ウソ……!?照らし出したのは存在しない道 【LINE怖い話 #104/肝試し準備 6】
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LINE怖い話
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE……。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
肝試しのルート確認のため、先生の指示のもと山道を進んでいく茜さん。
分かれ道を指示通り進み、懐中電灯とスマートフォンで暗闇を照らしながら奥へ進んでいきます。
指示もあり明かりもある、そんな状況なので恐怖感を感じていなかった茜さんでしたが、次第に異変に気付きます
(……やばい、疲れてきた)
道が舗装されていないためデコボコで歩きにくいうえに、曲がりくねった箇所も多く、疲れを感じてきた茜さん。
さすがに肝試しのルートとしてはキツイのでは?
そう思って先生に相談しようと思いスマートフォンを見た時、茜さんは驚きました。
「夜の7時……!?」
ロック画面に表示されていたのは、午後7時を示す時計の数字。
スタート地点を6時過ぎに出発し、T字路に差し掛かったのが6時10分ごろ。つまり分かれ道を過ぎてから50分も歩き続けていることになります。
疲れて当然であると一瞬思いましたが、それ以上に不自然に歩きすぎであると感じた茜さん。
“道を間違えて迷子になっている”
その可能性が頭をよぎった茜さんは、途端に恐怖を感じ始めました。
「か、確認しなきゃ……!」
すぐにLINE画面を開き、先生に確認の連絡を入れます。
すぐに返信が返って来て、少し安心する茜さん。
足元を照らすと道がまっすぐ前に続いており、指示通り来ていることがわかります。
「大丈夫、あってる、後はそのまま直進、ね」
スマートフォンを見ながら不安をぬぐうように復唱し、茜さんは再び歩き始めました。
しかし、復唱をしたことで違和感に気付きました。
「……あれ?私の居場所わかってる?」
茜さんは先程のLINEで、自分が道なりに1時間ほど歩いている旨しか報告していません。
しかし、香苗先生はハッキリと「あっている」と答え、さらに茜さんがこれから進む道の形まで把握していました。
先程まで道は曲がりくねり、直進の道は少なかったほどであったはずなのに。
茜さんはスマートフォンを見ていた顔を上げ、周囲を照らしてよく調べました。
もしかしたら、先生は近くで私の様子を見ている?そう思って懐中電灯で周囲を照らします。
しかし、懐中電灯が照らし出したのは、信じられないものでした。
「……え?」
茜さんがこれから直進する予定の山道。
その道が、あと10歩ほどのところで途切れており、その先は崖になっていました。
崖の先は海が広がっており、夜闇と同じく不気味に黒く染まっています。
もしも異変に気付かずスマートフォンを見たまま歩いていたら、間違いなく転落していたでしょう。
「は……え、は……!?」
その事実に気づいた時、茜さんはパニックになりました。
「先生が私を殺そうとした……?でも何で……!?」
訳がわからず自問自答していると、急に海のほうから強い風が吹いてきました。
「うわっぷ!?」
突然の強風に驚く茜さん。
草木が大きくザワザワと音を立て、山はしばらくうるさいくらいの音に包まれました。
そして風が止んだ時、周囲は虫の鳴き声も聞こえない静寂が支配しました。
「あ……ああ……!」
声にならない言葉を出しながら、茜さんは踵を返して走り出しました。
よくわからないけど、とにかくここにいてはいけない、早く帰らないと!
そう思った茜さんは必死に来た道を戻ります。
暗闇の中で悪路を全力疾走するのはかなり危険な行為ですが、それでも早くこの山から出たい一心で走ります。
わずかに残った理性で足元を照らし、茜さんは泣きながら走りました……。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
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「肝試し準備」その6
肝試しのルート確認のため、先生の指示のもと山道を進んでいく茜さん。
分かれ道を指示通り進み、懐中電灯とスマートフォンで暗闇を照らしながら奥へ進んでいきます。
指示もあり明かりもある、そんな状況なので恐怖感を感じていなかった茜さんでしたが、次第に異変に気付きます
(……やばい、疲れてきた)
道が舗装されていないためデコボコで歩きにくいうえに、曲がりくねった箇所も多く、疲れを感じてきた茜さん。
さすがに肝試しのルートとしてはキツイのでは?
そう思って先生に相談しようと思いスマートフォンを見た時、茜さんは驚きました。
「夜の7時……!?」
ロック画面に表示されていたのは、午後7時を示す時計の数字。
スタート地点を6時過ぎに出発し、T字路に差し掛かったのが6時10分ごろ。つまり分かれ道を過ぎてから50分も歩き続けていることになります。
疲れて当然であると一瞬思いましたが、それ以上に不自然に歩きすぎであると感じた茜さん。
“道を間違えて迷子になっている”
その可能性が頭をよぎった茜さんは、途端に恐怖を感じ始めました。
「か、確認しなきゃ……!」
すぐにLINE画面を開き、先生に確認の連絡を入れます。
すぐに返信が返って来て、少し安心する茜さん。
足元を照らすと道がまっすぐ前に続いており、指示通り来ていることがわかります。
「大丈夫、あってる、後はそのまま直進、ね」
スマートフォンを見ながら不安をぬぐうように復唱し、茜さんは再び歩き始めました。
しかし、復唱をしたことで違和感に気付きました。
「……あれ?私の居場所わかってる?」
茜さんは先程のLINEで、自分が道なりに1時間ほど歩いている旨しか報告していません。
しかし、香苗先生はハッキリと「あっている」と答え、さらに茜さんがこれから進む道の形まで把握していました。
先程まで道は曲がりくねり、直進の道は少なかったほどであったはずなのに。
茜さんはスマートフォンを見ていた顔を上げ、周囲を照らしてよく調べました。
もしかしたら、先生は近くで私の様子を見ている?そう思って懐中電灯で周囲を照らします。
しかし、懐中電灯が照らし出したのは、信じられないものでした。
「……え?」
茜さんがこれから直進する予定の山道。
その道が、あと10歩ほどのところで途切れており、その先は崖になっていました。
崖の先は海が広がっており、夜闇と同じく不気味に黒く染まっています。
もしも異変に気付かずスマートフォンを見たまま歩いていたら、間違いなく転落していたでしょう。
「は……え、は……!?」
その事実に気づいた時、茜さんはパニックになりました。
「先生が私を殺そうとした……?でも何で……!?」
訳がわからず自問自答していると、急に海のほうから強い風が吹いてきました。
「うわっぷ!?」
突然の強風に驚く茜さん。
草木が大きくザワザワと音を立て、山はしばらくうるさいくらいの音に包まれました。
そして風が止んだ時、周囲は虫の鳴き声も聞こえない静寂が支配しました。
「あ……ああ……!」
声にならない言葉を出しながら、茜さんは踵を返して走り出しました。
よくわからないけど、とにかくここにいてはいけない、早く帰らないと!
そう思った茜さんは必死に来た道を戻ります。
暗闇の中で悪路を全力疾走するのはかなり危険な行為ですが、それでも早くこの山から出たい一心で走ります。
わずかに残った理性で足元を照らし、茜さんは泣きながら走りました……。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。