなら仕方ないと思い諦める杏奈さん。先ほどまでの謎の好奇心はどこへやら、気にせずスーパーに向かいます。
その後ろで、河から再びポチャンという音がしましたが、気づく人はいませんでした。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。