まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】

連載
金融まなぶ
金融まなぶ
2022年4月から、高校の家庭科の授業でお金について学ぶことになりました。家計管理やお金の使い方、貯め方、増やし方、借り方、金融トラブルなどについて、金融まなぶくんと一緒に勉強していきましょう!
こんにちは!みんなと金融について学んでいる、金融まなぶです。

前回は今すぐ投資を始めるのがおすすめな理由について学びました。今回は金融商品は少しずつ購入するのがいいのか、まとめて購入するのがいいのかについて学んでいきましょう!
まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】の1枚目の画像


まとめて買う?少しずつ買う?


投資をはじめるとして、金融商品は最初にまとめて一気に購入したほうがいいのでしょうか。それとも、毎月少しずつ購入したほうがいいのでしょうか?

これも、考え方によります。「この株の株価はこれからぐんと上がるだろう」などと予測できる場合は、最初にまとめて購入したほうがいいでしょう。
まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】の4枚目の画像

しかし、なかなか予測が立てられないのが現実。投資に不慣れな方には、毎月少しずつ購入して積み立てていく方法をおすすめします。

ドル・コスト平均法


金融商品の中でも特に投資信託の購入方法として、毎月同じ金額を投資していく「ドル・コスト平均法」というものがあります。

投資信託の価格は日々変動しており、将来どう動くか正確に予測できる人はいません。

「価格が安いときに買って、高いときに売ろう」と頭では思っていても、蓋を開けてみると「価格が安いときに買いそびれてしまい、高いときに買ってしまう」ということも多いでしょう。

ドル・コスト平均法では、投資信託の価格が高かろうが低かろうが、毎月同じ金額だけ購入します。

そのため、価格が高い月は少しだけしか購入しないことになり、価格が安い月はたくさん購入することになります。

安いときにたくさん購入できるので、リスクを抑えて運用できるんですね。今回は例を表にまとめてみました。

まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】の2枚目の画像


上の表は、とある投資信託に4万円を投資する際に「【1】最初の月にまとめて4万円分購入」する場合と、「【2】4カ月に分けて毎月1万円分購入」する場合を比べたものです。

投資信託の1万口あたりの金額は、1カ月目は10,000円、2カ月目は20,000円、3カ月目は5,000円、4カ月目は10,000円と、かなり変動しています。

「【1】最初の月にまとめて4万円分購入」する場合は、1カ月目に4万円で4万口の投資信託を購入して、それで終了です。

次に、「【2】4カ月に分けて毎月1万円分購入」する場合を見てみましょう。1カ月目は投資信託の価格が10,000円ですから、1万円で1万口の投資信託を購入できます。

2カ月目は投資信託の価格が20,000円に跳ね上がりますから、1万円で5千口しか購入することができません。

逆に、3カ月目は投資信託の価格が5,000円と値下がりしたので、1万円で2万口も購入することができます。

このように購入していった結果、4万円で合わせて4万5千口の投資信託を購入することができました。

「【1】最初の月にまとめて4万円分購入」する場合では4万円で4万口の投資信託を購入し、「【2】4カ月に分けて毎月1万円分購入」する場合では4万円で4万5千口の投資信託を購入しました。

同じだけのお金を投資したにもかかわらず、【1】よりも【2】のほうがたくさんの投資信託を購入できたことになります。つまり、【2】のほうが安い時にたくさん買えたということになりますね。

これが、ドル・コスト平均法、言い換えると、先ほどお話した「時間の分散投資」の効果なのです。

毎月少しずつ購入していくことのメリット


毎月決まった金額の投資信託を購入するドル・コスト平均法では、価格が安いときにたくさん買えるという効果がありました。毎月少しずつ購入していくことのメリットは、他にもあります。

1つ目のメリットは、日々値動きを気にする必要がないこと。「価格が安いときに買って、高いときに売らなきゃ」と考えていると、毎日投資信託の価格の動きに注目していなければなりません。

まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】の4枚目の画像

売り時や買い時を見逃さないか、日々そわそわしながら過ごさねばならないので、大変ですよね。

ドル・コスト平均法なら、投資信託の価格が上がろうが下がろうが、毎月同じ金額分を購入するだけ。毎日の細かい値動きを気にせず、どっしり構えていられます。

メリットの2つ目は、少ない資金からはじめられることです。投資のためにまとまったお金を用意するのは、特に働き始めて間もない若い方にとっては難しいですよね。

毎月少しずつ購入していく方法であれば、毎月の給料を少しずつ投資に当てればいいので、無理なくはじめられるのではないでしょうか。

投資したお金は何に使われるの?


投資によって生活が便利で豊かに


わたしたちが預金したお金は、銀行を通じて企業などに貸し出されます。

また、証券会社を通じて株式や債券を購入すると、そのお金も企業に入ります。

一方、国債を購入したお金は、政府に貸し出されます。このように、わたしたちが預金・株式・債券などの金融商品を購入することで企業や政府に貸し出したお金は、新しい事業を行うための資金や開発研究・設備投資など、さまざまなことに使われます。

世の中によりよいサービスを届けたいと考えている企業に投資することで、わたしたちの暮らしはより豊かで便利なものになります。

まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】の5枚目の画像


つまり、金融商品を購入することによって、利息や配当金、株主優待といった直接的な利益だけでなく、生活が便利になるという間接的な利益も受けられるのですね。

投資は、それぞれの企業がどんな事業活動をしていて、世の中にどんなメリットをもたらしてくれるのかを学ぶきっかけにもなります。

株式や債券によって集めた資金で、持続可能な世界を実現するために定められた目標「SDGs」に取り組んでいる企業も多数あります。投資を通じて、社会に目を向けてみるのもいいですね。

ESG投資


これまでの投資家は、キャッシュフローや貸借対照表などの財務情報の数字を分析して、それをもとに投資先の企業を決めることがほとんどでした。

しかし、数字が評価されるということで、短絡的に数字だけを追い求めて事業活動をおこなった結果、地球環境や人々の健康に被害を与えたり、貧困や差別といった問題を引き起こしてしまう企業が出てきてしまいました。

まとめて?少しずつ?金融商品のおすすめの購入方法【金融学まなぶ Vol.8】の3枚目の画像


そこで、最近は財務情報の数字に加えて、ESGと呼ばれる観点も、投資先を決める判断材料として重視されるようになりました。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)のことです。具体的に言うと、環境(Environment)とは、環境に優しい取り組みをしているのかということや、気候変動への対策を取っているのかということ。

社会(Social)とは、働き方改革や女性活躍、多様性を推進しているかということ。そして、企業統治(Governance)とは、積極的に情報を開示しているか、公正で透明な経営をしているかということです。

ESGに積極的に取り組んでいる会社は、目先の利益だけでなく、長く安定して経営することを目指しています。ESGに注目して投資先の会社を決めることで、リスクが少なく、長きに渡って運用できる商品を選ぶことができるでしょう。

また、ESGに取り組んでいる会社に投資するということは、間接的な社会貢献にも繋がります。世界的にESGへの取り組みが広まっているため、これからもESG市場は大きくなっていくと考えられるでしょう。

(金融まなぶ)

この記事を書いたライター

金融まなぶ
2022年4月から、高校の家庭科の授業でお金について学ぶことになりました。家計管理やお金の使い方、貯め方、増やし方、借り方、金融トラブルなどについて、金融まなぶくんと一緒に勉強していきましょう!

関連記事