誰か止めて!唐突に狙われた友人 【LINE怖い話 #111/ストッパー 6】
友達からの奇妙なLINE、知らない人からの不思議なLINE…。普段何気なく使っているメッセージアプリに、違和感を覚えたことはありませんか?
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
ストッパーに依頼する過程で、多くの人に迷惑をかけたことに気付いた園子さん。
もう2度と周囲に迷惑をかけたくないとストッパーに報告し、最後の願いの際は気を付けるようお願いしました。
そんな決心をしてから3日後。
大学の定期試験も終わり、休日を迎えました。
「いやぁ~、やっと終わったねぇ。これで心置きなく遊べるよ」
「ホント、勉強付けはさすがにこたえるよね。今日は目一杯楽しもうよ!」
園子さんは大学の友人であるすみれさんと一緒に出掛ける約束をしていました。
お互いの家が近いためすみれさんの家の前で待ち合わせし、2人そろって駅を目指して歩きます。
「今日はどこ行こっか?」
「前ネットで見たけど、美味しいって評判のマカロンのお店があるらしいからそこ行ってみない?」
「おお、行く行く!」
即興の予定を立て、笑いながら駅へ向かう園子さんとすみれさん。
今日は楽しい休日になる…そう思っていました。しかし、
「きゃあああああ!?」
唐突に上がるすみれさんの悲鳴。猛スピードでそばを通り過ぎたバイク乗りに、持っていたバッグを引ったくられてしまいました。
「すみれ!?」
引ったくられた衝撃で転んでしまったすみれさんのもとに駆け寄る園子さん。その間にもバイクに乗った犯人はどんどん遠ざかっていきます。
「クソッ!よくもっ!」
せめてナンバープレートを暗記しておこうとバイクをにらみつける園子さん。そのとき、別のバイクのエンジン音が聞こえてきました。
「悲鳴が聞こえましたが、どうかされましたか!?」
園子さんが声のした方向に振り向くと、そこには白いバイクに乗った警察官が。
ナイスタイミングだと園子さんは心の中でガッツポーズし、遠ざかっていく犯人のバイクを指さして叫びました。
「引ったくりです!」
「了解!君たちは交番へ!」
警察官は短くそれだけ言うと、猛スピードで犯人を追いかけあっと言う間に見えなくなりました。
「すみれ、怪我はない?」
「うん…でも、私のバッグ…財布もスマホもあの中なのに…!」
「…警察が捕まえて、ちゃんと取り返してくれるって信じよう」
「うん…」
すみれさんは首を縦に振りましたが、顔は今にも泣きそうな表情をしていました。犯罪に巻き込まれたのですから、不安でしかたがないのは当然です。
そんなすみれさんを見て、後は交番で待つことしかできない自分に嫌気がさす園子さん。
何か力になれないか、そう考えた時、ストッパーのことを思い出しました。
(あいつなら、犯人を止められるかも…!)
願いを叶えてくれる回数は残り1回。これが最後となります。
しかし、すみれさんのためなら構わないと決意し、園子さんはLINE画面を開きました。
ワラにもすがる想いで頼み込むと、この状況下でストッパーはすぐに終わらせると返信。
頼もしい言葉に少し安心した園子さんは、気を取り直してすみれさんの手を取りました。
「さあ、駅前の交番に行こう!事情を説明して被害届を出さなくちゃ!」
「…うん」
意気消沈してたすみれさんを励まし、2人は駅前の交番へ歩き始めました。
数十分後。
交番の警察官に事情を説明し、被害届を作成しつつ交番内で待機していた園子さんとすみれさん。
しかしその途中、犯人を追いかけてくれた白バイの警察官がやってきました。手にはすみれさんのバッグを持っています。
「盗まれたのはこちらで間違いないですか?」
「あっ!私のバッグ!」
すみれさんは警察官に駆け寄ると、バッグを受け取って中身を確認します。
幸い、中から何かを抜き取られた様子はなく、財布もスマートフォンも無事でした。
「よ、よかったぁ…!」
安心して緊張の糸が切れたのか、バッグを抱きしめ座り込み泣き出してしまうすみれさん。
園子さんはそんなすみれさんの代わりに、警察官から詳しい話を聞くことにしました。
「あの後、犯人のバイクが整備不良か何かでいきなりスピードが落ちましてね。最終的にはバイクを捨てて逃げようとしましたが、しっかり逮捕いたしました」
犯人は現在、留置所に向かって身柄を移されているとのことです。
それを聞いて園子さんも一安心。今日一日は被害者として詳しい話を聞くために拘束されるとのことですが、無事に事件が解決すれば別によしと思うのでした。
(うさん臭いやつだけど、一応今回はお礼を言っておくか…)
全部終わったらストッパーにお礼を言おう。園子さんはそう思い、すみれさんと一緒に警察の事情徴収に応じるのでした。
連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。
(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
それはもしかすると、人ならざるものが関係しているかもしれません。
