振り返るな!暗闇の中を疾走 【LINE怖い話 #94/深夜の道しるべ 3】
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE…。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
迷い込んだ廃村にて、幽霊と遭遇してしまった凛さん。
謎のLINEアカウントの指示で身を隠し、見つからずにやり過ごすことができましたが、身の危険を感じた凛さんは早く廃村から脱出するために足を速めます、
謎のアカウントの指示通りに道を歩き、少しずつ廃村を進んでいく凛さん。
道中、前回と同じように謎のアカウントから幽霊接近の報告も受け、その度に身を隠しながら先に進みます。
そうしているうちに、次第に家屋が少なくなり完全な山道となってきました。
周囲は木々に覆われ、当然スマートフォン以外の明かりはなし。目印となるのは奥へと進む舗装されていない土の道だけでした。
(ここを進むのか…?)
暗闇に続く道を見て思わず尻込みをする凛さん。そのとき、スマートフォンにメッセージ着信が。例のアカウントからの指示のようです。
謎のアカウントは、とにかく道を直進するよう念押ししてきました。
(お、おう…)
執拗な念押しに戸惑う凛さんでしたが、この廃村では何が起きてもおかしくないため、ここは謎のアカウントの言う通りにすることにしました。
(…よし!)
1度大きく深呼吸をした後、凛さんはスマートフォンを正面に掲げて速足で進み始めました。
道自体は舗装されていないものの、謎のアカウントの言う通りずっと直進の道が続いています。
「…」
指示通り、わき目もふらず速足で直進する凛さん。
その途中、右に進めるような脇道が現れましたが、凛さんは指示通り無視して直進し続けます。
「…!」
さらに進むと、正面から少し強い風が吹いてきました。そしてそのそばには風よけになりそうな大きな岩が。
しかし凛さんは、それも無視して風を正面から受けながら直進し続けます。
どこまでもどこまでも続くまっすぐな道。
一体どこまで進めばいいんだろう、そんなことを思い始めたとき、不意に後ろから声がしました。
「あれ、凛じゃん。こんなところでどうしたの?」
その声は、凛さんが通う大学の友達の声によく似ていました。
「!」
凛さんは思わず足を止めて振り返ろうとしましたが、その寸前で思いとどまりました。
冷静に考えれば、こんな廃村に友人がいるわけがありません。
さらに明かりは前に掲げているスマートフォンの光しかないため、暗闇の中で後ろから自分のことを凛さんであると判断できるはずもありません。
「っ…!」
凛さんは投げかけられた言葉を無視し、そのまま全力で駆け出しました。後ろの声の主から逃げるように全力で。
「はあっ…!はあっ…!」
声は聞こえなくなりましたが、その後も左右から犬の鳴き声がけたたましく聞こえてきたり、道の真ん中に虫が大量に密集していたりと様々なことが起こりましたが、凛さんはすべて無視して走り続けました。
そして、しばらくすると木々が少なくなってきて、再び荒廃した家屋が並ぶ廃村の風景に戻りました。
そのタイミングで、スマートフォンにメッセージ着信が。相手は例の謎のアカウントです。
“お疲れ様、もう大丈夫だよ。それじゃあまた誘導を再開するね”
もう振り返ったりしても大丈夫との連絡を受けましたが、凛さんは振り返るつもりは毛頭ありませんでした。
そして、振り返ってはいけない理由も、怖くて聞く気にはなれませんでした。
“了解”
息を整えながら短くそう返信すると、再び指示の通りにゆっくり歩き出す凛さん。
その後ろ、先ほどまで走り抜けた道が草木で覆われて塞がっていることに、凛さんは気づかないままでした…。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「深夜の道しるべ」その3
迷い込んだ廃村にて、幽霊と遭遇してしまった凛さん。
謎のLINEアカウントの指示で身を隠し、見つからずにやり過ごすことができましたが、身の危険を感じた凛さんは早く廃村から脱出するために足を速めます、
謎のアカウントの指示通りに道を歩き、少しずつ廃村を進んでいく凛さん。
道中、前回と同じように謎のアカウントから幽霊接近の報告も受け、その度に身を隠しながら先に進みます。
そうしているうちに、次第に家屋が少なくなり完全な山道となってきました。
周囲は木々に覆われ、当然スマートフォン以外の明かりはなし。目印となるのは奥へと進む舗装されていない土の道だけでした。
(ここを進むのか…?)
暗闇に続く道を見て思わず尻込みをする凛さん。そのとき、スマートフォンにメッセージ着信が。例のアカウントからの指示のようです。
謎のアカウントは、とにかく道を直進するよう念押ししてきました。
(お、おう…)
執拗な念押しに戸惑う凛さんでしたが、この廃村では何が起きてもおかしくないため、ここは謎のアカウントの言う通りにすることにしました。
(…よし!)
1度大きく深呼吸をした後、凛さんはスマートフォンを正面に掲げて速足で進み始めました。
道自体は舗装されていないものの、謎のアカウントの言う通りずっと直進の道が続いています。
「…」
指示通り、わき目もふらず速足で直進する凛さん。
その途中、右に進めるような脇道が現れましたが、凛さんは指示通り無視して直進し続けます。
「…!」
さらに進むと、正面から少し強い風が吹いてきました。そしてそのそばには風よけになりそうな大きな岩が。
しかし凛さんは、それも無視して風を正面から受けながら直進し続けます。
どこまでもどこまでも続くまっすぐな道。
一体どこまで進めばいいんだろう、そんなことを思い始めたとき、不意に後ろから声がしました。
「あれ、凛じゃん。こんなところでどうしたの?」
その声は、凛さんが通う大学の友達の声によく似ていました。
「!」
凛さんは思わず足を止めて振り返ろうとしましたが、その寸前で思いとどまりました。
冷静に考えれば、こんな廃村に友人がいるわけがありません。
さらに明かりは前に掲げているスマートフォンの光しかないため、暗闇の中で後ろから自分のことを凛さんであると判断できるはずもありません。
「っ…!」
凛さんは投げかけられた言葉を無視し、そのまま全力で駆け出しました。後ろの声の主から逃げるように全力で。
「はあっ…!はあっ…!」
声は聞こえなくなりましたが、その後も左右から犬の鳴き声がけたたましく聞こえてきたり、道の真ん中に虫が大量に密集していたりと様々なことが起こりましたが、凛さんはすべて無視して走り続けました。
そして、しばらくすると木々が少なくなってきて、再び荒廃した家屋が並ぶ廃村の風景に戻りました。
そのタイミングで、スマートフォンにメッセージ着信が。相手は例の謎のアカウントです。
“お疲れ様、もう大丈夫だよ。それじゃあまた誘導を再開するね”
もう振り返ったりしても大丈夫との連絡を受けましたが、凛さんは振り返るつもりは毛頭ありませんでした。
そして、振り返ってはいけない理由も、怖くて聞く気にはなれませんでした。
“了解”
息を整えながら短くそう返信すると、再び指示の通りにゆっくり歩き出す凛さん。
その後ろ、先ほどまで走り抜けた道が草木で覆われて塞がっていることに、凛さんは気づかないままでした…。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。