いや無理でしょ。願いを叶えるという相手に無理難題 【LINE怖い話 #106/ストッパー 1】

友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE…。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?

それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。


「ストッパー」その1



とある日の夜。

アパートで一心不乱に机に向かい勉強をする女性の姿が。

彼女は有馬園子さん。都内の大学に通う3年生です。

「ああもうっ、テスト範囲広すぎるんだよぉー!」

しばらくは黙々と勉強をしていた園子さんでしたが、ふと手を止めて伸びをしながら愚痴をこぼします。

明日は単位がかかっている定期試験の初日。万全の状態で挑みたいところですが、出題範囲が広く苦戦しているようです。

「はぁ、でもやるしかないんだよねぇ…」

自分で自分を奮い立たせ、勉強を再開しようとする園子さん。

その時、机の隅に置いておいたスマートフォンからメッセージ着信音が。

何かと思って見てみると、LINEにメッセージが送られていました。



“ストッパー”と名乗る謎のアカウントから、唐突に君の願いを叶えるというメッセージ。

明らかに怪しく、最初は無視しようかと思った園子さんですが、自分の個人情報を把握している相手を無視するのも怖いと感じ、返信することにしました。

しかし、何でも願いを叶えるという内容はさすがに信じられなかったので、園子さんは無理難題を送り付けることにしました。

「じゃあ時間を止めて見せてよ。それができたら少しは信じてあげる」


さすがに時間を止めるのは不可能で、それこそ漫画やゲームの中でしかありえないと思った園子さん。しかし、

“君の想いは承知した。限定的になるが、明日行おう”

ストッパーの反応は淡々としていました。限定的な範囲で、明日時間を止めると送ってきます。

「いや、無理でしょ」

思わず呆れてしまった園子さん。どうせ無理だろうから今後は無視し、場合によっては試験後に個人情報の流出で警察に届け出ようと決め、勉強を再開することにしました。

明日は定期試験。果たして謎のアカウント“ストッパー”は、本当に時間を止めることができるのでしょうか…?



連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(洞 怜子)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

この記事を書いたライター

洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。

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