突然の自虐?別に気にしなくてもいいのに… 【LINE怖い話 #86/母と祖母 2】
連載
LINE怖い話
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE…。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
亡くなった祖母の家に母親と片付けに行く予定でしたが、風邪を引き自宅待機となっている美乃利さん。
忙しそうな母親からのLINEにねぎらいのメッセージを送り、病状回復のためゆっくり眠ることにしました。
翌日のお昼。
熱が少し下がり、食欲も戻ってきた美乃利さん。
母親が作り置きしておいてくれたおかゆを温めなおし、ゆっくり昼食をとっていました。
その時、テーブルの上に置いておいてスマートフォンからメッセージ着信音が。
(お母さんからかな?)
美乃利さんは持っていたスプーンを置き、スマートフォンの画面を確認しました。
内容は、祖母の家にて遺産相続に必要な書類などの貴重品があらかた見つかってきたとのこと。
遺産を美乃利さんのために貯金すると言う母親に遠慮する美乃利さんでしたが、あっさり断られてしまいました。
(そんな無理しなくてもいいのに)
1年ほど前、母親が「父親が亡くなってから生活費が少し苦しい」と苦笑していたことを、美乃利さんは覚えていました。
そして、その時自分が大学を卒業したら、たくさん稼いで恩返しすると決意したことも。
そんな生活状況下でも自分のことを想ってくれていることに感謝し、すぐに「ありがとう。でも無理はしないでね」と返信しました。
5分ほど経った後、母親からメッセージが返ってきます。
“美乃利のためなら平気”
それを見て、母親の優しさに改めて感謝する美乃利さん。
…しかし、1つだけ気になることが。
(…まだ小さい“っ”が打ててない)
昨日と同じく、促音の“っ”が記入できていない母親のメッセージ。
昨日は疲れていて気づいていないだけかと思いましたが、2日続けてミスしているとさすがに気になってしまいます。
しかし、わざわざ指摘するのも揚げ足取りのような気がしてしまう美乃利さん。
文章の意味は伝わっているし、特に問題はないため引き続き気にしないことにしました。
(まあ、お母さんも疲れてるんだろうな。一日中掃除してるようなもんだし)
心の中でつぶやき、再びスプーンを手にしておかゆを食べ始める美乃利さん。
程よく塩気がききつつも水分多めで食べやすく作られており、あっという間に完食しました。
(…ホント、お母さんには感謝だね)
食べ終わった後の食器を洗いながら、食べやすく調理してくれたことに感謝する美乃利さん。
洗い終わった後、お腹がふくれた影響かジワジワと睡魔が襲ってきました。
「ふわぁ~…」
大きなあくびをし、重くなったまぶたを目でこする美乃利さん。
(もう一回寝よう…あ、その前に歯磨きが先か…)
ギリギリで理性が働き、ゆらゆらとした足取りで美乃利さんは洗面所へ消えていきました。
机の上に置かれたままのスマートフォンには、先ほどまで母親と会話をしていたLINE画面が表示されています。
“本当、こんなのに配慮する必要ないから”
母親のアカウントからそうメッセージが届きましたが、美乃利さんが気づくことはありませんでした。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
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「母と祖母」その2
亡くなった祖母の家に母親と片付けに行く予定でしたが、風邪を引き自宅待機となっている美乃利さん。
忙しそうな母親からのLINEにねぎらいのメッセージを送り、病状回復のためゆっくり眠ることにしました。
翌日のお昼。
熱が少し下がり、食欲も戻ってきた美乃利さん。
母親が作り置きしておいてくれたおかゆを温めなおし、ゆっくり昼食をとっていました。
その時、テーブルの上に置いておいてスマートフォンからメッセージ着信音が。
(お母さんからかな?)
美乃利さんは持っていたスプーンを置き、スマートフォンの画面を確認しました。
内容は、祖母の家にて遺産相続に必要な書類などの貴重品があらかた見つかってきたとのこと。
遺産を美乃利さんのために貯金すると言う母親に遠慮する美乃利さんでしたが、あっさり断られてしまいました。
(そんな無理しなくてもいいのに)
1年ほど前、母親が「父親が亡くなってから生活費が少し苦しい」と苦笑していたことを、美乃利さんは覚えていました。
そして、その時自分が大学を卒業したら、たくさん稼いで恩返しすると決意したことも。
そんな生活状況下でも自分のことを想ってくれていることに感謝し、すぐに「ありがとう。でも無理はしないでね」と返信しました。
5分ほど経った後、母親からメッセージが返ってきます。
“美乃利のためなら平気”
それを見て、母親の優しさに改めて感謝する美乃利さん。
…しかし、1つだけ気になることが。
(…まだ小さい“っ”が打ててない)
昨日と同じく、促音の“っ”が記入できていない母親のメッセージ。
昨日は疲れていて気づいていないだけかと思いましたが、2日続けてミスしているとさすがに気になってしまいます。
しかし、わざわざ指摘するのも揚げ足取りのような気がしてしまう美乃利さん。
文章の意味は伝わっているし、特に問題はないため引き続き気にしないことにしました。
(まあ、お母さんも疲れてるんだろうな。一日中掃除してるようなもんだし)
心の中でつぶやき、再びスプーンを手にしておかゆを食べ始める美乃利さん。
程よく塩気がききつつも水分多めで食べやすく作られており、あっという間に完食しました。
(…ホント、お母さんには感謝だね)
食べ終わった後の食器を洗いながら、食べやすく調理してくれたことに感謝する美乃利さん。
洗い終わった後、お腹がふくれた影響かジワジワと睡魔が襲ってきました。
「ふわぁ~…」
大きなあくびをし、重くなったまぶたを目でこする美乃利さん。
(もう一回寝よう…あ、その前に歯磨きが先か…)
ギリギリで理性が働き、ゆらゆらとした足取りで美乃利さんは洗面所へ消えていきました。
机の上に置かれたままのスマートフォンには、先ほどまで母親と会話をしていたLINE画面が表示されています。
“本当、こんなのに配慮する必要ないから”
母親のアカウントからそうメッセージが届きましたが、美乃利さんが気づくことはありませんでした。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。