【男の本音】「好き」とは言わない男性心理。2人の関係がうまくいきそうな時男子は何を考えてるの?
たとえば彼氏ではない男子がLINEで飲みの誘いをしてきたら、それは「ぼくは君のことが好きです。付き合ってください」という意味です。が、その意味を感じとれない女子もいれば、「実は好きじゃないよ」とウソをつく男子もいたりして、結果的に女子が「脈ありサイン」について悩むことになります。
ほんの10年前までは、脈ありサインなんて言葉すらなかったように記憶しています。好きなら飲みに誘って、告白して、うまくいくときもあればいかないときもあれば、というのが普通でした。もちろん、女子から誘うというのもふつうでした。が、今はとてもややこしい時代になってしまいましたね。さて、今回は好きと言わない男性心理におけるいくつかの事柄について一緒に見ていきたいと思います。
好きと言うと波風が立ってしまって、これまでの平穏な空気ではなくなってしまうから、彼は好きと言いません。言い方を換えると「ふたりの関係を変化させるようなことをするのは善くない(良くない)ことだと彼が思っているから」、彼は好きと言いません。
その背景にあるのは、この20年ほどの間に変化した世の中の空気です。つまり、「人間関係に波風を立てること」を良くないことだと判断する人がとても増えたという事実です。人間関係とは穏やかな湖に小石を投げるみたいなことがないと深まらないんです。常にお互いに距離感をはかって、「なにもなかったかのように」ふるまい続けても、人間関係って深まらないですよね?
だから、どこかのタイミングで「好き」と言ってみたり、「嫌い」と言ってみたり、というようなことを昔はしていたのです。好きと言われて付き合ったり、嫌いと言われて「次の一手」を考えたり、ということを通して、仲良くなっていったのです。
今はそういうことができないんですね。一度波風を立ててしまったら、そのことを詫びなくてはならない風潮がありますね。好きと言って「嫌い」と言われてしまったら、未来永劫、その「罪」を背負って生きなくてはならない風潮がありますね。
そういうのを男子は知っているのです。だから「自分の立場をミスミス悪くするようなことはしないに越したことはない」と思って、女子に「好き」と言わなくなったのです。
とは言うものの、それでも「好き」とちゃんと言う男子がいます。ごくわずかですが、ちゃんといます。そういう男子は、後先考えない向こう見ずな性格なのかといえば、決してそうではありません。彼は「実時間」と「どこか別の世界の時間」の両方を知っているのです。
実時間とは時計が示す時間のことです。どこか別の世界の時間とは、物事が成就するタイミングのことです。たとえば、「今なら好きと言える」というタイミングってありますね。これまでずっと好きともなんとも言えなかった相手に、今なら言えるというタイミングが訪れることってありませんか?わかりませんか?あるんですよ。
告白するのがうまい男子は、その「どこか別の世界で生まれたタイミング」を、勘でわかるんです。だから「今ならいける」と思って告白するのです。そこで彼女が答えを保留にしても、「機が熟している」から、彼女は彼に悪い心証を抱きません。彼も時を知っているから、彼女が待ってほしいと言うと待ちます。
この「どこか別の世界で生まれるタイミング」を読む勘を持っている男子も減りました。これは男女問わず減りました、と言ってもいいかもしれませんね。女子の中にも、そういう勘がすぐれている人がいるから。
これまで2つの「好きと言わない理由」をご紹介しました。1つは、人間関係に波風を立てるのは悪だ、という風潮を男子が知っているというもの。もう1つは「別の世界で生まれるタイミング」を勘で気づかないというものでしたね。
これら2つのことからどのようなことが言えるのかといえば、簡単に言うと野性味を持たない男子が増えているということが言えます。
別に間違えたっていいじゃない!波風立てても謝ればいいじゃない!だって、何事もチャレンジしないとどんな結果が出るかわからないんだしさ!何事も失敗しないと前に進まないんだしさ!――こんなことを考える男子が減って、代わりに、箱入り男子とでも言うべき男子が大量に増えたのです。
