【獅子座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<5/31〜6/13> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー

12星座全体の運勢
「‟想定外”への一歩を踏み出す」
二十四節気で「穀物の種をまく時」という意味の「芒種」を迎えるのが6月5日。実際には麦の刈り取りの時期であり、どんよりとした天気の下で鮮やかな紫陽花やカラフルな傘たちが街をいろどる季節。そして6月6日に起きる射手座の満月は、いつも以上にエモの膨張に拍車がかかる月食でもあります。そんな今の時期のキーワードは「モヤモヤのあとのひらめき」。それは息苦しい勉強に退屈していた子供が、庭に迷い込んだ野良猫の存在に驚き、その後を追い路地を抜けた先で、今まで見たことのなかった光景を目にした時のよう。これから満月前後にかけては、現在の行き詰まりを打開するような‟想定外”体験に、存分に驚き開かれていきたいところです。
獅子座(しし座)
今週のしし座のキーワードは、「‟ぷすん”と怒れ」。
戦後期を代表する私小説家である上林暁(かんばやしあかつき)の『極楽寺門前』という作品には、「ぷすんと黙ったきりだった」というなんとも不思議な表現が出てきます。

これは「私」が妹と外出し、新宿で冷えたスイカを買ってそれを土産に意気揚々と帰宅し、きちんと冷やして切り、食べるように勧めた際に妻の「珠子は見向きもしなかった」という言葉の後に出てくるもので、そこで「私」は「腹の底には、さっきの不興がいぶりつづけているんだな」とか、「腹を立てていた」「嫉妬の感情が、きざして来た」などと連呼した上で、「折角(せっかく)の西瓜(スイカ)も味がなかった」と結んでいます。

普通は不機嫌であることを表すなら、「ぶすっとした」とか、「むっとして」などと表現するところですが、この「ぷすん」には相手を根底のところで突き放すような冷たい怒りというより、相手への愛嬌やプロレス的な掛け合いの余地が感じられるという意味で、‟取り付く島のある怒り”となっているように感じられます。

相手への無関心を決め込んで連絡先を消したり、ブロックしたり、ただただ切り捨てるのは簡単ですが、相手がやり返すだけの隙を残しながら「怒り」を表明していくのは難しいことですし、誰に対してもできるものではないでしょう。

けれど、やってみるだけの価値はある訳で、何より今のしし座にはそれだけの準備や心積もりがすでに十分あるはず。そしてそうやってコミュニケーションを太く厚くしていくことこそ、今回の月食前後のしし座のテーマなのだと言えるでしょう。

出典:上林暁『極楽寺門前』(筑摩書房)

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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ

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