連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。
「ストッパー」その6
ストッパーに依頼する過程で、多くの人に迷惑をかけたことに気付いた園子さん。
もう2度と周囲に迷惑をかけたくないとストッパーに報告し、最後の願いの際は気を付けるようお願いしました。
そんな決心をしてから3日後。
大学の定期試験も終わり、休日を迎えました。
「いやぁ~、やっと終わったねぇ。これで心置きなく遊べるよ」
「ホント、勉強付けはさすがにこたえるよね。今日は目一杯楽しもうよ!」
園子さんは大学の友人であるすみれさんと一緒に出掛ける約束をしていました。
お互いの家が近いためすみれさんの家の前で待ち合わせし、2人そろって駅を目指して歩きます。
「今日はどこ行こっか?」
「前ネットで見たけど、美味しいって評判のマカロンのお店があるらしいからそこ行ってみない?」
「おお、行く行く!」
即興の予定を立て、笑いながら駅へ向かう園子さんとすみれさん。
今日は楽しい休日になる…そう思っていました。しかし、
「きゃあああああ!?」
唐突に上がるすみれさんの悲鳴。猛スピードでそばを通り過ぎたバイク乗りに、持っていたバッグを引ったくられてしまいました。
「すみれ!?」
引ったくられた衝撃で転んでしまったすみれさんのもとに駆け寄る園子さん。その間にもバイクに乗った犯人はどんどん遠ざかっていきます。
「クソッ!よくもっ!」
せめてナンバープレートを暗記しておこうとバイクをにらみつける園子さん。そのとき、別のバイクのエンジン音が聞こえてきました。
「悲鳴が聞こえましたが、どうかされましたか!?」
園子さんが声のした方向に振り向くと、そこには白いバイクに乗った警察官が。
ナイスタイミングだと園子さんは心の中でガッツポーズし、遠ざかっていく犯人のバイクを指さして叫びました。
「引ったくりです!」
「了解!君たちは交番へ!」
警察官は短くそれだけ言うと、猛スピードで犯人を追いかけあっと言う間に見えなくなりました。
「すみれ、怪我はない?」
「うん…でも、私のバッグ…財布もスマホもあの中なのに…!」
「…警察が捕まえて、ちゃんと取り返してくれるって信じよう」
「うん…」
すみれさんは首を縦に振りましたが、顔は今にも泣きそうな表情をしていました。犯罪に巻き込まれたのですから、不安でしかたがないのは当然です。
そんなすみれさんを見て、後は交番で待つことしかできない自分に嫌気がさす園子さん。
何か力になれないか、そう考えた時、ストッパーのことを思い出しました。
(あいつなら、犯人を止められるかも…!)
願いを叶えてくれる回数は残り1回。これが最後となります。
しかし、すみれさんのためなら構わないと決意し、園子さんはLINE画面を開きました。
ワラにもすがる想いで頼み込むと、この状況下でストッパーはすぐに終わらせると返信。
頼もしい言葉に少し安心した園子さんは、気を取り直してすみれさんの手を取りました。
「さあ、駅前の交番に行こう!事情を説明して被害届を出さなくちゃ!」
「…うん」
意気消沈してたすみれさんを励まし、2人は駅前の交番へ歩き始めました。
数十分後。
交番の警察官に事情を説明し、被害届を作成しつつ交番内で待機していた園子さんとすみれさん。
しかしその途中、犯人を追いかけてくれた白バイの警察官がやってきました。手にはすみれさんのバッグを持っています。
「盗まれたのはこちらで間違いないですか?」
「あっ!私のバッグ!」
すみれさんは警察官に駆け寄ると、バッグを受け取って中身を確認します。
幸い、中から何かを抜き取られた様子はなく、財布もスマートフォンも無事でした。
「よ、よかったぁ…!」
安心して緊張の糸が切れたのか、バッグを抱きしめ座り込み泣き出してしまうすみれさん。
園子さんはそんなすみれさんの代わりに、警察官から詳しい話を聞くことにしました。
「あの後、犯人のバイクが整備不良か何かでいきなりスピードが落ちましてね。最終的にはバイクを捨てて逃げようとしましたが、しっかり逮捕いたしました」
犯人は現在、留置所に向かって身柄を移されているとのことです。
それを聞いて園子さんも一安心。今日一日は被害者として詳しい話を聞くために拘束されるとのことですが、無事に事件が解決すれば別によしと思うのでした。
(うさん臭いやつだけど、一応今回はお礼を言っておくか…)
全部終わったらストッパーにお礼を言おう。園子さんはそう思い、すみれさんと一緒に警察の事情徴収に応じるのでした。
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(洞 怜子)
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません
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この記事を書いたライター
洞 怜子
怖い話を集めたり想像したり執筆したりするのが好きなホラー作家。