その結果、告白を待つタイプの恋愛をしたい女子が、ずっとウェイティング状態に置かれて、「脈ありサイン」とか「脈なしサイン」を知りたがるようになったのです。
ここで脈ありサインの話をしておくと、男子が出す脈ありサインって、とても簡単です。
男子からLINEが来たら脈ありです。ふだんはマメにLINEをしないのが男子だから、その男子がLINEを送ってくるというのは脈ありです。食事や飲みに誘うのも脈あり。「どんな男子がタイプ?」と聞いてくるのも脈あり。
ようするに男子は、好きじゃない女子とは会話をしないのです。だから、なにかのアクションがあれば、それはすべて脈ありなのです。
そしてそのアクションには「ぼくは君のことが好きなんだけど、君はぼくのことをどう思っているの?」という気持ちが含まれています。彼女が自分のことをどう思っているのかがわからないから、なにか「ややこしい・あいまいな」アクションを起こして、それに対する彼女の出方を見たいと思っているのです。
また、そのアクションはあいまいであるゆえに、あとからどうとでも言い訳ができます。「いや、ちょっと気まぐれで飲みのLINEを送っただけで、深い意味はないよ」と言える隙間を彼は持っておきたいのです。だから彼のアクションはすべてあいまいで、彼女からすれば「どっちつかずでわからい」し「脈ありか脈なしかはっきりしてほしい」と思うのです。
空気を壊すのが恐いとか、彼女にいったん嫌われてしまったらもう未来永劫嫌われたままだから逃げ場のあるアクションしかしたくないと思っている男子は、きっと一生そうやっいぇ、自分に言い訳をしつつ生きるはずです。そのような彼を見て、それでも彼のことが好きなら、女子のほうから彼を誘って付き合うしかありません。これが今回の答えです。
最後に。男子を擁護することを書いておきます。男子たちはなにも好き好んで、あいまいな態度をとる言い訳がましい男になったのではないということです。小学校の頃から現在にいたるまで、空気を読んで、その空気が求めているふるまいをしない人は仲間外れにされるという言外の圧力を受てきたのです。
女子もきっとおなじでしょう。昔であれば、イヤなものはイヤと言えたけれど、イヤでも顔は笑顔で我慢して……みたいな、本当に大変な雰囲気の中で、みなさん大人になったはずなんです。そんなふうに「みんな気が進まないけど、なんか空気感のようなものが持っている圧力」に屈しつつ大人になった人たちは、ぼくの世代から見たらかわいそうに思います。
好きなら好きとすなおに言う。嫌われたらごめんねと言う――ぼくが今20歳なら、たったこれだけのことすらできない世の中で、どうやって恋愛しろと言うのか、と、少々苛立つと思います。
が、苛立ってもいいことが起こらないのがこの世です。
好きな人に好きと言える人になってください、としか言えませんがそういう人になってください。好きな人やモノに好きと言えない人生を生きるのって、マジでキツイから。
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(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
ほんの10年前までは、脈ありサインなんて言葉すらなかったように記憶しています。好きなら飲みに誘って、告白して、うまくいくときもあればいかないときもあれば、というのが普通でした。もちろん、女子から誘うというのもふつうでした。が、今はとてもややこしい時代になってしまいましたね。さて、今回は好きと言わない男性心理におけるいくつかの事柄について一緒に見ていきたいと思います。
男子が「好き」と言わない理由
好きと言うと波風が立ってしまって、これまでの平穏な空気ではなくなってしまうから、彼は好きと言いません。言い方を換えると「ふたりの関係を変化させるようなことをするのは善くない(良くない)ことだと彼が思っているから」、彼は好きと言いません。
その背景にあるのは、この20年ほどの間に変化した世の中の空気です。つまり、「人間関係に波風を立てること」を良くないことだと判断する人がとても増えたという事実です。人間関係とは穏やかな湖に小石を投げるみたいなことがないと深まらないんです。常にお互いに距離感をはかって、「なにもなかったかのように」ふるまい続けても、人間関係って深まらないですよね?
だから、どこかのタイミングで「好き」と言ってみたり、「嫌い」と言ってみたり、というようなことを昔はしていたのです。好きと言われて付き合ったり、嫌いと言われて「次の一手」を考えたり、ということを通して、仲良くなっていったのです。
今はそういうことができないんですね。一度波風を立ててしまったら、そのことを詫びなくてはならない風潮がありますね。好きと言って「嫌い」と言われてしまったら、未来永劫、その「罪」を背負って生きなくてはならない風潮がありますね。
そういうのを男子は知っているのです。だから「自分の立場をミスミス悪くするようなことはしないに越したことはない」と思って、女子に「好き」と言わなくなったのです。
「別の世界で生まれるタイミング」を勘でわかる人たち
とは言うものの、それでも「好き」とちゃんと言う男子がいます。ごくわずかですが、ちゃんといます。そういう男子は、後先考えない向こう見ずな性格なのかといえば、決してそうではありません。彼は「実時間」と「どこか別の世界の時間」の両方を知っているのです。
実時間とは時計が示す時間のことです。どこか別の世界の時間とは、物事が成就するタイミングのことです。たとえば、「今なら好きと言える」というタイミングってありますね。これまでずっと好きともなんとも言えなかった相手に、今なら言えるというタイミングが訪れることってありませんか?わかりませんか?あるんですよ。
告白するのがうまい男子は、その「どこか別の世界で生まれたタイミング」を、勘でわかるんです。だから「今ならいける」と思って告白するのです。そこで彼女が答えを保留にしても、「機が熟している」から、彼女は彼に悪い心証を抱きません。彼も時を知っているから、彼女が待ってほしいと言うと待ちます。
この「どこか別の世界で生まれるタイミング」を読む勘を持っている男子も減りました。これは男女問わず減りました、と言ってもいいかもしれませんね。女子の中にも、そういう勘がすぐれている人がいるから。
男子からLINEが来たら脈あり
これまで2つの「好きと言わない理由」をご紹介しました。1つは、人間関係に波風を立てるのは悪だ、という風潮を男子が知っているというもの。もう1つは「別の世界で生まれるタイミング」を勘で気づかないというものでしたね。
これら2つのことからどのようなことが言えるのかといえば、簡単に言うと野性味を持たない男子が増えているということが言えます。
別に間違えたっていいじゃない!波風立てても謝ればいいじゃない!だって、何事もチャレンジしないとどんな結果が出るかわからないんだしさ!何事も失敗しないと前に進まないんだしさ!――こんなことを考える男子が減って、代わりに、箱入り男子とでも言うべき男子が大量に増えたのです。
その結果、告白を待つタイプの恋愛をしたい女子が、ずっとウェイティング状態に置かれて、「脈ありサイン」とか「脈なしサイン」を知りたがるようになったのです。
ここで脈ありサインの話をしておくと、男子が出す脈ありサインって、とても簡単です。
男子からLINEが来たら脈ありです。ふだんはマメにLINEをしないのが男子だから、その男子がLINEを送ってくるというのは脈ありです。食事や飲みに誘うのも脈あり。「どんな男子がタイプ?」と聞いてくるのも脈あり。
ようするに男子は、好きじゃない女子とは会話をしないのです。だから、なにかのアクションがあれば、それはすべて脈ありなのです。
そしてそのアクションには「ぼくは君のことが好きなんだけど、君はぼくのことをどう思っているの?」という気持ちが含まれています。彼女が自分のことをどう思っているのかがわからないから、なにか「ややこしい・あいまいな」アクションを起こして、それに対する彼女の出方を見たいと思っているのです。
また、そのアクションはあいまいであるゆえに、あとからどうとでも言い訳ができます。「いや、ちょっと気まぐれで飲みのLINEを送っただけで、深い意味はないよ」と言える隙間を彼は持っておきたいのです。だから彼のアクションはすべてあいまいで、彼女からすれば「どっちつかずでわからい」し「脈ありか脈なしかはっきりしてほしい」と思うのです。
好きな人に好きと言える人になってください
空気を壊すのが恐いとか、彼女にいったん嫌われてしまったらもう未来永劫嫌われたままだから逃げ場のあるアクションしかしたくないと思っている男子は、きっと一生そうやっいぇ、自分に言い訳をしつつ生きるはずです。そのような彼を見て、それでも彼のことが好きなら、女子のほうから彼を誘って付き合うしかありません。これが今回の答えです。
最後に。男子を擁護することを書いておきます。男子たちはなにも好き好んで、あいまいな態度をとる言い訳がましい男になったのではないということです。小学校の頃から現在にいたるまで、空気を読んで、その空気が求めているふるまいをしない人は仲間外れにされるという言外の圧力を受てきたのです。
女子もきっとおなじでしょう。昔であれば、イヤなものはイヤと言えたけれど、イヤでも顔は笑顔で我慢して……みたいな、本当に大変な雰囲気の中で、みなさん大人になったはずなんです。そんなふうに「みんな気が進まないけど、なんか空気感のようなものが持っている圧力」に屈しつつ大人になった人たちは、ぼくの世代から見たらかわいそうに思います。
好きなら好きとすなおに言う。嫌われたらごめんねと言う――ぼくが今20歳なら、たったこれだけのことすらできない世の中で、どうやって恋愛しろと言うのか、と、少々苛立つと思います。
が、苛立ってもいいことが起こらないのがこの世です。
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(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
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この記事を書いたライター
ひとみしょう
作家/コラムニスト/作詞家。キルケゴール哲学をベースに、なんとなく淋しい人に向けた希望論&恋愛論『自分を愛する方法』を上梓。全国の書店等で発売中。『ひとみしょうのお悩み解決』『ひとみしょうの男って実は』(Grapps)など連載多数。日本自殺予防学会会員。キルケゴール協会会員。